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春の買い物

 大工さんと資材屋さんへ行って、外壁修理の材料を一式そろえた。

 壁の色は、悩んだ結果特に着色していない無地の壁材にした。変に色を付けるくらいなら、そのままの方が良さそうだったのだ。

 色の組み合わせの良し悪しなどは分からないので、下手なことはしない方が良い。


 材料は粉と液体なのでかなりの重さがあるのだけれど、それはまぁ浮かせて運んでいるので特に問題はない。

 久々に町の人の二度見と納得の視線を浴びながら大工さんにお礼を言って別れ、今度何かお礼の品を持って行こう、と心に決める。

 ……お守りを作るとアデラに怒られる気がするので、お菓子とかにしよう。


「さて、じゃあルルさんのところ行こう」

「ホー」


 強めのお守りをいくつか作ってみたので、それを渡しておかないと。

 いつもなら先にルルさんの所に行ってから買い物をするのだけれど、今回は壁の直し方が最優先だったので順番が入れ替わったのだ。

 荷物はお店の中に持ってはいけないので、お店の前で降ろしてキヒカに荷物番をしてもらう。


「こんにちは」

「フィフィーリア。いらっしゃーい」


 ちょうど他のお客さんはいないようで、そのままカウンターに寄って行って荷物から小箱を引っ張り出す。中に入っているのは、いつものお守りと新しく作った強めのお守りだ。

 分かりやすいように、布を別の物にして、色分けしておいたのだ。中々良い感じで気に入っている。


「とりあえず十個作ってみたんですけど、どうですかね」

「おー、本当に出来たんだね。多分すぐ売り切れると思うよ」

「そんなに……?」


 でもまぁ確かに、前から求めてる人がいたくらいだし最初は一気に売れてしまう……のだろうか。しばらくは強い方を多めにしてもいいかもしれない。

 ちなみにお守りの値段はアデラにも相談して決めてあるので、今後怒られる心配も無くて安心だ。

 ルルさんとも事前の話し合いで値段の話は済ませてあるので、それぞれの個数を数えて代金を貰う。


 強い方のお守りがそこそこの値段なので、一気に収入の額が上がった。生活に安定感が出て来そうな感じだ。

 何であっても安定感があるのはいい事だ。今日はちょっといいお肉でも買って帰ろう。

 なんてルンルンで考えながらお店の中を見て回って、花瓶を見つけた。


「花瓶……」

「そう、春だから入れたの。フィフィーリアお花好き?」

「好きです。……花、生えてたっけな……」


 淡い水色のガラスの花瓶。綺麗ですごく好きな感じだけれど、買って行ったとして飾る花はあるだろうか。去年は家を直すのに必死で、あまり外の事は見ていなかったから分からないのだ。

 悩んでいたら、ルルさんが笑って言う。


「どうせなら花も植えれば?大通りの花屋が種も売ってるよ」

「なるほど」


 そういえば家の周りには花でも植えようか、と考えていたし、それがいいかもしれない。

 ということで花瓶を買っていくことにした。どこに飾ろうか。

 割れないように包んで貰っている間に飾る場所を考えて、とりあえずキッチンの棚の中段かなぁと結論を出した。うっかり倒したりが一番少なさそうな場所なので。


 お店を出て荷物番をしてくれていたキヒカに花瓶を見せて、花の種も買っていくと告げる。

 キヒカは花にはあまり興味がないので、一声ホーと鳴いただけだった。

 道具や薬の材料になる花は覚えていて持ってきてくれたりもするんだけれど、そうじゃないなら興味はないらしいのだ。


「お花屋さんに寄って、あとは浴槽買ったお店にも寄って行こう」

「ホー」


 畑の水を汲みやすくするのに、川から水を引いてきて溜めておける場所を作ろうと思っているので、それ用に水をたくさん溜められる丈夫な入れ物が欲しいのだ。

 どこで探そうかと考えた結果浴槽を買ったお店になら何かしらありそうだ、という結論に至ったので、とりあえず行ってみることにした。

 ちなみに水を引いて来るためのパイプなどは資材屋さんで既に購入済みだ。


「家の周りにも水場があった方が何かと便利かなぁ?」

「ホー……ホー、ホホー?」

「井戸……うーん、どうしようか。川から水を引いてくるのは流石に大変だし……」

「ホー」


 家の外で水を使うのが面倒なのでは、と気付いてしまったので、キヒカと相談しながら大通りへ向かう。

 井戸はまぁ、掘ろうと思えば掘れると思うけれど、どうしたもんか。

 変なことをして家の水が可笑しくなったら嫌だし、悩みどころだ。


 かといって畑の小川を分岐させて引いてくるのは大変だし、他の水源が近くにあった記憶はない。

 この辺はゆっくりと考えた方が良さそうだ、と思いつつ、まずはお花屋さんを覗いた。

 花を育てるのも初めてなので、初心者でも育てやすいものを選びたいところだ。


「いらっしゃいませ」


 声を掛けてくれた店員さんに初心者でも育てやすい花を聞いて、花の育て方の本があることを教えて貰う。

 その本と花の種、そして大体必要になる物を教えて貰って購入し、それらを浮かせて荷物の山に追加した。なんだか春って感じの荷物になって来たな。大体大きな袋に入った粉系の物だけれど。

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