第四話 見返してやれ! 〜前編〜
う〜ん、Aクラスはショボいかもだけど…流石にエンペラーはキツイのかな…?
あいつ…ちょびっとヤバそうだしな…
てか、相性いいとか言ってたけど、本当かぁ?
もしかして、俺のせい?
一ヶ月半ほど前…
俺「失礼します。あの…エンペラー…さん?いますか?」
この前のモブ「あぁん?
お。誰かと思えばテメェ、
この前の生意気なやつじゃねぇか!
ほらみんな!この前のやつだ!まぁたブチのめされにきたのかぁ?ケッケッケ…」
Aクラス中が笑いに包まれてる…
俺のことを見て笑っているんだろうな。
でも、誰か1人くらい『“Eクラス“の俺にブッ飛ばされて笑っていられるこいつ』を笑っていてくれてないかね…?
う〜…
『閃拳』も完成してきたし、テストついでにもっかいブッ飛ばしてやろうかと思ったが…
できるだけ穏便に行きたい。じゃないと、聞くどころじゃなくなる。
モブ「遥さまぁ!この前の命知らずが来やしたぜ。」
遥「あ?あぁ、君か。どうしたんだい?わざわざ近づかないでいてあげたのに、またブッ飛ばして欲しいのかな?フフッ。わざわざ自分から苦しもうとするなんて…もしかして…君、Mなのかな?」
俺「ほわ?!そ、そそそそそそそそんな!そんなわけぇ?ね、ねーしぃ?おおおおお俺がぁ?ドMとかぁ?んなわけねぇしぃ?」
遥「『ド』までは言ってないんだけどな…しかも、図星って…
まぁいいや。で、用件は?」
俺「あの…単刀直入に聞きます。」
遥「いいよ。今日は気分がいいからなんでも聞いてよ。」
俺「エンペラーさんの初持能力の…弱点ってなんですか?」
…
オイオイを~い
一気に空気が冷たく、重くなった気がしたんですけどォ〜?
遥「みんな、外に出ててくれる?」
はい。終わったぁ〜。
そんなに嫌なんか?
別に良ぇやん!ちょぉっとバレるぐらい!
どうせこの学校で最強なんだしさ!
あーあ。終わった。
遥「なんで…そんなこと聞くんだい?」
俺「えぇっと、この学校の最強を保って2年目ですよね?それで、どうやって弱点をカバーしたらそんなに強く―――」
遥「あー!立って話すの疲れた!椅子になって!」
俺「え?」
遥「椅子になって!」
俺「椅子ならそこに…」
遥「ボクがわざわざEクラス風情に、
しかも…『弱点について』話してやってるんだよ。それぐらいもできないの?」
クッ…このボクっ娘お嬢様がよ!
俺「わかりました…」
仕方ねぇ…
非常に嫌だが…
どうやら、四つん這いになるほかないようだ…
うえぇ…きったねぇ…
不特定多数の人間が歩いた床なんて…
まぁでも、カーペットだから、気分的にはまだマシだ。
クラスによって部屋も違うんだな…
床や壁だけじゃない。椅子とか机もおしゃれだ。
冷たい金属製じゃない。温かみと、高級感のあるウッドの椅子や机だ。
制服かどうかも変わるらしいな…
とりあえず、Eが絶対制服なのは分かる。
Aは…制服でも私服でも自由って感じか…?
この前いた私服どもはAクラスの連中だったのか。
うぅ、布団だ。これは布団だ。
俺が触っているのは、自分の布団だ。汚くなんかない…
遥「おい。揺れてるぞ。これぐらいで震えるなよ。」
だって身長ある分重いじゃん!
あと…あそことかには…女子特有の…重さが…
遥「何?もしかして、ボクの尻に敷かれて喜んでるの?
きっしょ…ホント気持ち悪い…
あぁ、でも、マゾの人って、こうやって、罵倒されるの、好きなんだっけ?
じゃあ、ボクの椅子になったまま罵倒されても、文句ないよねぇ?」
あのなぁ…俺は、Mっつっても精神的苦痛は無理なんだよ。
あと、肉体的苦痛にも限界がある。
あぁ…
そういえば昔、部活の自主練、滅茶苦茶黙々とハードなやつやってたら、ドMとか言われて、更に周りに距離取られたよなぁ…
別に良いことなのにな?しかも昼休憩とかまでやってたんだぞ?!まぁ、友達がいないってのも理由だけど…
壁だけが友達だった…あいつは良いやつだったよ…真剣に俺の練習に付き合ってくれる…
いやぁ懐かしいなぁ…
遥「で?なんの話だっけ?」
俺「えっと…エンペラー…さんの…ライフ…アビリティの…弱点…は何かって…話…です…」
遥「ねぇ、『エンペラーさん』って呼ぶの、やめてくれないかい?
ボクには、ちゃんと『遥』ってカッコ良くて可愛い名前があるんだから。
あぁもちろん、『様』つけてね。」
俺「遥様…初持能力の…弱点を…教えて…ください…」
遥「あのさぁ、途切れ途切れ言われても―――」
俺「遥様の初持能力の弱点を教えてください!」
あ、だめだ…もう力が…
遥「うわっ」
俺「うえっ」
遥「いったぁ…ちょっと!ちゃんと椅子になっててよ!しかも、急に大きな声出さないでよ!」
俺「もう…力が…」
遥「あ“ぁ“ん、もう!
しょうがないなぁ…
ボクの弱点は、『魔力消費量が多い』ってこと!良い?一回しか言わないからね!」
俺「あ、ありがとうございます!」
遥「あ、ちょっと!はぁ…もう出ていった…」
情報不足だったかなぁ〜…
とっととコイツらブッ飛ばして、申し訳なさついでに助太刀に行くかぁ…
えぇと…他の敵はどぉ〜こだ?
?「死ね。」
―流星拳―
俺「危ねッ!
考え事してんのに急に殴るなよな!」
しかもオメェら不意打ち好きすぎるやろ。
俺「ま、惜しかったな。
おみゃあさんも、おちかれサンバ!
ゆっくり眠れよ…ッ!」
―閃拳『睡』―
?「ぐっ…
フフッ…ありがとさん、よッ!!」
―閃拳『睡』―
?!
おい、コイツ…
俺の『閃拳』をパクったのか…?二度も。
しかも『睡』まで…
俺のオリジナルじゃないの?あれって。
いや、オリジナルのはずだ…
おかしい…
?「チッ…コイツ、避けやがった…」
俺「『避けちゃいけない』なんて言われてましぇ〜ん。」
?「チッ!」
―閃拳『睡』―
うわっあっぶねぇ…
『自分の技が一番効くのは自分』とか言うけど…
やっぱ食らう側から見たらやっぱ速ぇーなぁ!おい!
?「チッ…貴様か、初日から姉貴に反抗したってのは。」
俺「チッ…貴様か、#$@%&*:“『〜&%%$*。 (?のマネ)」
・ ・ ・
?「は?」
俺「ホア?」
?「は?」
俺「ホア?」
?「チッ…真似をするな。気色悪い…」
俺「チッ…真似をするな。気色悪い…」
?「真似をするなと言っているだろうが!しかも、それで真似しているつもりか!」
俺「真似をするなと言われましてもねぇ…君の初持技(?)…モノマネだろい?」
?「チッ…答える必要は無いな。」
俺「ってか、俺って、そんなお尋ね者みたいに言われてんのぉ〜?なんかショックだわー。」
もう一つおかしな事がある。
コイツ…『睡』を喰らって眠らねぇ…!!
俺「だって…あれ、正当防衛だよん?知らない?
せ・い・と・う・ぼ・う・え・い♡」
?「チッ…笑わせるぜ。あんだけブッ飛ばされてて『防衛』だ?」
俺「へぇ…
なかなか言ってくれるじゃあないの…ッ」
―閃拳『風』―
属性、『風』。
『閃拳』を身に付けたときに、ちょっと習得しかけていた属性。
改めて習得し直すことで、『閃拳』も初期より威力が上がった。
ドッ
?「ぐっ…」
まだ安心するなよなジョジョ(?)!
こんどは『風』付きだ!
捻れるような痛みを…
味わいなッ!
ゴォォォォォォォォ
?「ぐぅぅッ…?!
…ッ!
オラァッ!」
―閃拳『風』―
?!
来るッ!
しかも顔面…!
避けろ…!!
ゴォォォォォォォォ―――
このままじゃ…
当たっちまうッ…!
チッ
いてぇッ…!
なんとか避けたが、頬をかすめたか…
?「チッ…
惜しい…
また避けやがった…
が!」
―閃拳『風』―
?「もう一発!!
顔面避けて、胴がガラ空きだぜッ!」
クソッ!
避けれない…!
ドガァァァァァァァァァン
俺「ガハァッ…」
?「手応え良し。
上手くみぞおちに入ったなぁ…
あの威力だ。しばらく呼吸はできまい。」
俺「あ"…
か…」
?「フハハッ!
どうだぁ?
自分の技を喰らう気分は…
不思議だろ?
気持ち悪ぃだろ?
悔しいだろ?」
やっぱりだ…なかなか眠らねぇ…!
効かなかったのか?
だとしたらもう一発食らわせてみるか?
いずれにせよ、呼吸を…
?「良いね良いねぇ…その驚いた顔。
どうしようか。トドメをさしても良いが…
こうやって苦しんでる貴様を見るのも気分が良いなぁ…」
吸えないときは吐く…!
強制参加だった陸上練習とか駅伝練習で言ってたやつ…
俺「…
っつうか…おめぇ…は、あんたん…とこの、ボスより…落ち着いてて…助かるわぁ…」
スゥッ
よし。吸えた!
あとは『システマ』ができれば…
俺「技も…
ゲホッ…
ぱっと見ぃ…
アイツなんかよりお前の方が優秀なんじゃあないのぉ?」
?「今…なんといった…?」
俺「はぇ?!なんて言ったかのぉ?モゴモゴ言われても聞こえんわい! (お年寄りのマネ)」
早く…!
早く『システマ』のチャンスを…!
?「今!姉さんより…俺の方が…と言ったのか!」
俺「え〜なぁ〜にぃ〜?
おめぇもエビフライと一緒で一回じゃ分かん無いタイp―――」
―流星拳―
遅いな。
俺「よっと。」
吸牙「チッ…また避けやがって…」
…?
急に『流星拳』になった…さっきもだ…
もっかい使えば良いのに、2回ずつしか使ってこなかった…?
もしかしてもしかすると、制限があるのか?
てか、エビフライの三人称変わった?
てゆーか、今だ!
―システマ―
俺「スッハッスッハッスッハッスッハッスッハッスッハッ―――」
『システマ』。
ロシアかどっかの軍が、痛みを取るときに行う呼吸法。
それを技化することで強化した。
元々は、お笑い芸人がやってたのを真似てたら出来て、ネタにしてた。
因みに、回復は出来ない。
俺「スー、ハァ~…
よし。
オイオイオイィ!なぁんだよ急に!さっきまで仲良しこよしでlet's enjoy talkingしてただろ?」
?「姉さんが…俺より…劣ってるはずはないんだ…」
俺「も〜なんて言ったの♡モゴモゴくんはモ・テ・な・い・よ♡」
?「姉さんが俺なんかより劣ってるはずがない!
姉さんは強くて美人で優しくて!
素晴らしい女性だ!
なのにどいつもコイツも!
姉さんのことを知らないくせに!」
やっぱ変わってるよなぁ…『姉貴』から『姉さん』に。
てか、ほめてやってんのに殴りかかってくるって…
アイツと比較したのが悪いっぽいな。
それとも、アイツのこと悪く言われんのが嫌なのか?
俺「おーい、もういいかーい?」
?「黙れ!貴様に口を開く権利はない!それに!姉さんのことをエビフライって言ったなぁ!」
えぇ…泣いてるし…シスコンかよ…
でも顔似てねぇし、ホンマに姉弟なんか…?
てか、喋る権利ねぇって…人権ないのかよ…
はぁ…なんかやる気失せるわぁ…
?2「なんだ?手こずってんのか?吸牙ぁ?」
あ、こいつ吸牙って言うのか。
そういえば、最初に呼ばれてるやつの中にいたなぁ…
あと名前呼ばれてたのは…
吸牙「ぐすん…ぐすん…誰?」
・ ・ ・
え?知らんやつなのかよ?!
普通に話しかけてるから仲良いやつかと思っちゃったじゃんかよ!
?2「ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?
『誰?』じゃねぇぇぇんだよ!
モブ モブ太だよ!
同じAクラスの!
しかも隣の席!」
あらぁ…
某国民的アニメ(漫画)の主人公みたいな名前しちゃってぇ…
で、でも、こんなに特徴的な名前で、しかも、隣の席なら…!
吸牙「ぐすん…ぐすん…誰?」
えぇ…隣の席のやつぐらい分かってやれよ…
どんだけ無関心なんだ…
てゆーか、俺でも誰か分かったわ。
俺が初日にブッ飛ばしたうちの1人じゃんかよ!
モブ太「ぬおおおおおおおおおおおおおお〜い!
はぁ、もういいや…だからこそこっちはキレてんだよ!
いっつもいっつも呼ばれんのは吸牙。吸牙、吸牙、吸牙、吸牙。
なんでだよォォォ!
どうしてだよォォォ!
舐めやがって!
俺だってAだぞ?!
Aなんだぞ?!
なんとかAなんだぞ?!
俺なりにAなんだぞ?!」
コイツ、やかましいな…
吸牙「ぐすん…ぐすん…誰?」
モブ太「もうお前それわざとだろ!
もういいわ…
ん"っん"ん!(咳払い)
お!ちょうどいいところにしょぼそうな能力者がいるじゃねえか…」
おいおい…それいいのか?
有名な咬ませ犬のセリフじゃあねえか…?
それ、特大フラグなやつよねぇ?
吸牙「やめろ!君には無理だ!」
あらぁ〜吸牙くんも悪ノリしちゃって〜…
そんなに死亡率上げたいのかな♡
モブ太「うるせぇ!俺は安全に手柄を立てて、目立ちたいんだよ。
早く目立って、愛しの遥ちゅぁ〜んとイチャイチャしたいからな。」
吸牙「あ“?」
あ。こいつ終わったな。
吸牙「姉さんと…イチャイチャ…?
名も知らぬ…貴様が…?
…
Fuざけるなァァァァァ!」
いや、自己紹介してたよ?さっき。
―流星拳―
モブ太「ぎゃああああああ!」
今だ…!
―睡蓮の夢―
モブ太「…あれ?」
俺「ふ〜…
やっと寝たか。『睡蓮の夢』も使ってやっと寝た…
つまり、単純計算で考えるとするならば…
こいつはダメージを半減できるってことか?
普通のやつよりもノックバックも少なかった気がするし…」
モブ太「隙あり!」
俺「ん?よっと。おっせぇなぁ。
しかも、なんの技でもない攻撃って…
お前は咬ませ犬だし、この前あっけなくやられたんだから、大人しく眠っとけ。」
―睡蓮の夢―
モブ太「うっ…」ガクッ
よし。
とりあえず目の前の敵は倒した。
ちょぉっと吸牙くんの能力について整理したい。
が…
あと1人…
ずっと隠れて見てやがる。
フッ…無駄無駄ァ!
ずっと陰キャ陰キャしてた俺に挑むには、その程度の気配隠し、五百億年早いぜ!
俺「そんなにガクガク震えてたら、うまいこと隠れてても…バレバレだぜ?とっとと出てこい。」
ちょっとは休ませてくれよな…
?「わ、わかったから攻撃しないで…」
は?
っアレ?吸牙はさっき…
やっぱり寝てる…
う〜ん…
ちょっと…
いや。ちょっとどころじゃなく、性格や態度が違う。
でも顔や体格なんかが全く同じだ…
まさかこいつ…
吸牙の双子か…?
俺「お前、吸牙の双子かなんかか?」
?「そ、そうだよ。
僕は、吸牙の双子の弟の守。よ、良くわかったね…
吸牙と違ってこんなにオドオドしてるのに…」
俺「っつうことは、お前も似たような能力使うの?」
守「い、いや。僕にはあんなすごいことできないよ。
吸牙はすごいよ。
初持技『スポンジ』。
受けた攻撃を2回まで使えるようになる。ダメージは半減される。
分かってても僕には出来ないよ…
僕の初持技は『バリア』。
絶対に壊れないけど、対象ひとつしか守れない…」
俺「なるほどね。俺の予想は合ってたってわけだ。教えてくれてありがとさん。」
守「あ!
あ“ぁ“〜もう!なんで言っちゃったんだ僕のバカ!バカ!
能力だってショボいのに…何でいっつも姉さんは…」
兄弟揃って面倒いのな。
アイツは『俺、メンタル鋼なんで。』って感じかと思ったら、ギャン泣きし出すし…
コイツはコイツでえらくヘナヘナしてる…
まぁ、戦う意思は無さそうだし、降りてもらえるかなぁ…
俺「なぁ…戦うつもりないんなら、降りてくんねぇか?
俺もこう見えて平和主義でさ、殴ると胸糞悪くなるからさ。極力戦いたくねぇのよ…」
守「う、うん…でも、姉さんに相談しないと…」
俺「じゃあ、一緒に行くか。」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
俺「なんだ?!
急に地面が揺れだした!」
守「いや、揺れというより地響きですよ!
…
…?!
まさか!」
俺「え?ちょ、おい!
どこ行くんだよ?!」