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第二工程

 壁の掃除は、二度磨きしたことと途中雨が降って作業が出来ない日があったことで、十日ほどかかって完了した。

 その間に食料がだいぶ減ったので一度町に行き、レイラさんに外で作業するなら帽子をかぶりなさいと言われて麦わら帽子を買い、ステラさんに畑をするならそれ用に靴を用意する方がいいと言われて新しく農作業用の靴を買い、ルルさんにお守りを渡して前に渡したお守りは通常のも強いのも売り切れたと聞いてびっくりして……そんなこんなで食料を買って帰って来て、外壁修理は第二工程に進んだ。


 第二工程は壁に補強と密着の為の塗料を塗る作業だ。

 これも二回やるのだけれど、一回目が終わったらキヒカの出入り口を開ける予定なので、その準備もしないといけない。

 外に面するところになるので、とりあえず防水防風は必要だけれど、他に何がいるだろうか。


 なんて考えながら、磨き終わって元とは別の色になっている壁に塗料を塗っていく。

 このために広い面に塗料を塗るための幅の広い筆も買ってきたので、とにかく塗り忘れが無いように端からせっせと塗っていく。無心で出来る作業は結構好きだ。

 その間に、別の事も考えられるし。


「カーテンの端に引き寄せ付けといたら、風でばさばさならないかな」

「ホー。ホホ」

「木の板で?通りにくくない?」

「ホー」


 私は家の中の通り道と同じように、外に通じる通り道も仕切は布にするつもりだったのだけれど、キヒカは木の板で良いという。

 通りにくいのではと思ったのだけれど、薄い板程度は邪魔にもならないらしい。流石キヒカ。

 それなら外に続くひとつくらいは木の板で作ることにしよう。それなら防水もしやすいし。


 調整しつつ魔法陣彫り込まないと、と考えながらせっせと塗料を塗って、休憩を取りつつどうにか三分の一くらいを終わらせた。

 磨くよりは時間はかからないだろうか、と思いつつ日が暮れてきたので家の中に入り、夕食の準備をしつつ外を眺める。


「なんか、天気崩れて来たかも」

「ホ」

「タオル出しておくから、濡れたら使ってね」

「ホー」


 春は天気が崩れやすいから、夜は雨になるのかもしれない。

 それでもキヒカは森へ行ってくるだろうから、濡れた時用のタオルは出しておいた方が良いだろう。

 キヒカ用のタオルも買ったのだ。タオルは多くて困る事は無いと気が付いたので。

 

 そんな話をしながら夕食を作って、キヒカもちょっと食べるというので干し肉を千切ってお皿に入れる。

 お水も出して、一緒に夕飯を食べ、寝支度を整えて私は早めに眠りについた。

 連日腕を上げて作業しているから、腕の疲労感が凄いのだ。




 そして翌朝、起きた時から雨音がしていることには気付いていたので、のんびり身支度を整えて朝ご飯の支度をした。

 キヒカが言うには夜に降り始めて、明け方近くに止んだけれど、また降り出したらしい。

 降ってるものは仕方がないので、今日は家の中で出来る作業をするとしよう。


「扉作らないといけないからね」

「ホー」


 やるべき作業もあるので、ちょうどいい。

 キヒカとのんびりお喋りしながら魔法陣を考えて、朝ごはんを食べた後は洗い物を済ませてお茶を淹れ、リビングに移動した。

 基本的には扉に彫り込む魔法陣を刻めばいいとは思うので、他に欲しい効果を追加する感じだろう。


「防水は……塗料で良いかな」

「ホー」


 家の窓を塞ぐ板の強化のために買ってきた防水加工用の塗料がまだ残っているはずだから、あれを塗れば防水は出来る。

 防風は、縁の板に彫り込んで魔石で範囲を指定する方が良いだろう。

 となると、扉部分に付けたいのは侵入防止くらいだろうか。私が彫り込んだ侵入防止は、使い魔であるキヒカには通用しないので、単純に強めの侵入防止を彫り込むのが良さそうだ。


「よし、早速作ろう」

「ホー」


 板はこの間町に行った時に買ってきてあるので、まずは使いたい大きさに切る所から始める。

 普段のこぎりを使う作業は外でやる事が多いけれど、雨が降っているので今日は屋内作業だ。

 板に印をつけて切る場所を分かりやすくして、引いた線に沿ってのこぎりを動かしていく。


 この作業はもう慣れたものだ。王都を飛び出した頃には、まさか自分がのこぎりを使うのに慣れる日が来るだなんて思ってもいなかった。

 人間やればできるものだなぁ、なんて考えながら板を切り出して、魔法陣を彫り込んでいく。

 強くなれーと念じつつ彫り込んだ魔法陣を観察して、問題が無い事を確かめる。


 問題が無かったので、板には防水塗料を塗って乾かしておき、その間に縁取り用の木材を切っておく。

 こっちは端に魔石を打ち込みたいので、それ用の窪みも作らないといけない。

 あと防風の魔法陣。上……いや、下に彫り込もう。彫り込んだらこちらにも防水塗料を塗って、後は全部乾くまで待機だ。


「金具、金具……」

「ホホー」

「ありがとう」


 金具も合わせて買っておいたので、乾いたらこれで固定して、問題ないかを確認することになる。

 問題なかったら木の枠に合わせて壁に穴を開けるのだけれど……穴を開ける位置は、キヒカと話し合った結果リビングの壁にすることにした。

 結局リビングが何かと移動しやすいのだ。物も置いておきやすいし、止まり木もあるし。

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