ベルセリア王国へ その3~ヒーアマン到着~
本日2回目の投稿です。
メルルのトイレのピンチを切り抜け、第二の休憩の場所から離れておおよそ2時間。
もうすぐ第三の休憩場所にたどり着くところであった。
ここまで何事もなく平和そのものだったが、今までの襲撃は何だったのだろうか?
なお、所要時間は予定より30分遅れて6時間30分だった。
その時間帯でたどり着いた休憩場所で、二人は用を足し、準備体操をしながら出発の時間を待っていた。
そして馬の休憩も終わり、馬車は第三の休憩場所から離れた。
順調にいけば、あと2時間前後で国境付近の町【ヒーアマン】に到着する。
「静かだなぁ。 今までの襲撃がうそのように平穏だなぁ」
「そうだねー。 私のトイレのピンチの時のゴブリン襲撃が一番焦ったよ……。 あれで漏らしちゃうんじゃないかと思って絶望したし……」
「ははは……。 まぁ、間に合ってよかったな」
「そうだよね。 間に合ってよかったよ」
カトルもメルルも打って変わった平穏さに乾いた笑いが止まらない。
特にメルルはトイレのピンチが重なってただけあって、遠い目で別の方向を見ていた。
そこでカトルは話題を変えてメルルに話しかける。
「それで、国境付近の町の【ヒーアマン】ってどんな所なんだ?」
「あ、そうか、カトル君はグズマのパーティに居た時は留守番させられていたんだったね。 ヒーアマンは、国境近くの町だけあって、宿とか食堂とか各種売り場の店がたくさんあるよ。 国境越えの馬車も区間運転だけど存在するんだよ」
「ある意味旅行者の町……なのか? そのヒーアマンは」
「そういう事になるね。 せっかくだし、到着して宿に泊まってから、明日には町を案内するよ。 ついでに色々とお買い物をしよう」
「ああ、案内をよろしくお願いするよ、メルル」
最初の目的地の町に関する話で盛り上がっているうちに、もうすぐ国境付近の町【ヒーアマン】に到着する。
上空の空も赤みがかかっており、まさに夕方であることを示していた。
「もうすぐ到着するぞー」
「あ、もうすぐ着くみたいだね。 カトル君、降りる準備しようか」
「そうだね。 荷物のチェックもしておこう」
御者の人から町の到着が告げられる。
それを聞いたメルルとカトルは降りる準備をし始める。
しばらくして、ヒーアマンの門をくぐって、馬車の乗降場にたどり着く。
予定より30分ほど遅れたが、無事に着いたようだ。
「予定より多少遅れたけど……さぁ、着いたよ、カトル君!」
「ここが、あのヒーアマンなのか?」
「そう、国境付近の町【ヒーアマン】だよ。 ここからベルセリア側の国境付近の町へと繋がる馬車も運行しているんだよ」
「すごい賑やかだな」
「旅行者の町みたいな側面もあるからね。 さ、もうすぐ夜になるし宿屋へ急ごう」
メルルに手を繋がれ、そのまま引っ張られるようにカトルは宿屋へと向かう。
何度も手を繋がれているのだろうか、カトルにとっては異性に手を繋がれるだけでも温もりを感じていた。
「いらっしゃいませ。 我が宿屋をご利用ですか?」
「はい、二人部屋でお願いします」
「かしこまりました」
メルルに連れられて入った宿屋は、中規模の宿屋だった。
ここも宿泊客が多くいたが、空き室のある程度あるようだった。
「意外とシンプルな宿屋だな……」
「私はそういうのが好きだからね。 食事も豪華なのは苦手だしね。 パスタもミートソースが好きなんだよ」
「ああ、辺境伯の影響なのかな?」
「多分ね。 あ、鍵を持ってきてくれたし、行こうか」
フロントから鍵を貰い、鍵に書かれた番号の部屋へと向かう。
『307号室』と書かれた部屋が、二人部屋なのだそうだ。
鍵を開けて、部屋に入ると二つのベッドと二人用のテーブルが置いてあった。
「広いな……。 これで二人部屋なのか」
「食事もここでするみたいだから、広めにとってるんだろうね。 部屋ごとにお風呂があるみたいだし、一緒に行こう?」
「い、いや、流石に男女が一緒に風呂に行くのはまずいだろ!」
部屋に入り、荷物を置いた二人。
その後、メルルから部屋内にある風呂に一緒に行こうと誘われる。
流石に男女で一緒に風呂に入るのはまずいとカトルは慌てて断ろうとしていた。
「別にカトル君になら見られても構わないけどねー」
「いやいや、それはいくら何でも……」
「大丈夫大丈夫。 部屋内のお風呂だから私達しかいないよ。 早く行こう」
「ちょっと待ってぇぇぇ……!」
メルルに強引にお風呂に連行されたカトル。
結局、そこでカトルは、自身の欲望に負けてしまったのは言うまでもない。
風呂上がりのメルルは嬉しそうな表情でつやつやとしていたが、カトルは疲れ果てていた……。
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