ギルガメッシュからの依頼
「コバヤシよ今回は勇者パーティと一緒にやってもらいたいことがある。冒険者ギルドからではなく俺からの直接の依頼だ」
秘書のサナタリアが依頼書を俺に渡してきた。内容を見ると・・・。
____落ちた天使が遠方の古代の遺跡で目撃されたらしい。噂によるとその遺跡には古代の宝剣が眠っているとの話だ。
「分かりました。ニイナ達はもう準備出来ているのですか?」
「ああ、いまは門でお前達を待っているはずだ」
ギルガメッシュ王に頭を下げ玉座を後にする。
「期待しているぞ、コバヤシよ」
「はい」
落ちた天使・・・か。今回は勇者パーティで行くのなら前とは状況は違うはずだ。そういえばカーリは元気だろうか、あの少女も確か・・・。
「悪魔、なんだよな」
元々は何故人間に攻撃するんだろうか、それは分からないが・・・。
「ん・・・?どうしたのコバヤシ」
「あ、いや・・・独り言、言ってたか?」
「うん。カーリって口にしてたよ?あの時の魔族の女の子だよね?」
コバヤシは頷くと、
「どうして落ちた天使たちは魔族になってしまったのか・・・何かあるんだろうが・・・。可哀そう、なんて言ったら殺されそうだな」
とつい呟いてしまった。
「むずかしいことは分からないけど、いい子だったね。カーリちゃん!」
「そうだな」
ギルガメッシュの城から出て市場を進んでいく、城を出て見慣れた市場を通ると肩を叩かれた。
見知った顔・・・アレスとアイカ、だったか。
「よお!今日は悪魔を討伐するんだろ?」
「ああ、そうだ。お前達も来るのか?」
話を聞くとアレス達もどうやら今回の討伐作戦に参加するらしい。
よろしくな、と手を差し出されたので握手する。
「ところでお前さんクラスは何なんだ?いつも冒険者グッズを腰に付けてるだけで武器らしいものも見当たらないしな」
「ああ、俺は魔術師でね。武器を出し入れ出来るんだよ」
コバヤシは武器召喚をし、アレスに見せる。
「便利だな!てかお前さん魔術師だったのか!」
「珍しい魔術を使うのね?」
「ああ、えーと・・・アイカさんだったか・・・」
魔術師は一般的には杖を持って遠距離から攻撃するスタイルだ。俺は昔の癖で武器召喚で戦うのに慣れてしまっているせいか自分で言うのもアレだが珍しい魔術師だと思う。
「・・・ともかく、今日はよろしくな、二人とも」
「おーそーいー!」
ニイナはこちらを見ると早々に文句を言う。
「すまない。話に夢中になってたんだ」
今日はさすがに強者が多い、ここにいるのは上級クラスの冒険者ばかりだった。
「わわ・・・!なんかいつもと違うね!コバヤシ!」
「ああ・・・きっと強い冒険者しか募集しなかったんだろう。肩身が狭いな」
アンジェリカは俺の肩を叩き、
「コバヤシも少しは自信を持て、お前も修羅場を乗り越えてきた冒険者じゃないか」
「まあ、そうだが・・・」
さて今回の作戦を説明しなければ、とアンジェリカは冒険者達に呼びかける。
「神代の頃、砦に使われていた遺跡でとある冒険者が不審な人影を見かけたと報告してきた」
先日ここからは少し遠いがゼパルと名乗る悪魔に街が襲撃されたことがあったのだが、その悪魔と見た目が似ているとの事だ。
「・・・!」
「コバヤシ・・・!まさか・・・!」
覚えている。
あの巨大な槍・・・フルンディングを持つ騎士。
あの時殺したはずだが・・・。
「知っているだろう。コバヤシ、お前が退けた悪魔だからな」
ざわざわと場が沸き立つ。
「ああ。殺したと思っていた」
コバヤシはあの時の状況を思い出した。
一撃でも喰らえば死ぬ戦い、本当にあの時は運が良かったのだろう。
「次こそは・・・仕留める。次はこの街にも来るのなら」
コバヤシは恐怖をかみ殺した。