予期せぬ再開
強敵です。
「皆さん、もう一度詠唱を・・・!」
サーニャは教会の白魔術師達に指示を出す。
しかしドラゴンゾンビは狙いに気づいているのか真っ先にサーニャに飛び掛かった。
「・・・!」
「サーニャ!」
その巨大な躯は毒のブレスを吐き出した。吸い込めば命はない。
「プロテクション・・・!」
「フシュルルル・・・!」
慌ててシールドを張り、彼女らは難をしのぐ。
「ギギ・・・!・・・サモン・・・!」
もはやリッチーには後がないようで魔力の節約などは考えていないようだった。
躯の獣・・・アニマルゾンビというべきか・・・の召喚を始めた。
ここまでの規模の戦闘はさすがに今回は想定されていない。
「あっ・・・!」
こんな数、対処出来ない・・・。
相手は確実にサーニャを狙っている。
「サーニャ!・・・くっ!間に合わない!数が多すぎる!」
死ぬ・・・と思った。いざ死ぬと分かって出来る事と言えば、目を瞑って痛みが消えるのを待つだけだった。
「・・・!」
・・・・。
・・・・・・。
「はあ、最近は教会の使途はたるんでますね」
「ギャッ!」
サーニャが目を開けると、飛び掛かったアニマルゾンビは巨大な獲物に両断されていた。
続けて、標的を変えたアニマルゾンビの群れはその少女に襲い掛かる。
「ふっ!」
簡単に敵の群れを仕留めていく姿に見覚えがある。
あいつはおそらく・・・。
「リーシャ!あと1つワンドを潰せればボスは消えるかもしれない、どうにかならないか?」
「無理よ!いまはワイトの近衛兵みたいなやつが守ってるし!」
・・・仕方ない。
「おい!えーと女!」
「・・・もしかしてわたしのことですか?」
少し怖かったがこの乱入者の名前が分からない。
「そうだ」
「ふんふん・・・で何か御用ですか?」
「あいつはおそらく特殊な術式を組んでいて不死なんだ。今は見えないが玉座に弱点はある」
少しイラついた顔で、
「この私に露払いをしろと・・・?」
こちらに向ける目が怖かったが頼むしかない・・・!
「そうだ・・・!頼む・・・!」
「今回だけですよ?・・・しかしやってもいいですが、少し詠唱に時間がかかります。援護してくださいね」
・・・術式展開。
「スラ子、魔力の残量を考えるな!こいつを援護するぞ!」
「ノアです!!!」
「わかった!いくよ・・・!アクア・スピア!」
グルルルル・・・!
「サーウェス、私たちも彼女を援護しましょう!・・・あなたは代行人のノア様ですね?」
「そうよ。・・・ちょうどいいわ。あなた達も私の詠唱を手伝いなさい」
サーニャは白魔術師達にノアに従うように指示をする。
「いくぞ・・!全力で神の使途を守れ!」
「おー--!」
サーウェスは冒険者を鼓舞し、駆ける。
「やるしかないか・・・!リーシャ、きっと隙は出来る。あと1このワンドを狙ってみてくれ」
「無茶いうわね。・・・わかったわ」
リーシャはマスケットに弾を込めた。