本国へ
良い感じにかけた!
「わー!すっごい!」
大きな城下町、そこには沢山の人がいた。こんなに人が集まっているところを見るのは初めて。
「勇者パーティの皆さま、無事のご帰還嬉しゅうございます」
「じいや!ただいま!」
「ニイナ様、収穫はございましたか?」
ひげを蓄えた身なりの良いおじいちゃん、これが召使いっていうのかな。
ニイナに行儀よく頭を下げると、私たちを見る。
「こちらのお二方はどなたでしょうか」
「俺はコバヤシ、彼女はスラ子だ」
「は、初めまして!」
「彼らは落ちた天使を倒した有名人だ。私たちの戦いに協力してもらおうと思っている」
「ほお・・・。それは素晴らしいですね」
召使いはこちらを値踏みするように見てくる。
すこし緊張し、体がこわばる感じがした。
「皆さまこちらへどうぞ」
召使いが私たちにも頭を下げる。
「わわ・・!頭を下げられるとか・・・なんか変な感じがする・・・!」
召使いに案内され街中を歩く。
「私たちがいた街より、もっとたくさんの人がいるね!」
「ああ。ホントにすごいな」
ニイナがこちらに振り向き、自慢げに言った。
「わたしたちはこの街の英雄、勇者パーティなんだぞ!すごいでしょ!」
「この前の戦いを見たんだ。言わなくてもわかるさ」
「・・・!へ、へえ!よくわかってるね!」
「コバヤシ!なんか向こうに屋台みえるよ!」
コバヤシの腕に絡むと、スラ子はニイナを睨む。
・・・負けないから!
「・・ああ」
(なんかいつものスラ子らしくないな・・・どうしたんだ)
「モてる男は大変だね」
ブローは冗談めいた口調で笑う。
「冗談もほどほどにしてくれ」
「そろそろこの国の王、ギルガメッシュに謁見する時間でございます」
立派な城が目の前に立ちはだかった。
こんな立派な城は初めて見る。
長い階段を上っていく。
「・・・そろそろ腕を自由にしてくれないか。すこし恥ずかしいんだが・・・」
「わたしのこと、嫌い?」
「はあ、まったく。」
そういう彼が好きなんだと私は思う。
ドキドキした。
迎えるように兵士が並び、大理石で出来た柱を通り玉座へと進んでいく。
赤い絨毯が敷かれた先に傲慢不遜な王が座していた。
「ようやくきたか!勇者よ!」
「で、状況はどうなのだ。ニイナよ」
ギルガメッシュがニイナに問いかけると、物おじせず答える。
「落ちた天使を倒した冒険者をつれて・・・きました!」
「珍しいな、ニイナが敬語で話すとは」
「たまにはそうなの!」
可愛い奴だ。勇者としてはまだ幼いが、実力がともなっている。お気に入りだ。
「俺が落ちた天使を倒した勇者、コバヤシだ」
「貴様が倒した・・・?そうか、なら・・・!」
ニイナを指さしギルガメッシュは言った。
「ここで決闘してみよ」
「・・・自己紹介も出来ていないのですが、ギルガメッシュ王」
「サナタリア、俺に指図するのか」
半場あきれ顔でサナタリアはこちらを見る。
「ニイナ様、申し訳ありませんが王のお戯れにお付き合いくださいませ」
「ふーん・・・!いいね!勇者の力、見せてやる!」
「仕方ない。加減はしてくれよ、ニイナ」
距離を置き、二人は向き合う。
ニイナはカリュバーンを構え、コバヤシはヘブンズギルを召喚し構える。
「始め!」
ギルガメッシュ王は高らかに笑い、
「実力をみせてみよ!コバヤシとやら!」