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正義の形  作者: いちご飴
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ヒーローとは

この世界は、戦争も何もかもなくなった平和な世界。しかし超能力者がいて、それを正義に生かす者もいれば、悪に生かす者もいる。人々は正義に生かすものをヒーロー、悪に生かす者を敵と呼んでいる。ここだけでも変わった世界なのだが、この世界の重要な所はここではない。(ここも重要だけど)この世界の重要な点、それは…『心』が重要視される世界だということだ。心によってすべてが左右される。まるでアニメのような世界だ。けれどこれが意味することは、最後は自分で戦わなければならない…そういう意味だ。こんな世界で、ここに一人、ヒーローを目指す少女がいる。

 私の名前はさくr…

「さくら先輩ここの方程式教えてください」

自己紹介位させてよ!えぇ、改めまして私はさくらです。中学二年です。超能力者のヒーローです!いつか、この世界の人みんなを笑顔にしたい!そんな夢を持っています。ちなみに私のヒーローネームはチェリーブロッサム。まぁまだ無名なんですけどね。そんな私にもあこがれているヒーローがいます!ヒーローネームはスカイ。正体は高等部の加藤空って先輩です。とっても有名なヒーローで、倒せなかった人がいないんです!もうとにかく知らない人がいないくらい、すごい人なんです!まぁ、現実の先輩はよくからかってくるんですけどね…

「さくら先輩。方程式!」

アッやべ。忘れてた。

「これはね~」

そうしているうちに、最終下校時刻になっていた。

「早く帰んないと!」

放送部も下校時刻はほとんど守ってるけど、あの部より遅かったらなんとなく負けな気がする!私は急いで学校を後にした。

 家に着いた。と言っても暇じゃない。一応見回りくらいはしないとだからね。帰りに加藤先輩の基地とつろうかな。(ヒーローには基地を持っている人もいる。)加藤先輩の基地は広い。廃ビル全部だ。ただ一つ、開かずの部屋があるけど。絶対に開けるなって、きつく言われてる。鍵もそこだけ頑丈で。まぁ、あこがれの人の人の言いつけを断るような人間じゃないので?そこに近寄ることさえ少ない私ですけど。

「このくらいで見回り終わりでいいかな?」

そろそろとつろうっと。ビュンっと転移使えばあっという間!

「せんぱーい。可愛い後輩がとつりに来ましたよぉ。」

あれ?返事がない。ついでに気配もない。何かあったのかな?私は基地を探索した。うろちょろしていると、例のあの部屋の近くについてしまった。今日はなぜか、鍵が開いていた。きぃぃ…そんな嫌な音がして、扉が開いた。そこから出てきたのは、加藤先輩だった。

「おわっ。お前来てるなら声掛けの一つくらいしろよ。」

したのに…今日の先輩は、なにかおかしい。

「居留守を使ったのは先輩ですよ?」

そういうと先輩はバツの悪そうな顔をし、

「お茶やるからそこで待ってろ。」

と言い去っていった。今日は風が強い。私の髪がゆらゆら揺れている。うっかり重い扉でも空いてしまいそう。嵐にでも、なるのだろうか…勘って結構当たるものらしい。小さな思いつきも、本当のことになってしまう。その事実を、どうして私は理解していなかったのだろう。きぃぃ…あの重いドアが、今度は誰の手でもなく、風により…開いた。そこは、とても異質な光景だった。たくさんの死体が、食べかけの、死体が並んでいた。

「さくらー。お茶持ってきt…」

先輩は、言葉を失っていた。私もなんだか後ろめたくて、何も言えなかった。

「まぁ見られちゃったものは仕方ないか。俺は、世間的に悪とみなされる、社会不適合者を見抜ける。そして、その社会不適合者を食うことで、強くなれる。」

正直、信じたくなかった。憧れのヒーローであり、憧れの先輩だったのに…

「とりあえず不都合な真実を知ったお前には?死んでもらわなきゃいけないんだよ。」

ヒーローには、普通の超能力と同時に、みんな違う、特殊能力がある。しかしその力は、いつ手に入るかわからない。先輩の能力は、弱肉強食。自分よりステータスの低いものには、絶対に負けない…特殊能力のない私は、簡単に先輩にやられる。私の命日は、今日になるのか。もっと、やりたいこと、あったのに…

ぱぁぁぁぁぁぁぁぁ!

急にあたりが光り輝いた。私に特殊能力が付与されたのだ。私の能力は、名づけるとするならば、『無敵』。ゲームでいうチート能力。ゲームをカンストすると次からレベルカンスト状態で始められるやつあるやん?あののり。私の今のステータスはすべてカンスト。つまり無敵。この能力さえあれば、スカイを倒せるかもしれない。憧れの人だけど、世界のためのいなる人だけど、こんなやり方は

「絶対に間違ってる!」

彼の得意な超能力は、水を扱ったものだ。けれどさすがにカンストはしていない。それに比べて私は火の超能力をカンストしている。負けるはずがない!

「おらぁぁぁぁぁ!」

思ったより、強い火力が出た。もう、生きてないと思う。

「はぁ…はぁ…さく…ら…お願いがある…俺が死んだら…俺にはできなかったことをしてほしい…世界を…敵に回すかもしれない…でも…救ってくれ…この世界を…頼む…チェリーブロッサム…」

「先輩!その思いしかと受け取りました!私チェリーブロッサム!たとえ世界を敵に回したとしても!悪役になってでも!この世界を平和にします!」

「ありがとう」

これが、先輩の、スカイの最後の言葉だった…世間的に見れば、スカイは悪だ。けれど、私にはスカイが悪だと思えない…ヒーローの定義…それは、世間的に見れば、よくないことをしない、悪事を滅ぼす、そんなところだろう。けれど今日、私にとっての定義は変わった。それは…

「たとえ世界を敵に回しても、世界を守る。そんな存在だ。」

普通に聞けば、ちょっと矛盾してると思う。けどこれは、スカイから受け継いだ、私のヒーローの定義だ。

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