ゼパルとの再戦
「グオオオオオオオオオ!」
岩の巨大な体躯が、吠える。地面に転がった岩の残骸をこちらに投げてくる。
・・・!
「アクア・シールド!」
スラ子がブローを援護した。魔法の障壁でゴーレムの攻撃を防いだ。
危ない・・・!もしスラ子が居なかったら俺もブローも死んでいただろう。
「死ね!」
俺はゴーレムの攻撃を防ぐことは出来ない、しかしダークエルフの連中なら俺にも捌ける。
不意をついた敵の攻撃を俺は受け止め、受け流し、切り捨てる。
「行くぞ・・・!岩の化け物!」
ニイナが大声でゴーレムに叫ぶ・・・!
「グオオオオオオオオオ!」
ゴーレムはアンジェリカとニイナに咆哮をあげる。
「アンジェリカ!少しだけあの岩の化け物を引き付けて!カリュバーンで攻撃してみる!」
「任せろ!」
ニイナの持つ聖剣が光る。
「私に力を貸して・・・カリュバーン!あの岩の化け物を両断する力を解き放て!ハアアアア!」
聖剣から閃光が放たれる。俺は眩しさに思わず目を瞑った。
「オオオオオオ!」
ズドン!と巨大な体躯が倒れる。コアが露出し、ブローが叫んだ。
「コバヤシ!背中に貼るよりコアに直接これを貼ってコントロールを奪った方がいいかもしれない・・・!まだ完成した訳ではないけどこれでも通用するはずだ・・・!」
「わかった」
ブローから術式を書き込んだ羊皮紙を受け取ると、駆ける。
・・・ヘブンズギル・・・!接続開始・・・!
身体強化の魔術より更に強いバフを掛けてコバヤシは走る。
「うおおおおお!」
・・・!
コバヤシは露出したコアに術式を組み込んだ羊皮紙を貼り、魔力を通す。
そのくらいなら俺でも出来る。
ズン・・・!
ゴーレムはその場に倒れる。
「・・・よし・・・!コントロールを奪った・・!」
ブローから渡された術式が召喚者の優先権を奪う。これでこのゴーレムはこちらの味方だ。
「ナイス!コバヤシ!後のダークエルフ達はアンジェリカとスラ子、あとはゴーレムと僕が減らす・・・!ニイナとあいつを・・・落ちた天使を仕留めてくれ!」
「行くよ・・・!コバヤシ!」
「ああ・・・!」
向かう先にはあいつがいる。フルンディングを扱う落ちた天使、ゼパル。
こちらを待ち受け、笑っている・・・!
「食らうがいい・・・!我が槍フルンディング!その力を以て(もって)・・・貫き、破壊する!」
不意に放たれた容赦のない一撃、ニイナを狙っている。
「コバヤシ、私が受け止めてる間に近づいて・・・!」
「わかった!」
「力を貸して・・・!カリュバーン!」
カリュバーンは再び光り、光の斬撃を放つ。ゼパルの一撃と拮抗し衝撃が発生する。
「ほお・・・!勇者ニイナとはお前の事か、厄介だな。しかし・・・!」
「親衛隊、前へ」とゼパルが指示すると他の冒険者と戦っていたダークエルフ達が不意に標的を変える。
「なっ・・・!?この俺を無視するのかよ・・・!」
アイカとアレスと対峙していたローグのダークエルフと、
「え・・・!?」
アリスとカインが対峙していた戦士のダークエルフが一斉にニイナに飛び掛かる。
「くっ・・・!」
「貴様とは一対一で戦いたくてな・・・!魔剣使い!」
これではニイナ達の援護は期待できない・・・!
「わたしもいるよ・・・!コバヤシをいじめたら許さない・・・!」
「・・・スラ子!援護は頼んだ!」
やるしか・・・ない!思ったより数も多くて驚いたがこっちは一度この男を退けている。
負けるわけにはいかない!
接続開始・・・!魔剣と魂を接続し、身体能力を上げる。身体強化の魔術よりその方が効果は上だ。
コバヤシはゼパルに向け、駆ける。
「ゼパル様を守れ!」
「邪魔だ!」
ゼパルの部下が3人、俺の前に待ち受ける。
「術式展開・・・アクア・スピア!」
スラ子が放った水の槍が2人を仕留める。
「助かる!」
残った1人を俺が切り捨て、
「うおおおおおお!」
待ち受けるゼパルに接近する。
「来るがいい・・・魔剣使い!」