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やることがいっぱい

 鍬で畑に畝を作って、そこに種をまいていく。

 上から土を更に被せたらじょうろに水を汲んで来て、畑に水をまいた。

 川から水を汲むというのが思ったよりも大変だ。位置が低いからだろうか。


「水を汲みやすく……川から引き込んで、器か何かに溜める感じ……?」

「ホー」


 何かやれそうではあるので、考えてみよう。なんて思いつつ、一旦畑から家に戻る。

 この後は、畑に置いておく椅子を作ろうと思っている。

 余っている木材を使って、しっかり丈夫なものを作りたい。


 家に戻って来て鍬とじょうろを片付けたら、木材と釘とトンカチを持ってきて枠を作っていく。

 崩れないようにしっかり枠を作って固定したら、座る面に板を乗っけた。

 板と板の間に隙間を作っておいて、雨水などが流れるように……なったらいいな。


 完成したら一度座ってみて、問題なかったので浮かせて畑に持って行く。

 置く場所はどこにしようかと少し迷ったのだけれど、とりあえず杭で囲った範囲内にすることにした。

 ちなみに、杭と杭の間を繋ぐロープはルヒの蔦にした。ヒヴィカのインクの店長さんが仕入れておいてくれたのだ。


「……うん。いい感じだ」

「ホー」


 地面を平らにしてから設置した椅子に座ってみて、満足の息を吐く。

 キヒカも横に座って、ぽかぽかの日差しを浴びている。溶けてる……と思いながらこの後の予定を考える。

 とりあえず、一旦町に行くことになるのは確かだ。外壁の直し方を教わらないと。


「外壁直したら、シンディを家に誘おうね」

「ホー。ホホー」

「うん、テルセロも誘おう。忙しそうだから、どうなるか分からないけど」

「ホホー」


 町までは馬車で来れるので、その後うちまで移動する手段を考えないと。

 私は飛んで移動しているから一日で往復できるけれど、町から家まで歩いたら一日半くらいはかかるのだ。道中宿なんかも無いので、二人に遊びに来てもらうなら結局飛ぶ方がいい。

 多分キヒカが乗せてくれるとは思うけど、それでも何か負担を軽くするものはあった方がいい。


「うーん……」

「ホー?」

「……キヒカ、でっかい籠を持って飛ぶよりは、背中に乗ってもらった方が楽?」

「ホホー……ホー、ホー」

「なるほど」


 学生時代からシンディを背中に乗せることはあったので、シンディであれば背中に乗せた方が楽だと。

 それはそれとしてでっかい籠は作ったら便利そうだから欲しくはあると。なるほど。

 ついでに、籠に人を乗せて運ぶとなると乗っている人が転ばないように対策する必要もある、と。流石キヒカは賢い。


「座れるところと、掴まれる場所が必要だね」

「ホー。ホー」

「そうだね、ズヴカヘ山のあたりだと作られてそうだけど……行くわけにもいかないしなぁ」

「ホー」


 ズヴカヘ山は、東の方にある山だ。そこにはでっかい鳥の魔獣がいて、それを家畜化していて移動のために使用されているのだ。

 そこでは確か、鳥の背中に乗って指示を出す人と、下の籠に乗って目的地まで運んでもらうお客さんが居るんだったか。

 もし作るのならその籠を参考にしたいけれど、遠いのでわざわざ行くのはちょっと難しい。


「シンディに聞いてみようかな」

「ホー」


 シンディなら何故か知っている気がする。大体の事を知っているのだ、シンディは。

 ということで、ベンチでポカポカするのはここまでにして家に戻ってシンディに手紙を書くことにした。

 屋根の張替えが終わったことと畑を始める事はもう手紙に書いたのだけれど、多分そろそろ返事が来ているだろうし、その返事がてら聞いてみよう。


 文通用の道具は、大体二日くらいで手紙を運んでくれる。

 キヒカよりは遅いけれど、それはキヒカが早すぎるだけであって馬車よりもずっと早いのだ。馬車と違って休憩も必要ないからずっと飛んでいるし。

 我ながら良い物を作った、と自画自賛するくらいには便利な道具である。


「あ、手紙来てる」

「ホー……ホー」


 キヒカもびっくりの文通速度。シンディからの手紙が既に束になっているんだけれど、シンディ側にも同じだけの量が溜まっているということだ。

 そのうち手紙が溢れて困りそう、なんて思いつつシンディからの手紙を回収し、家の中に入った。


「明日は町に行こうか」

「ホー」


 玄関で靴を履き替えてリビングに杖を置きに行き、手を洗って戻ってくる。

 ソファに座ってシンディからの手紙を開封して内容を読みつつ、あれこれやっている間に日も暮れて来てちょっと寒くなってきたので、暖炉に火を入れることにした。

 まだ朝晩は寒いから、暖炉もまだまだ使い時があるのだ。


 シンディの手紙を読み終えたら返事を書いて、インクを乾かしている間に夕食を作って食べる。

 夕飯を食べ終えたらお風呂の支度をして、お湯が沸くのを待つ間に手紙のインクが乾いたかを確認して、ついでに書き間違えているところが無いかも確認しておく。

 問題なかったら封筒に入れて、シーリングワックスを溶かして封筒に垂らす。スタンプが問題なく効果を発揮したのを確かめたら、窓を開けて手紙が飛んでいくのを見送った。


「よし、お風呂入って、早めに寝よう」

「ホー」


 明日は町まで買い出しなので、今日はさっさと寝てしまった方がいいだろう。

 なんて呟きつつ窓を閉めて、浴室に向かった。

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