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畑をやるぞ

 屋根の張替えが順調に進んで、屋根材の残りが無くなったので買い足しに町へ行くことにした。

 ついでに色々買いたいし、日の出とともに出発して町へ向かう。

 最近は日も長くなってきたし、あちこち回ってもまぁどうにかなるだろう。


「行こう、キヒカ」

「ホー」


 朝日が眩しいなぁ、なんてのんびり考えながら、杖に跨って地面を蹴る。

 いつも通り杖に相乗りしてきたキヒカを撫でて、ほぅ、と息を吐く。早朝だとまだ少し寒いけれど、上着は冬用の物からペラペラと称されたいつもの上着に変えても大丈夫なくらいの気温にはなった。

 吐いた息も白くはない。多少の肌寒さは心地が良いくらいだ。


 機嫌よく飛んでいると町につくのもすぐで、地面に降りてキヒカを肩に止める。

 門番さんに会釈をして町に入り、まずは荷物が増える前にロヒ・レメクへ行くことにした。

 お守りはまだまだ作った分だけ売れている状態で、思っていたよりも皆欲しがるんだなぁ、と持って行くたびに思っている。


「ホー」

「うん?」


 お守りの需要はいつまで高いだろか、なんて考えながらのんびり歩いていたら、キヒカが何かに気付いたように一声鳴いた。

 何かと思ったら、視線の先には見知った人がいた。


「あ、レイラさん」

「フィフィーリア。買い物?」

「はい。春になったので家の修理を再開しまして」


 レイラさんも買い物に出てきたらしく、手に持った籠の中には食材が色々と入っていた。

 そのまま少し雑談をして、外壁を直すための相談にも行くと告げておく。

 今日は大工さんが忙しいらしいので、屋根を直しきってからにした方が良さそうだ。


 となると大工さんの所に行くのは次回なので、忘れないようにメモしておいた方が良いだろうか。

 なんて考えながらレイラさんと別れて、のんびり歩いてルルさんの所へ向かう。

 町の中も春の気配に満ちていて、なんだかちょっと色味が可愛い。花が咲いているのも関係しているだろうか。


「こんにちは」

「あらフィフィーリア、いらっしゃい」


 ロヒ・レメクの中も、春の可愛らしい色に包まれていた。

 色んなものに小さな花の模様が付いていて、とても可愛らしい。

 あとでじっくり見よう、と思いつつカウンターに近付き、荷物から小箱を取り出した。


「強いお守り、調整してるので次回はちょっとだけもって来れると思います」

「もう調整できたの?そういうのって難しいって聞いたことあるけど」

「私はこれが専門なので……」

「なるほどね。なんであれ早いのは助かるわ。無理はしなくていいけど、よろしくね」

「はい」


 アデラにも相談して内容は決めたので、あとは調整を加えるだけだ。それももう終盤、あとはどれが一番いいか確かめれば終わりなので、次回持って来てみてどれくらい作るかを決めることになるだろう。

 今回はいつも通り使い切りのお守りを売って、お店の中を見ていく。

 文通用の道具を作った結果シンディとの文通の頻度がかなり上がって、レターセットが見る見るうちに減っていくので、可愛い小花の柄のレターセットを買っていくことにした。


 春らしくてとてもいい。

 二種類ほど買って、荷物にしまって次の目的地へ向かうことにした。

 次に向かう先は、いつぞや小さなスコップと荒れ地開墾の本を買ったお店だ。


 畑の範囲も決めたし、あの後石を退けてある程度雑草の根っこも取り除いたから、種をまいても大丈夫なようにはなった……はずなのだ。

 なので、種も買いたい。あとじょうろ。畑を始める前に水撒きの手段が魔法しかないことに気が付いたのは良かった。絶対に必要な物をうっかり忘れているとか、たまにあるのだ。


 そんなわけで、いつぞやの園芸店にやって来て、中を覗く。

 中の椅子に座っていた店員さんと目が合って、びっくりして二歩ほど下がったら扉が開いた。

 扉にもびっくりしてちょっと跳ねたら、キヒカが呆れたように一声鳴く。


「荒れ地開墾する予定の魔法使いさん」

「あ、はい」


 覚えられていたらしい。驚きだ。荒れ地を開墾しようとする魔法使いはそんなに珍しいのだろうか。……珍しいかもしれない。

 ともかく、お店の中に移動して畑の準備がとりあえず出来たから、種が欲しいのだと告げる。


「土によって育ちやすいもんも違うけど……ここからそんなに遠くないなら、まぁおんなじ物が育つんじゃないかなぁ。とりあえずオススメはこれ」

「ロピュの種」

「そ。どんな土地でも大体育つし、暑さ以外にはそこそこ強いから。あとはトマトとかかなぁ」


 言いつつ、店員さんは本棚から一冊の本を取り出した。

 畑の基礎などがまとめられている本のようだ。育てやすい野菜と、なりやすい病気などが纏めてあるようで、これは買って行った方がよさそうだ。

 その他色々教えて貰いつつ、種とじょうろと本を買う。ついでに、あった方が便利だからと鍬も買った。手作業でやる方が楽な作業もあるらしい。


「またおいでー」

「はい、色々ありがとうございます」

「ホー」


 お店の外に出て、荷物を纏めて浮かせる。

 これで畑を始めることは出来るので、他の必要な物も買いに行こう。とりあえずは資材屋さんだ。屋根材を買わないと、もう屋根材は手元にないので。

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