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外壁の修理

 町で材料を買ってきた翌日は、それを取り付ける準備と畑に支柱を立てたりの作業をして過ごし、準備が出来たので今日は枠を取り付ける作業をすることにした。

 木材は長さを揃えて切って防水塗料を塗ってあるので、あとは固定していくだけだ。

 ちゃんと上に乗っける部分も作ったのだ。固定出来るように、ロープで結んで置けるでっぱりも付けてある。


 と、言うことで。玄関を出て右回りに、窓に枠を付けていく。

 丸太椅子の上に運び出した材料を乗っけて、釘とトンカチをもってとんかんとんかん壁に固定していく。

 家を直す過程で何だかんだずっとやって来た作業なので、なんだか大分慣れて来て、割と得意な気がする、という所にまで到達していた。


 これも道具作りの範囲になるんだろうか、と考えつつ釘を打っていき、キヒカが持ってきた次の木材を受け取って固定していく。

 ちなみに窓を守る板はそのまま使うことにした。

 まだまだ使えるし、彫り込んだ魔法陣に修正点も無かったのでこのままでいいだろう、という判断になったのだ。


「……ふぅ。とりあえずこれで完成だね」

「ホー」

「うん、確かめてみよう」


 一つ目の窓枠を完成させて、作った隙間に木の板を差し込んでみる。

 多少隙間があるのかガタガタ言いはするが、大きく問題はなさそうだ。ついでに上に乗せた抑えも浮いたりしないので、これで大丈夫そうである。

 問題が無い事を確かめたら板を外して、抑えを乗せ直して紐で括っておく。今後はこれが基本形だ。


 問題が無かったので、そのまま他の窓にも枠を付けていって、休憩を挟みつつもとりあえず作業は一日で終わった。

 なので翌日からは、再び壁を塗る作業へと戻る。

 一度この作業を止めたのは、窓枠を作ってからその隙間を壁材で埋めるためだ。


 窓枠の方が厚くなるはずなので段差は出来るが、今の半分くらいの段差になる、はずだ。予定では。

 予定は予定であってその通りに出来るとは限らないので、もし何か変更があるとしたらその時に考えるべきなのである。

 なんて、若干思考を投げ出しながら壁を塗っていく。


 慣れてきたとはいえ時間のかかる作業だ。窓のあたりは変に壁材が付かないように、でも隙間が出来ないように、と気を使って作業していたので余計に時間が掛かったし、普通に疲れた。

 それでも徐々に壁が塗り替わっていくのは良い物だ。

 作業自体に嫌気が差すことはなく、むしろ楽しいので黙々と作業は進んだ。


 途中雨の日は中断して家の中でお守りを作ったり、畑の手入れに時間を取られる日があったりはしたけれど、壁の修理はいたって順調である。

 一回目が塗り終わった時点でテルセロとシンディにも連絡を入れて、そろそろ家の修理が終わる目途が立ってきた、と伝えてあるので、いよいよ二人を家に招ける日が近付いてきている。

 そのことに鼻歌を歌ったりもしながら、今日も今日とて壁塗りである。


「花も咲いてきたし、最近暑いし……夏も近付いてきてるね」

「ホー。ホー」

「そうだね、服とかも買わないと」


 夏の支度もしないといけないな、なんて思いつつ額に浮かんだ汗を拭う。

 畑も一層青々してきてトマトがそろそろ収穫出来そうだし、葉野菜であるロピュは既に収穫出来ていて、毎日の食事にサラダが増えた。

 独特の風味があるのだけれど、私は好きなので沢山取れて嬉しい限りだ。


 花壇の花も咲いてきていて、一番最初に咲いたものは記念に摘んで花瓶に入れた。

 花が一輪あるだけで家の中が華やかになるので、とてもいい感じだ。

 外壁を直し終わったらやりたいこともあるし、何だかんだまだまだ忙しい日々が続きそうだ、なんて思いつつ練った壁材を壁に乗せていく。


 高い所は踏み台を持ってきて作業しているのだけれど、高い所よりも低い所が大変なことにこの作業をしていて気が付いた。

 地面に接している所は変に土が混ざらないように気を遣うし、かといって浮かせたままにはしたくないのでギリギリまで塗りたいし……というわけで、しゃがんでちまちまやっていたら腰痛に襲われたのだ。


 定期的に身体を伸ばすのは大事だなぁと思う半面、これが終われば続く作業でもないし、と多少の痛みは無視して作業を続けている。

 のだけれど、これはキヒカから抗議を受けて、定期的に足元に来るキヒカを抱えて身体を伸ばす、という動作が組み込まれることになった。


「ふぅ……でも、もうちょっとだ」

「ホー」


 材料は多めに買ってきたので買い足しに行く必要は無さそうだし、天気にさえ恵まれれば作業は進む。

 既に残りは壁の一面程であり、本当にあとちょっとなのだ。

 焦ってはいけないと理解はしつつ、浮足立つ心は止められない。


「シンディ、会いたがってたもんね」

「ホー。ホホー」

「うん、私も会いたい」


 冬に王都で会ってはいるけれど、それでも。

 シンディに会えるという事と、自分で廃屋からここまで直した家に人を招くという二つの事が一気に起こる予定なのだ。

 これでちょっとも浮足立つなという方が無理なのだ。なんて思いつつ、とりあえず壁を塗ることにした。壁を直し終わらない事には、予定は予定のままなので。

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