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浴槽を買う

 大工さんにやり方と必要な物を聞いて、ついでにまた資材屋さんで目的の物の場所まで案内までしてもらってしまった。どこまでもお世話になっていて申し訳なくなってくるが、また気軽に来いと言って貰えたのでまたお世話になりに行くことになりそうだ。


 そして次に向かうのは、いよいよ今回の大本命である浴槽を売っている店である。

 シンクを買ったあの店に行く。あそこの丸い浴槽が可愛いから、あれがいい。ちょっと床の処理が増えるかもしれないけれど、どうせ床も直すのだからその程度は誤差だ。

 私が直して私が使うのだから、私が誤差だと言ったら誤差なのだ。


 そんなわけでお店に入り、浴槽が置いてある一角に進む。前に見て気になっていた浴槽は残っているだろうか。あれから数日しか経っていないけれど、その短期間にも物は売れるのだ。

 学生時代にそれはもう思い知っている。本当に欲しいものは、買わないと後悔する。

 けれども今回は流石にその衝動買いをするわけにもいかない物だったので、売れてしまっていたら大人しく諦めるつもりで来ている。


「……あ、あった」

「ホー」


 店の中を歩いて行った先に、前回気になっていたそれを見つけた。

 丸い浴槽。釉薬の色が綺麗で、記憶に残っていた。淡い緑と青が混ざった、場所により色の濃さが違うこれが、本当に綺麗なのだ。

 大きさを計って、問題なく浴室に収まることを確かめる。


 そんなことをしている間にこの間の店員さんが傍に来ていたので、これを買うと伝えて会計をしてもらう。今回は分かっていたように笑って会計を進めてくれた。

 前回は即決で買ってびっくりさせてしまったけれど、今回は二回目なのもあってか驚きはないようだ。


「他にお探しの物はございませんか?」

「……食器とかって、ありますか?」

「食器でしたら、向かいの店がこの浴槽と同じ工房で作られた小物を売っているお店なのでオススメですよ」

「分かりました、ありがとうございます」


 会計を済ませて、教えて貰った通り向かいの店に入る。野営用の食器しかなかったから、これを機に家で使う物を揃えようと思っていたのだ。

 ついでにカトラリーも買いたい。これも野営用のしかないので。

 他にも欲しいものは色々あるが、見て回って気に入ったものがあれば、で良いだろう。急ぐ物でもないのだ。一応野営用の道具でどうにかなってはいるし。


「ホー」

「うん、お願いね」


 買った浴槽は店の中に持って行くと邪魔になってしまうので、店の外でキヒカに見ていてもらう。

 それほど時間をかけるつもりはないし、キヒカは魔法も使えるから大丈夫だろう。学生時代から時々ああやって荷物番を頼んでいるけれど、毎回しっかりこなしてくれるし。

 とはいえ早く終わるに越したことはないので、店には行って早速食器とカトラリーを探していく。


 ついでに料理道具もあったら見ておきたいけれど、それはまた後でもいいか。

 今はひとまず食器だ。あの浴槽と同じ工房で作られたと言うだけあって、釉薬の色が綺麗だ。見ていて気分が上がる物は良い。いくつか気に入った物を購入し、カトラリーを売っている店を教えて貰って店を出た。


 お皿を三種類と、マグカップを一つ。買ったのはそれくらいだけれど、一人暮らしだし最初はそのくらいで良いだろう。他のお皿とかは欲しくなったら買う。

 そんなわけで待ってくれていたキヒカと一緒にカトラリーのお店に向かい、これも気に入ったものを一揃い買って店を出た。


「これで……とりあえず欲しいものは揃った?」

「ホー」

「うん、キッチン用品は……お店を見つけたらでいいかな」


 まだ時間はありそうなので、探すだけ探してみるか、と通りを歩いて行く。

 ついでに食料も買って帰ろう。後は……まぁ、他にも見てみて欲しい物があったら、で良いだろう。パッと思いつくものは無くても、あったら便利なものは多いはずだ。

 私の生活に対する理解度が低いから思いつかない物とか、お店には置いてあるだろうし。


「ホー」

「うん?……流石キヒカ、目がいい」

「ホー」


 キヒカが浮かせた浴槽の上から何かを見ているのでその目線を追ってみたら、キッチン用品を売っている店があった。

 私は全然気が付かなかったのだけれど、あれか、上から見ているから見つけやすかったりするんだろうか。それとも単に視野が広いんだろうか。フクロウって視野広いんだっけ?


 ともかく、キヒカがお店を見つけてくれたのでそこにも寄って行く。調理器具が揃ったら出来る事も増える……だろうか。料理、あんまりやったこと無いのだけれど。

 まぁ、野営用の物よりは使いやすいだろうから買って損はない。スローライフなのだし、これから料理に慣れればいいのだ。やってみたい気持ちは前からあったのだし。


 そんなわけでお店に入って、すごい量と種類の調理道具に目が回った。

 こんなにも種類があるものなのか。最早何に使うのか分からない道具まであるのだけれど、あれは本当に何に使う物なのか。

 ここにあるってことは料理に使うんだろうか、どうやって、何を作る時に使うんだろうか。


 知らない世界だ……と慄きながらどうにか鍋とフライパンを探し、ついでにまな板と包丁も探し、木のお玉も見つけたのでそれらを持って会計を済ませた。

 ……目が回ったしビックリもしたけれど、今後何か料理道具で欲しい物があったらここに来ればどうにかなりそうだ。その知見を得られただけでも儲けものかもしれない。

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