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魔力の鑑定

 あれこれと買い物を終わらせて、まだ少しだけ時間があることを確認したら、噴水広場に行ってみることにした。

 いないならもう用事は他にないので、早めに戻って買ったものの整理をすればいい。

 なんて考えながら噴水広場の縁石の外側、芝生の上に目を向けると、見覚えのあるお爺さんと女の子がいた。


 目が合って、アルパが目を丸くして立ち上がる。

 表情が明るくなったのを見て、キヒカがホーと一声鳴いた。

 その声に誘導されるようにそちらへ歩いて行くと、お爺さんも気付いたのか顔を上げて、目が合う。


「こんにちは!」

「こんにちは」

「ホー」


 今日も元気な挨拶だ。そして目がキラキラだ。

 そんなキラキラな目が眩しくて思わず目をしぱしぱと開閉しながら、懐から一枚の紙を取り出す。持ってきていた魔法陣の本から探し出して書き上げておいた、ちょっとした魔法陣だ。

 初めて描いた魔法陣だが、一応ちゃんと動くことは確かめてある。キヒカが試してくれた。


「えっと、魔力の鑑定が出来る魔法陣を持ってきたんだけど……」

「本当!?すごーい!」


 取り出した魔法陣を、お爺さんとアルパに見えるように広げる。

 危険性はない物だけど、使うのなら一応保護者の許可が欲しい所だ。そんなわけでやりたいやりたいと言っているアルパを横目に、お爺さんに確認を取る。

 魔法陣を確かめるようにじっと見ていたお爺さんは、持っていた木と彫刻刀を置いてこちらを見た。


「……試してみてもいいかね?」

「はい。魔法陣の上に、手を置いてください」


 安全性は確かめて貰った方がいい。どれだけ詳しく見られても、私は困らないからね。

 ……いや、魔法陣の先生とかにじっと見られたら、不備があったかとか線が均一じゃなかっただろうかとか、いろいろ考えて不安にはなるけれど。今この時は、特にそんなことは気にしなくていいはずだ。


 学生時代の事を思い出してプルプル震えそうになる心を静めて、魔法陣の上にお爺さんの手がしっかり乗ったことを確かめる。

 そして魔法陣を見せるために紙を持っていた手に魔力を込めて、魔法陣を発動させた。

 自分で魔力を込められる人なら自分で込めて魔法陣を発動させられるのだけれど、こうして他人が流した魔力でも発動は出来るのだ。


 学校で使っていたものと同じ魔法陣だからね、それまで魔力の扱いも魔法行使も何もやって来なかった、触れてこなかった子たちも多いから、先生が魔力を流して使えるようにと作られているのだ。

 なので今回これを持ってきた。最初の鑑定には持ってこいの魔法陣なのである。


 そして、そんな魔法陣はしばらく光った後にお爺さんの手の甲の上に魔力の鑑定結果を表示した。

 魔法で作られた淡く光る文字が浮いている光景は、何度見ても綺麗だ。アルパも感動したような声を漏らしている。

 そしてこの文字、魔法で作られているから反対側の私から見ても反転せずに読めるのである。便利。


「これは……?」

「上から魔力の量、柔軟性、特性です。魔力量は数値が高ければ高いほど多く、柔軟性は一から十までの数字で示されて、一が一番柔らかくて、十が一番硬いです。特性はあったりなかったりします」


 説明しつつ、お爺さんの魔力の特性を確認する。

 これは、もしかして無意識に使っていたとかだろうか。木彫りの影響とか、そんな感じだろうか。加工特化とか書いてあるのだけれど、これ、魔道具の職人さんとかがたまに持っている特性だ。

 あれだけの木彫りの置物を作れるのだからそのくらい持っているとか、そういう事なんだろうか。


 ちなみに魔力量の数値は五、柔軟性は四だった。

 魔力量に関しては、私が見たことのある最大値は九十五だったので、お爺さんの魔力量はこれまで魔法に触れてこなかった人なんだろうなぁ、と言った感じである。

 私の最初の魔力量がどれだけだったかは覚えていないけれど、魔法を使っていれば魔力量は上がっていくので。


「私も、私もやる!」

「いいですか?」

「構わんよ。アルパ、落ち着きなさい」


 お爺さんの許可も貰って、アルパに魔法陣を差し出す。そしてお爺さんの時と同じように、魔法陣に手がしっかり乗ったことを確かめて魔法陣を発動させた。

 先ほどと同じように魔法陣が光って、アルパの手の甲の上に文字が浮かび上がる。


 魔力量は十五、柔軟性は四。特性は、現状特になさそうだ。

 魔力量がお爺さんより多いのは、まだ子供だからというのもあるんだろう。魔力量は魔法を使っていれば増えるけれど、使わないでずっと過ごしていると弱っていって落ちたりもするらしいので。


「魔法、使える?」

「うん、使えるよ。でも、ちゃんと習わないと危ないからな」

「フィフィーリアさん、魔法教えてください!」

「うーん……私人に教えたことないんだよね……とりあえず、座学で良いならちょっとは出来るけど……」


 まぁ、魔法陣まで持ってきて期待を持たせてしまったわけだし、座学くらいはアルパがやる気ならやるけれど。

 というか、多分私よりキヒカがやる気だ。なんでそんなにやる気なの?分からないけれど、可愛いからまぁいいか。


 そんなわけで今日も帰らないといけない時間になるまで、とりあえず座学として今鑑定した魔力の数値何かについての話をすることにした。

 私も魔法の座学で最初に説明を受けたことだし、順番は間違っていないはずだ。

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