巨竜
暗闇から出てきたのは巨竜、ワイバーン。
体躯はそれほどではないが凶暴で肉食だ。
「ちょっと!ちょっと!きいてないわよ!」
リーシャはマスケット銃に球を装填する。
「グルルルル・・・!」
「こっちだ!」
コバヤシは術式展開をし、いつもより長い詠唱をする。
「術式展開、対象を溶かしつくせ!ディザーヴウ!」
硫酸の塊がヘブンズギルを通じて放たれる。
一目で致命傷を与えることが出来ると判断出来る攻撃。
バサッ!
「あぶない!」
しかしワイバーンは詠唱中にこちらに迫ってきていた。
「あったれえええ!」
その瞬間、リーシャが放った弾丸がワイバーンを捉える。ダメージはあまりなかったが、怯ませることに成功する。
「わわ!あんまり効いてない!?」
「ガアアアア!」
「あぶない!・・・助かったリーシャ」
「ふふん!まだまだなんだから!」
しかしクリーンヒットしてこのダメージか。
と、思った時、
「ふふふ・・・奥の手があるんだから!」
少し大きめの球を腰のバックから取り出した。
____バックショット。
彼女はそう言った。
「ただしこの弾、少しぶれるんだ。当てにくいから引き付けて隙を作ってほしいんだけど・・・」
「分かった。・・・スラ子」
「うん!まっかせて」
最近彼女は新たな魔術を習得したらしい。キルトから教わったらしいが・・・。
「術式展開、汝を縛る鎖。トゥリザーツ!」
「グルルル・・・!」
ギシギシ・・・!
あれは・・・キルトの使っていた闇の術式の魔術だ。
「ディザーヴウ!」
ワイバーンの頭を狙って硫酸を放った。
「オオオン!」
大きく怯ませた瞬間。
「わたしの取っておき!」
リーシャのバックショットが心臓を捉えた。
巨体が崩れ落ち、静寂が戻る。
「二人ともさすがだな。・・・さて早く合流しよう」
早く部隊に戻らないと死ぬことになる。ここは3人では危険すぎる。
3人は慎重に奥に進んだ