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小さな修正点

 丸太椅子の座面である丸太に塗った防水塗料が乾いたので、足を付けて椅子にする。

 椅子の足も丸太から切り出して、三本足を付けて完成にした。

 何も測ったりせずざくざく作った割にはしっかりしていて座り心地もよく、中々良い物が出来た、と私は満足である。


 そんなわけで休憩用の椅子も出来たので、壁の修理を再開した。

 二つ作った椅子のうち、一つは予定通りキヒカの待機場所として日向でお昼寝をするキヒカを見られる場所になっている。とても可愛い。

 ぽかぽかで気持ちよさそうに寝ているキヒカを時々眺めつつ、私は今日も今日とて壁を修理している。


 ちまちま壁を塗っては壁材を捏ねて、という作業の繰り返しだが、段々慣れて来て最初よりは壁材が乾く危険に追われることが減って来た。

 そんな中、今日の第一弾を塗り終えた私は、壁に向き直って腕を組んでいた。

 前からどうしようかなぁと思っていた部分を、いよいよしっかり考えないといけなくなってきたのだ。


「ホー」

「あ、キヒカ。おはよう」

「ホー。ホー?」

「うん、この部分どうしよかと思って」


 悩んでいるのは、窓の部分。嵐が来た時に窓を守るために木の板を打ち付けていた、窓の枠である。

 この部分をそのままにしようか、それとも何かやり直そうか。壁を直し始めた時から悩んでいて、とりあえず打ち付けていた木の枠を一旦外して壁の修理をしていたのだけれど、そろそろどうするか決めなくてはいけないだろう。

 どうしようかな。と声に出して考える。


 秋には絶対に数回嵐が来るので、窓を守る板は必要だ。それ自体を無くすことは出来ないので、他の形で板を固定できるようにするか、今のままにするか、という悩みである。

 釘で打ち付けるのは固定の安定感はあるのだけれど、手間と外している間の見栄えがちょっと難点だ。

 去年数回やっただけで、枠には結構釘の穴が目立っていたし、ちょっと壁に貫通もしていたし。


「うーん……」

「ホー」


 キヒカと一緒に首を傾げて考える。どうしようかなぁ、と数回首をひねって、窓に近付いてどうにか穴を埋めた枠のあった部分を指でなぞる。枠は、あった方が良いと思うのだ。

 となると枠に別の方法で板を固定出来ればいいのだろうか。


「……枠に溝を彫って、そこに板を差し込んだら固定できるかな?」

「ホホー……ホー」

「うん、上から差し込んで……飛んでっちゃうかな?」

「ホーホホーホ」

「そうだね、上に押さえを乗せれれば大丈夫そう……板を差し込むための溝と、押さえを固定するための物……穴を開けておいて、杭か何かで固定する?」

「ホー」


 何となく作りたい物が分かってきたので、材料があるかどうか物置に確認に行く。

 欲しいのは元々枠を作っていたのと同じような木材だけれど……あっただろうか。最近何かに使った記憶はないけれど、追加で買った記憶も無いのでちょっと曖昧だ。

 無かったらまた買い物にいかないと、と考えながら物置を覗いてみると、あるにはあったけれど作れて一つ分くらいの残量だった。


「とりあえずやってみようか」

「ホー」


 追加を買いに行かないといけないのは確定だけれど、一つくらいは作れそうなので試しがてらやってみることにする。

 窓を守る板も新しくしたっていいな、と思いつつ、木の板が問題なく動くくらいの溝を考えて木材に線を引いていく。


「……私にこの溝をしっかり作れる技量があるんだろうか……」

「ホー……ホホー?ホー」

「なるほど、その方が確実かも」

「ホー」


 のこぎりで溝を彫るの、難しくないだろうか。と線を引いた後で気付いて手を止めたら、キヒカが板を重ねて作る方が確実かもしれないと教えてくれた。

 確かにそれなら板を二枚分くらいずらしておけばいいので、確実だ。

 そうしよう。じっくりやってみてもいいんだけれど、早く壁直したいので。確実な方がいい。


「じゃあ……木の板買いに行かないとね」

「ホー」


 板は在庫が無いはずなので、結局買い物に行くことになりそうだ。

 なんであれ行かないといけないのは確実だったから、別にいいけれど。

 食料はまだあるけれど、何か欲しい物はあっただろうか。どうせ町に行くのなら多少買い物はしてこようか、と話し合いながら窓枠を考えて、脳内で組み立てる。


「うーん……書き出してみよう。その方が確実な気がする」

「ホー」


 紙に書き出して確認すればキヒカから見ておかしい所があった時に分かるし、作る前に確認しておく方が材料も確実に分かるし。

 悪いことは無いので、家の中に戻って適当な紙に作り方を書き出していく。

 作業台で書き出していたらキヒカが机に乗って来た。大きな机なので作業に問題はなく、そのまま話し合いながらペンを走らせる。


「壁にそのまま板がついても大丈夫かな」

「ホー。ホー?」

「うん、防水塗料塗って……防音いる?」

「ホー」

「それもそっか」


 あれやこれや言い合いながら新しい窓枠の設計図を作って、必要な材料を書き出しておく。

 早めに買いに行きたいので、明日にでも町に行くことにしよう。となると他に必要な物があるかどうかを確認しておいた方がいいので、キヒカを肩に乗せてキッチンに向かう。

 私たちの買い物のメインは、基本的に食料なので。

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