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ウェポンサモナーとスラ子の冒険  作者: どれいく
勇者との出会い~2章
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ムシュフシュ討伐

「ねえ。前から聞きたかったんだけど」

ニイナが唐突に目的地に向かう馬車で話しかけてきた。

「・・・ん」

「なんで冒険者になったの?」

「俺は・・・そうだな。他にやることがなかったんだ」

コバヤシがそっけなく答えるとアンジェリカやブローも話しかけてきた。

「やることがなくて、魔王退治か。君は変わり者だな」

「そうか。言われれば確かにそうだな」

・・・たまにはいいか。そう思いコバヤシはゆっくりと話し始めた。

「俺は冒険者になる前はただ、生きていただけだった。何かをするわけでもなく、死ぬことも出来ないまま生きていた」

「へえ、自分の事たまには話すんだね」

ブローは茶化すがスルーして話す。

「両親も普通で、別に特別なことがある家族でもなく、俺も普通に生きていた。・・・1つ違うとしたら」

すこし悲しい顔になって続ける。

「少し俺自身にハンデがあったことだ。当たり前に皆が分かることが全く分からない。俺だけが、普通の基準が違ったんだ。この世界に来る前はそれを受け入れて自分の心に目を背けて、死なないように意地を張って生きていた」

「辛いと思ったこと、死にたいと思ったことは何度でもあった。いまは少し違って感じるようになった。幸せ、という訳ではないがそれでも冒険者になった今の方が幸せ、なのだと思う。これが冒険者になったきっかけだよ」

・・・。

少し雰囲気を壊してしまったか。

ニイナが悲しそうにこちらを見る。

「いまは幸せなの?嫌な人生だったの?」

「嫌な・・・人生だったかもな。俺は少し勇者が羨ましいな」

なんとも言えない雰囲気の中、目的地に着いたらしく馬車が止まる。

「行こう。これもギルガメッシュ王の依頼の達成の為だ。任せたぞ、勇者様!」

無理やりにコバヤシがテンションを上げる。

「うん。ごめんね、嫌なこと聞いて」

ニイナがらしくもない。苦笑いをしながら、

「気にするな」

コバヤシは馬車を下りた。









遺跡は比較的綺麗な方だった。この遺跡のどこかにムシュフシュがいる。

「この遺跡、でかいな・・・どうする?アンジェリカ」

「そうだな。今回は二手に分かれよう」

こちらをみると、アンジェリカは提案する。

「ブローとコバヤシ、こちらは私とニイナでツーマンセルで探索しよう」

お互い頷くと、二手に分かれて探索を始める。見つけ次第、魔術で場所を伝えることにする。ブローは羊皮紙にサラサラと魔法陣を書き込むと連絡用にアンジェリカに手渡した。

「無理はするな。やばかったら合流を最優先にしろ」

アンジェリカは警戒するように言うとニイナと歩いて行った。

「僕らもいこうか」

こちらも探索を開始した。








「光よ、照らせ」

ブローは白魔術、ホーリーを使って杖の先で暗闇を照らす。

不気味に辺りは静まり返っていた。魔物はおもったよりいない・・・がそれでも数匹のブロブに襲われた。しかし、襲撃といえばそのくらいで二人でも十分だった。

石が崩れる音、水が滴る音。

雰囲気はかなり不気味だ。まさに魔物の巣窟、という感じだ。

「コバヤシ、まだこういう雰囲気は慣れてないかな?」

「ああ。少し不気味だ」

「そのうちこういう難度の高いダンジョンも慣れて来るさ」

よく考えたらこの依頼、上級クラスの依頼よりよほど難度が高いんじゃないだろうか。

「こんな危険な任務ばかりなのか?」

「あー、いや。いつもはドラゴンクラスの依頼は徒党を組んでやるものだよ。今回は少し特殊なだけで」

特殊、というのは依頼した理由なのだろうか。試すと言っていたが。

「試す為とはいえこんな危険な依頼、1パーティだけでやるものじゃないからね。・・・おっと」

アンジェリカからの反応だ。魔術師ならこういう魔力反応はすぐに気づく。

向こうが発見したんだろうか。羊皮紙に魔力を通し、会話をする。

「ブローか、アンジェリカだ」

「発見したのかい?」

「ああ・・・いるにはいるんだが」

ブローの反応を見るに、状況は悪そうだった。

「2匹いるんだ。おそらくツガイだ」

「厄介だね。まあとりあえずそっちにいこう」






アンジェリカに合流すべく、そちらに向かった。


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