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ウェポンサモナーとスラ子の冒険  作者: どれいく
コバヤシと言う冒険者~1章
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優しさ

「よし」

腰に付けた冒険者グッズの確認をし、地図を見る。

今回コドラが確認されたのはマゴニア地方。寒冷地方で、当然その厳しい環境にも適応できるような強い魔物が多く確認されている。ドラゴン、上級の魔獣、精霊なども稀に目撃されるらしい。

「召喚者君!」

「ああ、アリスか」

「今回は寒冷地方にいくんだよね。ギルドで寒さ対策のアイテムでも買っていったら?」

「寒いとこ・・・平気かな。わたし凍っちゃわない?」

スラ子は不安そうに呟く。・・・たしかに。

「人型アイスノンみたいになりそうだな・・・」

「あいす・・・のん?ってなあに?」

「あ。いや、なんでもない」

すこし想像してしまった。そんなのは縁起でもない。

「ふっふっふ。そんな困っている後輩二人にこれを貸してあげよう」

アリスのパーティの大柄な男が「ほらよ」と言い、毛皮付きのフードがついたベストのような服を放り投げる。

普通に見ればただの防寒具だった。しかし試しに着てみると、まるで魔獣の毛皮を丸ごと着こんでいるような暖かさだ。これはすごい。

「・・・あのときは悪かったな。お前にアリスを救ってもらったんだって聞いた。ただし、これで貸し借りなしだ!」

「ふふっ、カインは素直じゃないですね。お礼だと思って受け取ってあげてくださいね」

「ありがとう」

「ありがとう!カインさん!」

お礼を言うと荷物の確認をする。体を温める特殊な酒を使った飲み物に、乾燥させ香辛料を効かせた干し肉、あとは・・・

「マリーンの屋敷にいこう」

アリスのパーティに改めてお礼を言うとマリーンの屋敷を目指すのだった。







「そちらから来るのは珍しいね」

「借りがあるだろう。たまには頼ってもいいはずだ。もちろんタダで頼むわけじゃない」

マリーンの工房にお邪魔するとどうやら実験中のようだった。

相変わらず如何わしい実験をしているのだろうか。

「今回は寒冷地方に行くんだ。何か役に立ちそうな物はないか?カネはある」

机に金貨を詰めた袋を置く。結構持ってきたつもりだ。

「うーんそうだねえ。寒冷地方か・・・なにを相手にするんだい?」

「コドラ・・・ドラゴンの幼体だ」

「ふむふむ・・・なるほど。これはどうかな?」

戸棚をゴソゴソとあさると、手のひらほど大きさの赤い魔石を渡された。

ほのかに赤く光っていて不思議な魔力を感じる。

「これはね、火山にいる炎の精霊の使い魔みたいなやつを魔石に封じたものだよ」

「解放したらどうなるんだ?」

「恐らく地形を変えるほどの爆発が起きるね。それと、詠唱は必要ないよ。封じられた魔力を解放するだけでいい」

「地形を変えるってそんな危険なもの自分も巻き込まれるだろ・・・」

「そこらへんは安心していい。すこし距離を置けは巻き込まれることはないよ。所詮は使い魔レベルだからね」

相変わらず、危ないものばかり取り扱ってるな。

しかし、初めて行く土地だ。奥の手も何も持たずに行くよりは頼りにはなるだろう。

「使ったら感想を聞かせてくれると助かるよ。お金にするにはサンプルが必要だからね」

「ししょー!おわったー?」

「彼女も待つのが限界なんだろう。早くいってあげると良い」

「ありがとう。またなにかあったら頼む」

お礼を言うと工房を後にした。









「ああ。そうだ」

街の出口、馬車に荷物を積み込みの途中、思い出したようにコバヤシはカバンから杖を取り出した。

昨日の夜ウイッチクラフトでスラ子に作った特製の杖だ。

すこし不格好に出来てしまったかもしれない、でもスラ子は、

「わああ!ありがとう!」

本当に喜んでくれた。今思い出すのも違うかもしれないが、過去の自分を思い出す。

_____人の為になにか1つでも真剣にやったことはあるだろうか。

「大切にするね。コバヤシ!」

俺は元来がんらい人でなしだ。自分のことで精一杯でこんな風に感謝されることはあまりしてこなかったと思う。

少しは俺も変われたのかもしれない。



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