おきなのはなし
ノリと勢いで書いています。
シリーズの一番上から読んでください。
童話かぐや姫の要素を取り込んでいます。
翁、おきなとは、かぐや姫を拾って、育てたおじいちゃんです。
太い銀色の竹が何百本も空をつくように伸びる。
わしは、この大竹林の管理者の一人だ。
この異常電磁波区域を目で見てパトロールしている。
この地域は、サーチやサーモグラフィック使いづらく。
間違えて、子供や家畜、知らない旅人が迷い込むことが多い。
それらを助け、竹林を加工して売ることが私の生まれ育った村の役割だ。
竹林がカサカサと動いた。
ワシは、体に備え付けのナタを構える。
薄汚れた年行かない銀色の少女が竹林から現れた。
「お嬢さん、どうしてこんな山ん中に、迷ったのか?」
少女は黙った様子でワシをみていた。
「まさか言葉はなせんのか」
それが少女、なよたけとの出会いじゃった。
なんとか手を引っ張り、村に連れて行った。
身元がわからない子供とかもあの竹林からたまに出る。
そういう子は、村で引き取って育てる。
わしの代では、なよたけが初めてだった。
名前の由来だって、婆さんが子供には竹関係の名前をつけたくて、なよたけの体が柔軟だったからつけた。
何年も話すのにかかると思った言葉は、一年後には流暢に話していた。
三年過ぎたら、村でいちばんの美しい働き者の女性になっていた。
そしたら、縁談がくるのじゃが。
厄介な相手に五人同時に申し込まれた。
どちらも身分の高い男でかつ、なよたけが断るのも難しい。
かといって、五人のうち一人を選んでしまうと、その残りの家とこの村の付き合いが悪くなるリスクをはらんでいた。
それでもこんな年寄りばかりの田舎に一人でいるよりはいいと思って、見合いを勧めていた。
しかし、なよたけは五人にお願いした。
なよたけの言ったものをなよたけより先に手に入れた人と結婚すると。
なよたけは竹林でよくものを探していた。
それはとても大事なものであるようだった。
村の竹林を指定していた。
「私のせいで死んだ姉たちと兄たちの遺体を見つけて」
なよたけが出した課題に背筋が凍った。
話を聞けば、なよたけを守るために集落の決まりごとを破った結果、集落から追放されてこの地に落ちたそうだ。
この大竹林は、大小百以上の集落に囲まれている。
竹林周辺の出鱈目な気候と生き物のせいで日々新しい集落ができて、滅んで行く。
どこの集落かはしらないがこんな幼い子を捨てるなんてひどい。
危険な大竹林を探索しろと言われて、五人は辞退した。
死んでこいというようなものだからだ。
五人の縁談が消えたあと、なよたけは大竹林を一人で探索しようとした。
けれど、そこに六人目の求婚者が現れた。
「僕も一緒に探させて。手伝うから君が僕を気に入ったら僕と結婚して」
と言ってきた今まで権力や財力を振り翳してきた求婚者とはわけが違った。