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これまでに作ったもの

 二人の荷物を下ろしてキヒカを肩に止め、まずやったことは昼食を食べることだった。

 移動時間でお昼時を少し過ぎているので、とりあえずお腹空いたしご飯食べよう、ということで意見が一致したのである。

 昼食については、二人が町で買ってきてくれた分があるので、それを机に並べていく。


 ダイニングに移動して並べているのだけれど、やっぱり折り畳みの机は買って正解だった。元々の机じゃ足りなかったのが目に見える形となっている。

 折り畳みの椅子は、背もたれ付きのを買ったので、私とキヒカがそれを使うことにした。

 折り畳みじゃない方のいつもの椅子の方が座り心地が良いので、お客さんである二人にそっちを使ってもらうことにしたのだ。


 新しく買っておいた食器も取り出して、やいのやいの言いながら食事の準備を進めて行く。

 ついでに、朝摘んだばかりのトマトとロピュを洗って切って出しておく。簡単だけどサラダだ。これだけで結構おいしいのだ。

 何せ朝収穫したとれたての野菜なので。とれたてなのは、美味しいのだ。


「畑も始めたって手紙に書いてたもんね」

「うん。とれたてだよ」

「畑はどこにあるんだ?敷地内のは花壇だろ?」

「えっとね、ちょっと歩いた所にあるの。あとで行ってみる?」

「うん!!」

「おう」

「ホー」


 混ざって返事をしたキヒカが、キッチンから出て行った。

 多分リビングで寝ていると思うので、好きにさせておこう。二人を背負って飛んでくれていたのと、単に昼間だから眠いんだろう。

 キヒカはフクロウ、夜行性なのだ。普段から私に付き合って昼間も活動してくれているけど。


 私が一人だとちょっと眠くても一緒に活動してくれるけれど、今日はシンディとテルセロがいるから大丈夫だと判断して寝に行ったのだろう。

 キヒカが安心してくれて私も嬉しい。静かな一人暮らしもいいけれど、人との交流はもうちょっとあった方が良いのかもしれない。


「フィフィ、料理もしてるんだねぇ」

「うん、楽しいよ。夜は作るからね」

「やったー!」

「楽しみにしてる」


 色々仕込んではいるので、夕食は私が作るつもりでいる。

 そう、色々、仕込んでおいたのだ。私はついに、二時間コトコト煮込んで一晩寝かせる料理に手を出したのである。

 あと蒸しパンも作った。美味しいのでいっぱい作った。


 昨日はずーっと料理をしていた。それはそれで楽しかったので、また何かの機会にやりたい。

 そんな話をしつつ、昼食を食べる。やっぱり町で買える出来合いのご飯は美味しい。自分で作るのとは、なんだか全然違うのだ。

 最近は自分で作ったご飯も美味しいし大分満足のいく出来になってきているのだけれど、それでも全然違うのだ。なぜなのだろう。


 作る量が違うのでは、とか、調味料が違うのでは、とか、あれこれ予測を言い合いながら昼食を食べきって、洗い物を済ませたらちょっと休憩して外に出た。

 出る前に予想通りリビングの止まり木で寝ていたキヒカに声を掛けてきたので、もし何かあったらキヒカも飛んでくることだろう。


「ここに、石窯を作りたいんだ」

「石窯!?」

「フィーリア、お前何になるつもりなんだ……?」

「私はいつでも道具作りの魔法使いだよ。石窯を作ったらパン焼きの魔法使いになるかもしれないけど」

「パン焼きたいんだね、フィフィ」

「うん。焼きたてのパン、食べたい」


 シンディにかいぐりかいぐり頭を撫でられながら、欲望が駄々洩れな庭の改造計画を語る。

 狩りをしたら解体する場所も欲しいのだ、という話には特に驚かれなかったので、二人からすると私は狩りをするというイメージがあるようだ。

 学生時代からキヒカと一緒にやっていたし、そのイメージが残っているんだろうか。


「畑はこっち」

「開いてるところが出入り口なんだね」

「うん」

「森の方、開いてて大丈夫なのか?」

「開いてるけど、入れないと思う。キヒカが森の主になったみたいだし」

「なるほど……」

「またやったのかキヒカ……」


 杖をふらふら揺らしながら、畑までの道を歩く。

 朝もじょうろと籠を持って通った道だ。毎日テクテク往復しているので、そのうち道っぽくなると思う。今から楽しみである。

 なんて思っている間に畑が見えて来て、シンディとテルセロがおぉ~と小さく歓声を上げた。


「こっちもしっかり囲ってあるんだな」

「うん。嵐対策に、防御を込めて」

「硬い守りだねぇ……あ、ベンチある!」

「作ったの」

「作ったの!?」

「フィーリアお前、家具まで作るようになったのか……」

「このくらいなら作れるかなって」


 道具作りの魔法使いなので、まぁ、他よりは家具作りも得意である。

 私はちゃんと習っているわけではないから胸を張って家具作りの魔法使いだっていう事はしないけれど、自分で使う分くらいは作れるようになった自信は……前よりは、ある。

 何せベンチとか、必要に応じて作っているので。


「作ってたら、出来るようになるものだよね」

「流石フィフィ。やれば出来るの範囲が広い」

「まぁ、家を丸ごと直したくらいだもんな……ベンチくらい作るか……」


 二人から納得の声をもらったので、ふふんと胸を張っておく。

 そして水やり用に川から引っ張ってきている水に興味を持たれたので、それの説明をしておいた。

 畑、楽しいよ。もう少し規模を大きくしたいくらいには、楽しいよ。

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