第八話 催眠
ダミエル「ん…んう…」
俺「お、気づいたか。」
ダミエル「…誰だ?
ん?
あぁ、さっき運んでやった…」
俺「そんでオメェをボコした奴な?
心配だったから一応様子見に来たんだけど…」
ダミエル「おいおい。ちょっと待てよw
ボコした?w
何言ってんだよ。それに…
何でお前じゃなくて俺が寝てんだ?
さっき運び終わって…帰ろうとして…」
俺「ん?
待て待て待て。
えーっと?
お前さっきさぁ、
『さっき運んだ』っつった?
『さっき』ぃ?
俺はとっくの昔に回復してんの。
んで、復帰したての俺とお前でドンパチかまして、
お前が負けたんだよ。
どぅーゆーあんだーすたん?」
ダミエル「ハハッ。お前、面白いこと言うな?
こんな可愛い顔した奴に負ける訳ねーだろ?」
はぁ?何言ってやがんのコイツ…
雷に打たれて記憶なくした?
にしてもおかしい。
何故それまでの記憶は持っておるのじゃ…
俺「奇妙だ…実に奇妙な出来事だ…
?!
新手のスタンド使いか?!」
ダミエル「え!w
お前、『ジョジョの奇妙な冒険』知ってんの?w」
俺「知ってるだぁ?
知ってるどころじゃあないさ。
大好きだよ!」
ダミエル「マジかよ!
お前とは気が合いそうだよ。
よろしくな。」
俺「おぅよ!
『ジョジョ』好きに悪いやつぁ居ねえと思ってっから。
少なくとも、今んところそんな奴出会ってない。」
ダミエル「だよな!
ってか、名前聞いてなかったな。
名前何?
あ、あと、アニメ勢?
それとも漫画勢?」
俺「名前?
お前知ってるだろ。」
ダミエル「え?知らんけど。」
俺「はぁ?」
マジかよ…
マジの記憶喪失?
まぁ、日常に支障出る程じゃなさそうだし、大丈夫だろうが…
ガラガラガラ
守「あ、魔裕大さん!
ここに居たんですね?
勝手にどっか行かないで下さいよー!
僕たちは仕事で貴方について回ってるんですから…
っえ?」
吸牙「チッ…世話焼かせやがって…
何で保健室なんかni―――
って、ダミエル!
もう目覚めてやがる!
離れろ!魔裕大!」
―流星拳―
俺「やめろ吸牙!」
吸牙「え?!」
バァァァァァン
俺「っカハッ…」
吸牙「お、おい…
何やってんだよ…」
俺「逆に怪我人殴るバカが何処に居んだよ!」
守「ここに居るじゃないですか。」
吸牙「なっ…!
守!お前!」
ダミエル「俺はどーでも良いけどさ…」
スタッ
俺「ダ、ダミエル!
お前、その怪我で無理すんな!」
ダミエル「『ジョジョラー』仲間を傷つける奴は許さねー!」
俺「やめろダミエル!」
グキッ
ダミエル「あ…
腰が…」
俺「だから言ったのに…」
俺は3人共に現状を話した。
まずダミエルには『俺らが戦ったこと』、『ダミエル雷に打たれたこと』…
…
『教頭を殺っちまったこと』を…
吸牙と守には『ダミエルが記憶を失っていること』を。
ダミエル「…
アイツかもな…」
俺「アイツ?」
ダミエル「宇佐草サイモン。
知ってるか?」
吸牙「宇佐草…?
あ!お前と戦う前に、お前と一緒にいて、
いつの間にかどっか行ったあの男か!」
ダミエル「知ってるっぽいな。
アイツの初持技は、『精神干渉』。
パッと聞いた感じ、そんな恐ろしい技じゃ無さそうだが、
使い方によっちゃ、他人を操れるようになる。
まぁ、そこまでするのに時間はかかるがな。
多分俺も、魔裕大を運んだ後から、なんかしらの催眠術で操られていたんだろうな。
アイツの術は本物だ。催眠術どころじゃねぇ。
信じるとか、そーゆー問題じゃない。信じようが信じまいが勝手にかかる。
だから、奴を見かけたら気をつけろ。」
宇佐草サイモン…
たしかに、ダミエルが暴れ出す前…
(回想のサイモン)『さぁ、ダミエルちゃん。歯向かうやつなんて、ボコボコにしてきなさい!』
とか、言ってた気がする…
あれは操られていたからだったんだな?
吸牙「あぁ、そういえば、教頭は治療しておいたから安心しな。」
俺「え?!いつの間に?!」
守「今は無事に職場復帰してますよ。」
俺「まじか?!
先に言えよ!ダミエルに変な罪悪感与えちまったじゃねぇか!
ごめんなダミエル…」
ダミエル「あ、別にいいよ~」
三人「軽っ!」
俺「罪悪感ねぇのかよ?!」
ダミエル「あーだってアイツ前々からセクハラしてきてたし…
まぁ、『これで今後やらないのかな』と思えば別にいいかなって。」
えぇ…
教頭、ショタコンかよ…
守「にしても、その宇佐草とかいう人…
放っておいたらまたひどいことになるんじゃ…」
ガラガラガラ
サイモン「ダミエルちゃ〜ん!
雷にやられて催眠解けたみたいだから、かけ直しにきたよ〜…」
・ ・ ・
サイモン「あ。」
ダミエル「サイモン、テメェ…!」
吸牙「幼馴染を利用するとか、下衆のする事だぜ?
サイモンさんよ!」
ダミエル「幼馴染?
コイツが?
あってたまるかよ!
コイツはここに来て初めて会ったんだぜ!」
守「うわ…キッショ(ボソッ)」
俺「守、お前陰湿だな…」
(サイモン)あーあ…
なんかヤバい感じになっちゃった…
サイモン「フフ…
ダミエルちゃん…こういう時には、『足を使う』んだよね。」
ダミエル「は?
おいおい…
まさか…!」
俺「なるほど…
まさか、『アレ』を使う気か…?」
吸牙「お、おい。『アレ』ってなんだよ…?」
守「コイツ、こう見えてそんなに強力な技が…?
『足を使う』?
蹴り技か…?」
・ ・ ・
サイモン「逃げるんだよォ〜!」
ダミエル「バカかお前はァ!
見え透いた事言ってんじゃねーよ!」
―磁力『N』―
サイモン「ギャァァァァァァァァ!」
俺「任せろ!」
―閃拳―
サイモン「ウゲェェェェェェ!」
俺「どうする?!
オラオラするか?!
無駄無駄?!
ドラララ?!」
ダミエル「いや、いいわ。
コイツ、あくまでアシスト的なポジションで、
防御力とかゴ・ミ。」
サイモン「う、うェェェェェ…」
守「これに懲りたらもう2度とこんなことしないで下さいね。
いつでも見てますから。
ずっと見てますから。
何処からでも見てますから。
誰かが―――」
俺「おいおいおいおい。
お前な〜んか急に闇出るやん。怖いから辞めて?(汗)」
はぁ…これでダミエル事件はやっと終わった感じかな…
俺「あ、そうだ。
俺、アニメ勢だよ。」
ダミエル「マジ?
俺どっちも〜」
俺「え!
漫画あるって事は…」
ダミエル「ふっふっふ…
8部までありま〜す!」
俺「くぅ〜
い〜なぁ!
俺も読みた〜い!」
ダミエル「良いだろう!
特別に貸してやる。」
俺「マジ?!
良いの?!」
ダミエル「もちろんもちろん!
なんせ、ナ・カ・マ、だからな!」
俺「魚〜!
さっすがダミエルせんぱ〜い!」
俺&ダミエル「ダハハハハハハハハハ!」
吸牙「チッ…
さっきから何の話で盛り上がってんだよ…」
守「僕たちを忘れて楽しそうにしちゃって…」
俺「いや、だってな?
『ジョジ―――』」
サイモン「だって『ジョジョ』の話よ?
盛り上がって当然。」
4人「?!」
サイモン「何?
まさか『ジョジョ』知らないの?
もったいない…」
吸牙「チッ…!
テメェ!いつの間に?!」
サイモン「あらあら、質問?
『ジョジョ』なら昔から読んでるわよ。」
4人「あ”?」
なんなんだコイツ…!
さっき確かに『閃拳』を喰らわせた筈だ!
確かに手応えはあった!
俺だけじゃあねェ!
ダミエルも磁力で引っ張った!
なのに元の位置から一歩も動いてねぇ!
絶対に逃げてねぇ。逃げる隙なんて無かった筈だ!
ダミエル「『精神干渉』だ…
さっき俺たちが攻撃を当てたと思ったのは…
いや、攻撃を当てたと思わされたんだ。」
サイモン「何々ー?そんなスタンドいたっけなぁ?」
(4人)ぐっ…
なんなんだコイツ…
そういやこの前もだったな…
なんか、こう…
(守)夏前とか秋ぐらいに、群れになって飛んでる、あの虫にたかられる様な…
『うざったらしさ』がある…
吸牙「チッ…
テメェ、ブッ殺す!」
―流星拳―
ダミエル「落ち着け吸牙!」
吸牙「っせぇ!」
ドガァァァァァン
サイモン「ガ八ッ…!」
吸牙「チッ…
雑魚のくせに手古摺らせやがって…」
サイモン「もぅ。ほんとだよねぇ?
雑魚は雑魚らしく、くたばっとけっての。」
吸牙「?!
テメェ!」
―流星拳―
ドガァァァァァン
サイモン「いくら立ち上がったって無駄なのにねぇ?」
―流星拳―
ドガァァァァァン
サイモン「いくら立ち向かったって―――」
ドガァァァァァン
サイモン「勝てるわけ―――」
ドガァァァァァン
サイモン「ないのにぃwww」
俺&守&吸牙「こいつ!
ムカつく…!!!!」
吸牙「チッ…
テメェ…
おちょくりやがって!!!
スターダスt―――」
守「あ”ぁ”んもう!
言うこと聞きなよ!」
―バリア―
吸牙「?!
おい!何やってる守?!
ここから出せ!
おい!聞いてんのか?!
おい!」
守「うるっさいな!
一旦頭冷やしなよ!」
俺「やめろ!こんな時に喧嘩してる場合か!」
守「貴方に言われたくないです!」
俺「はぁ?!」
(ダミエル)まずい。見事に奴の術中にハマってる…
俺もハマってる。
俺は奴の初持技を知っているからなんとか耐えることができているが…
口を開いた瞬間こいつらみたいになりそうだ…!
俺「おいダミエル!
お前もなんか言えよ!」
(ダミエル)やめろ…
守「そうですよ!
僕は間違ってないって言ってください!」
(ダミエル)やめろ…
吸牙「とにかくここから出せ!」
(ダミエル)やめろ…!
俺「おいダミエル!」守「ねぇダミエルさん!」吸牙「ここから出せって!」
ブツッ
(ダミエル)俺のどこかで、
『ショタ』と言われたときに聞こえる音がした。
ダミエル「テメェら…」
サイモン「あ。」
ダミエル「クソだリィんだよォオオオ!!!」
(サイモン)両腕を広げた…!あの構えはヤバい!
(ダミエル)右手!
―磁力『S』―
(ダミエル)左手!
―磁力『N』―
ダミエル「全員!仲直りのキスだァァァ!!!」
(サイモン)さ、ここはお暇させていただきま~す。
みんな頑張ってね~♪
―錯覚『代わり身』―
(サイモン)アッシの初持技、『精神干渉』は、
ありとあらゆる錯覚を引き起こしたり、感情をコントロールできる能力。
ダミエルちゃん。アンタは気づいてるみたいだけど、気づいたところでの話なのよ!
そ・れ・にぃ…
『怒りの三将』…♡
その爆発力は計り知れない…
大事なコマが失われるのは惜しいけど…
そのまま身内で殺り合って自滅しちゃいなさい!
俺&守&吸牙&サイモンの幻影「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
(サイモン)よし。
ダミエルちゃんの動きや反応から察するに、無事に幻影が仕事してるようね。
じゃあ、この隙にっと…
…?
この隙に…
…
なっ?!
う…
動けんッ!
ば…ばかな…
ま…まったく…
か…
体が動かん?!
ダミエル「俺が動きを止めた…
テメェの姿は幻影しか見えねぇが、俺の初持技は『狂磁力』だぜ?
姿が見えずとも、手応えはバッチリつかんだぜ…!!」
サイモン「ダ…!
ダミエルちゃんッ!」
ダミエル「てめぇよぉ…
『怒りの三将』なめんなよ…?
もちろん俺は怒っているさ。
だがな…
この程度の怒りで…自分を見失うようじゃ!
この世界じゃ生きてけねぇよ!!!!」
(サイモン)マ、マズイ…!
このままじゃ、ホントに殺られる…!
ダミエル「喰らえや!!!!」
サイモン「いやぁぁぁぁぁぁ!」
―無効空間―
俺&守&吸牙&サイモン「うげっ!」
ダミエル「何者だ…?」
パチ、パチ、パチ、パチ…
?「いやぁお見事お見事。
素ぅん晴らしい…!!!
その技ぅ?冷静さぁ?みなぎる魔ァ力ッ!
トrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrレビアンッ!」
ダミエル「り、理事長?!」
理事長「さぁさぁそこのまじない師?彼らへの催眠を解きなっさい?」
サイモン「はぁ…時間切れですか。」
―感情操作『解除』―
俺&守&吸牙「…?
あれ?
俺(僕)たちは何を…?」
理事長「さぁさぁそこの金髪美少年?君はぁ、Aランクにぃ、昇格ッだっヨ!」
ダミエル「え?俺が…ですか?」
理事長「うんうん♪
君にはもっと早く声をかけるつもりだったんだけど、この前は雷に打たれてたみたいだしねぇ…」
ダミエル「あはは…」
(ダミエル)宇佐草ァ…!
理事長「ま、君が授業に復帰できるっこぉろには、Aクラスへの手続きは済んでるっかぁら。
いや、今見た感じもう復帰できるっかぁな?
まぁどっちみち、次からはAクラスで授業が受けれるっヨ♪」
ダミエル「あ、ありがとうございます…!」
俺「ほぇ?あんた誰ぇ?」
・ ・ ・
吸牙&守「うるさいっ!理事長だ(ですよ)!
口の利き方に気をつけろ!(気をつけないと!)」
理事長「ん?
なんだい?
あの冴えない少ねn…!!!!!!!」
(理事長)な…なんだ…?!
この凄まじいオーラは?!
出るにしても、
この金髪少年から出ているものではないのか、普通は?!
それに、なんだこの奇妙なオーラ…
凄まじい…そう、
凄まじいのに…
凄まじい筈なのに…ッ!
彼の方を見るまで気づかなかった!
理事長「ッフッフッフッ…
トレビアン…
フフッ…!
トrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrレビアンッ!
ハーッハッハッハッハァ!!!
ウーッハッハッハッハァ!!!」
な、なんだこのおっさん…
俺を見た途端笑い出したぞ…?失礼だな。
こんな失礼な奴が理事長?
やっぱイカレてんな。この学校…
理事長「そこの冴えない少年ッ!」
俺「あ、はい…」
理事長「君をAクラスに昇格ッだ。」
・ ・ ・
4人「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!」
サイモン「いやいや、驚きすぎじゃない?
だってAクラスをバッタバッタ倒していったのよん?
Aクラス相当の能力値はあるでしょ。」
理事長「いや、ない。」
サイモン「ん?今なんて…?」
理事長「いいや。なんでもないっヨ。
とにかく!君には明日からAクラスで授業を受けてもらうっヨ!」
俺「いや、ちょっと待ってください!
そんな急に『上がれ』って言われたって、無茶でs―――」
理事長「君は…この学校…
いや。
この世界を変える力を持っているかもしれない…」
俺「…?」
理事長「これは私からのプレゼントであり、願いだ。
良いものを見せてくれっヨ!
期待してるからね~」
俺「あ、ちょっと…!」
―テレポート―
ピカッ
俺「うっ…
…
行っちまったよ…」
・ ・ ・
守「そういえば理事長もテレポート使えましたね。」
俺「…あ!
あぁ、でもそうか…」
守「そう。魔力量が凄いですからね…」
吸牙「チッ…それより!
なんでお前がAクラスなんだ!」
ダミエル「それもそうだが、こいつの処分はどうする?」
サイモン「え?アッシ?」
吸牙「ほんとだ!
チッ…テンメェ…」
サイモン「ちょっとちょっと!
アッシは理事長に頼まれただけなんだから…!」
ダミエル「そんな嘘通じるか!」
俺「そーだそーだ!」
守「いや、噓じゃないかもですよ。」
吸牙「あぁ。
理事長は生徒に対して抜き打ちでチェックを行うことがある。
頑張ってる生徒や、たるんでる生徒、ダミエルや魔裕大みたいに来たばっかりの生徒だったりに対してな。」
守「せめて『ダミエル先輩』でしょ?」
吸牙「あ”あ”!
はいはい。
いずれにせよ、今理事長が来たことから考えても、
コイツの言ってることが嘘でないことのほうが可能性が高い。」
サイモン「そうよそう!
まぁ、ちょっとは本心だったのよ?
『ダミエルちゃんを操って、この学校のトップにでもなれたらなぁ…』なんてね。
でもね、逆にそれぐらいの気持ちでいかないとやられちゃうし、
理事長も本気で良いって言ってたのよ?もし勝ったらそのままでもいいって。」
守「確かに…理事長なら言うかもしれない(笑)」
サイモン「じゃ、お暇しまーす。
さよなら~」
・ ・ ・
吸牙「チッ…
で?
なんでコイツがAクラスなんだよ?!」
俺&守&ダミエル「何回言うねん!」
ついに…Aクラスになっちまった…