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ウェポンサモナーとスラ子の冒険  作者: どれいく
新たなる戦い~3章
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脱出

「わっ!山賊倒してきたよ!」

開口一番、自慢げにスラ子は言った。

確かに奴らには気づかれていないようだ。

「いま縄を切るね!」

「ああ。頼む」

「スラ子ちゃん、やるじゃない。私もお願いね」

俺とニナの縄をナイフで切ると現状を把握する。

____冒険者グッズは奪われてしまったか。

ニナの弓も周囲にはない。

「スラ子ちゃんそのナイフくれる?」

「わかった!」

「そんな武器でいいのか?」

ニナは、

「何もないよりマシでしょ?それにある程度短剣の使い方も心得てるわ」

そう答えるとスラ子に質問する。

「全員で何人いるの?」

「5人だって!武器はわかんない・・・」

「スラ子ちゃん、とりあえずまだコバヤシの背中に隠れてなさい」

ニナがそう指示すると俺の背中に潜り込む。

すこし不快だが・・・しかたない。

今回は火で照らさないようにした方がよさそうだな。

幸いニナは夜目が聞くので先頭を任せることにする。

「・・・いくわよ」

「・・・ああ」

ゆっくりと慎重に暗闇へと3人は進んでいった。







「おい。あいつら遅くないか?」

山賊たちが目を覚ますと見張りに行った2人が戻っていないことに気づいた。

「確かにな。でもまあ武器は俺たちが奪っているし冒険者の二人も抵抗は出来ないだろう」

消えかけた焚火の火をまた大きくする。

そろそろ交代の時間だ。

こないなら仕方ない、ここに1人を残してあいつらを迎えに行くことにした。

_______自分で言うのもなんだが、俺たち5人は強い部類に入る方だと思う。こんな街から離れた街道の洞窟を根城にしているしそうでなければとっくに野垂れ死んでいる。

「一応警戒しておけよ。寝ている間に襲われでもしたらどうしようもないぞ。兄弟」

「まかせろ」

俺たち二人は斧を手に持ち、奥の軟禁場所に向かう。

「さくっと終わらせるか。もし何かあってもあの女は殺すなよ?」

火に当たっている山賊の1人が忠告する。少し嫌な予感がした。







「お前っ・・・!くそっ!」

山賊とコバヤシのパーティは、お互いに向き合う方向に進んだからかバッタリとお互い逆に合流する形になってしまった。

お互いに不意打ちに近かったからかこうなると先に動いた方が有利になる。

「ふっ・・!」

先に動けたのはコバヤシだった。ショートソードを召喚し、とっさに山賊の一人に斬りかかる。

「なめんなよ!クソガキ!」

不意を突いたつもりだったが、斧で受け止められて金属音が響く。

直ぐに態勢を立て直した山賊側の1人がニナに斧を振るう。

「ふうん。舐めてるのね」

ナイフで斧を受け止め、器用に受け流す。

金属のこすれる音とともに斧は空振り態勢を崩した。

「スラ子!」

「わっ!」

ニナが指示した瞬間、スラ子はバランスを崩した山賊の1人を拘束する。

_____いい動きだ。

「なっ・・・!兄弟・・・!」

「よそ見はいけないな」

コバヤシは急所を貫き剣をひねるように止めを刺す。

・・・なるべく痛くないようにしたつもりだ。

「なんとかなったわね」

「ああ」

「お前ら・・・!ぶっ殺してやる!」

拘束した山賊はこちらに殺意を向けるが、こうなればこちらを殺すことは出来ない。

スラ子はコバヤシからアダマイト魔石を受け取ると残った山賊の一人にバインドの魔術を掛ける。

あとは1人か、と思ったが。

洞窟の入口に近づくと何人か人の気配がする。

3人は慎重に歩を進めた。






「あ!あんたは・・・!」

洞窟の入口にたどり着いた時、そこにいたのはリーシャだった。

見たところ戦士と魔術師、司祭とリーシャの4人のパーティを組んでいるようだ。

「確か前にも会ったな」

「リーシャ殿、どういたしましたか?」

パーティの1人、司祭がそういうと答える。

「ちょっとした知り合いよ。あんたも依頼で来たの?」

「いや、捕まっただけだ・・・」

リーシャはいたずらっぽく笑う。

・・・まあそれはそうだよな・・・。

「ププ・・・!」

「まあ、正直助かった。少し、恥ずかしいが」

「あ!」

「どうしたスラ子?」

彼女が指さした先を見る、と弓や冒険者グッズが適当に置いてある。

食料はもう漁られてしまったが辛うじて一部のアイテムは残っていた。

「よかった。ホントについてないわね」

「そうだな、ニナ」

リーシャのパーティから少し食料を分けてもらうと彼らは、

「同行してもいいのよ?すぐに依頼も終わったし」

「リーシャのパーティに迷惑をかけるのも悪いし、食料をもらっただけでも十分だ。ありがとう」





歩いて次の場所まで移動することになったのは想定外だが、しょうがない。

リーシャたちに次の俺たちの目的地を知らせて貰うことにした。

少なくとも帰りは馬車で帰れるだろう。




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