後日談
目線がコロコロ変わります。
(side 狩野マリネ(かまりんとう饅頭))
家に帰ってからの恒例となっている『ばいも』先生とのDMが終わったあと、私は小説投稿サイトを開いていた。
「ふふふ‥‥‥。」
ああ、いけない。笑ってしまう。駄目よ。マリネ‥‥‥。ああ、でも笑っちゃう‥‥‥。
「『ばいも』先生の新作来たー!!」
ふふふっ!!このために生きていると言っても過言ではない!!
「ああ、でも早く新作書かないと先生とお話できない‥‥‥。今日先生に見てもらった続編も書かなきゃいけないし‥‥‥。今回は薄くしちゃったから新作はもっと話を濃くしなきゃ‥‥‥。」
ただでさえ、これから先生に不敬なことをした奴らの処理をしなければならないっていうのに‥‥‥。
「うう‥‥‥。先生‥‥‥。」
『ばいも』先生のこと大好きなのになんでこんなすれ違っちゃっているの〜!?
先生のこと‥‥‥、大・大・だあ〜〜い好きなのに〜!!!
うう‥‥‥。
色々やることはあるけど、とりあえず不敬なことをした奴らの処理からしちゃいますか‥‥‥。
私はスマホから充電器を取りはずし、スマホをスライドさせてある人物に電話をかける。
相手もスマホを見ていたのか発信音が一回もならないうちに相手が出た。
「あっ!せんせ〜?」
「な、なんの用でしょうか。狩野さま‥‥‥。」
「やだな〜?せんせ〜。『狩野さん』でいいって言ったじゃないですか〜☆」
その電話に出たのは『ばいも』先生の担任の教師で‥‥‥、『先生』と呼ぶにはあまりにも汚らわしい屑だ。
「じゃ、じゃあっ!!あの写真はっ!!」
「それはもう少し働いた後にあげますから、あともうひと踏ん張りですよ!頑張ってください☆」
「そ、そんな‥‥‥。」
『あの写真』というのはこのクズ教師がSNSを使ってお金の力で捕まえた女の子との《《事後》》のツーショット(笑)のことだ。
事後もまずいがツーショットを撮っただけでもまずいぐらいの女の子‥‥‥、そう、私と同じぐらいの年齢の女の子との事後だ。
まずいで済む話ではない。犯罪だ。
そんないわくつきの写真を持って『ばいも』先生の担任を脅せているのは、私が探偵を雇って『ばいも』先生の弱点を探らせたからだ。
理由は簡単。私の憧れの『ばいも』先生がいじめられているのに見てみぬふりをしているのが腹たたしかったらだ。
殺意さえも湧いたが、クズでも担任を亡くすという悲しい出来事を『ばいも』先生に体験してほしくなんてなかった。
でも、『ばいも』先生の現状を知ったときから私はこの教師を‥‥‥、『ばいも』先生のクラスの陽キャどもをこの手で復讐してやりたかった。
私のお祖父様はちょっとした資産家でお金なら少しぐらい大目に貰えるし、なんなら今までためた貯金だってある。
それを使って、『ばいも』先生に天国を見せてあげる。
そのためにはまず、あのクソ陽キャどもを始末しなければ‥‥‥。
今ままでは『ばいも』先生と学校で気を置かずに本音で話せるいい機会だな〜、ってあのいじりを放置して時には利用していたけど、今日の『ばいも』先生のアカウントを勝手に触ろうとした罪は重い。
ファンとしては許せそうにない。
まあ、このことは私も悪いから許してあげるけど。
でも‥‥‥、今まで『ばいも』先生にしたことは許さないから。
担任の弱みさえつかめばああいう幼稚な奴らを堕とすのは簡単だ。
「それでせんせーに頼みがあるんですけど〜。」
「は、はい‥‥‥!!」
「今から言うこと、メモってください。」
******
(side 『ばいも』)
__翌日。
__〈なあ、『かまりんとう饅頭』さん。〉
〈はい!!なんでしょう?(`・ω・´)ゞ〉
俺は今日の学校で俺は違和感があったことを『かまりんとう饅頭』さんこと狩野さんに話した。
〈俺を散々イジってきた奴ら全員がいきなり転校になったり、引きこもりになったり大変なことになっているんだが‥‥‥。なんかしたのか?〉
__〈え〜?(・・? そんなことがあったんですか!?(´゜д゜`)〉
なんか白々しいような気もするが‥‥‥。何かをコイツやったのか‥‥‥?いや、気のせいか。
陽キャどもはそこそこの人数がいたし、そもそも人を再起不能にできる学生が身近にいるとは思えない。
__〈あー、でもどうする?1人で俺をいじりにくるのか?それともDMで?〉
〈えー?『ばいも』先生〜!!もう付き合っちゃおって〜!Σ|||(♡ó〰 ò☆) そうしたら学校で自由に話せるし〜♡〉
__〈いや、おかしいだろ!?〉
いじめいじめられの関係からいきなりカレカノになるなんて不自然だろ!?
他のクラスメイトがなんて思うか‥‥‥。
俺がなんて思われようとあまりなにも思えないが、狩野さんが何か言われるのは耐えきれそうにない。
〈私達がよかったらいいじゃないですか〜♡〉
‥‥‥確かにそうだな。って狩野さんに流されちゃ駄目だ!!俺は作業に集中するんだぁ!!
__〈よくない!!DM切るぞ!!〉
〈えっ!?〉
強制的に本体の電源を切った俺は大きくため息をついた。
顔が赤いのはきっと気のせいだ。
******
(side 狩野マリネ)
〈まあ、ああいうやつらはそういうことをしてきたので自業自得なんで『ばいも』先生は気にしないでください。〉
DMを送っても『ばいも』先生から返信が来ないのを見て、スマホを放り投げる。
「ちぇー?先生のケチィーっ!」
むうっとほっぺたを膨らませても、見て欲しい人はいない。
そのことを虚しく思いながら、机の引き出しから一枚の紙を出す。
「あー、もうー。先生と付き合いた〜い!!あわよくば結婚した〜い!!」
私は「えい」っと、紙にそっと軽く口づけた。
__その紙が記入済みの『婚姻届』なことを彼はいつ知るだろうか。
ふふっと笑いながら私は空想を膨らました。
私の退屈を覆してくれた人。私には彼しかいない。
最後までお読みいただきありがとうございます。
一応これで話が終わりですがもっと読みたい!!という声があれば、過去編もあるのでぜひ感想をお聞かせください。
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それでは失礼しました。