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ウェポンサモナーとスラ子の冒険  作者: どれいく
コバヤシと言う冒険者~1章
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魔剣 ヘブンズギル

「術式展開。爛れおちよ、放て。ディザーゥヴ!」

マリーン家の練習場。前回スラ子が訓練に使った場所だ。マリーンはコバヤシに魔術の訓練をしていた。

イメージを固める為、詠唱する。媒体の杖を通して硫酸の塊が放たれた。的である人形はパチパチと酸の泡立つ音をさせながら上半身を溶かしつくされ、ぼろぼろになる。殺す威力があるというよりは痛みを与える用途の攻撃だった。とはいえ、当たれば致命傷は避けられまい。

ディザーゥヴという意味は溶かすという意味だ。苦労したが、イメージが一番しやすかったのはこの詠唱だ。

「コバヤシ君は変わった属性だね」

魔術は炎、氷、雷、風の4属性と、その他の属性、そして聖属性にカテゴリは分かれている。

俺はその他、ってことか。

分類できない属性は特殊なものが多く扱える者は少ない。

「杖はめんどくさいな。直接剣から放出できないだろうか」

「魔力の媒体にできる剣か・・・そうなると魔法武具や魔剣の類だね」

「魔剣は無理そうだな・・・たしか遺物扱いのはずだ。貴族の間で稀に取引されるらしいが」

もしかしたら・・・魔術を行って一度でも情報として取り込むができれば性能を再現し、召喚できるようになるかもしれない。

「へえ!君は解析を使えるんだね」

それなら、とマリーンは言った。

「僕の知り合いにね。コレクターがいるんだ。保存状態の良い遺物もいくつか持っていると言っていたはず」

「魔剣か・・・そんなものより現在使われている魔法武具のほうが良いんじゃないか?」

よほど保存状態がよくないと遺物はただの骨とう品だ。変なものを掴まされてもたまらない。

「まあまあ。僕にとってもメリットがあるんだよ。信じてほしいなあ」

マリーンは信用ならない奴だが、こういう時は信用出来る。厄介な性格だな。








「・・・マリーン殿。お久しぶりでございます」

貴族はサイケルと名乗った。魔術協会の貴重なマリーン派の1人だ。

いわくつきの遺物を集めている。有名人らしい。

_____魔力を吸い尽くすと言われる宝石に、破滅を呼ぶ杖。

まともな物がない。

「うわ・・・」

類は友を呼ぶとはこのことか。異様なコレクションに圧倒される。

「あなたが今回解析をして下さるコバヤシ様ですね。宜しくお願い致します。」

案内されるまま、地下室に案内される。そこには魔剣、と呼ばれる大量の遺物が保管されていると言った。遺物は偽物も多い。それを鑑定して欲しいという話だった。

「わかった。少し時間はかかる」

骨は折れそうだが本物の魔剣の情報が手に入るかもしれない。

コバヤシは作業に取り掛かるのであった。







魔力を対象の遺物に流し込み、解析を開始する。本物の遺物・・・魔剣なら特殊な回路が組み込まれているはずだ。

「解析開始・・・これもハズレか」

もうすでに10本くらい見ているが偽物が大半だった。大半は打ち捨てられただけのゴミだ。

「残念です。値段は結構したのですが」

サイケルは残念そうに積み上げられた剣を捨てていく。

当然だ。こういう類の品は墓荒らしの連中が勝手に宝だと勘違いして売りさばく。

そんな時マリーンが1つの剣を手に取ると俺に渡してきた。

「これは・・・どうかな。なんか輝きが違うような気がするね」

たしかに綺麗な感じの見た目だ。しかし遺物にしては新しすぎるような気もする。

解析開始。______!

「これは・・・・!?」







夢を見た。

願いを叶えられ破滅した使い手の記憶。

「助けてくれ・・・助けて」

亡者がそこら中から迫ってくる。皆、この魔剣に願いを叶えられ地獄に送られた魂だろう。

「お前の願いはなんだ?」

何者かに問いかけられる。・・・願いなんかない。

でも強いて言うなら。

「過去の記憶を払拭したい。もう後悔したくない」

「それが望みか。叶えてやろう」

パキイン!

_______!

構造解明・・・これがこの魔剣の記憶。魔剣の名は、

「ヘブンズギル・・・これがこの魔剣の名前だ」

「おおお!本物なのですか!ヘブンズギル・・・!」

かつて絶対的な勝利をもたらすと言われた伝説の魔剣。持ち主の願いを叶えるが破滅を与えるという逸話を持つ。

素晴らしい、と興奮のあまり握手をしてきた。

「ありがとうございます!また何かありましたら解析をお願いしたい!」

「マリーン殿も素晴らしい判断力をお持ちで!またお願いしますぞ!」

いやあ・・・と言いながらちゃっかり報酬を受け取る。慈善事業でマリーンがこんなことをやるわけはないが。

「たまにはいいこともするものだね!しかし本物の魔剣があるとは・・・」

驚きだった。ヘブンズギルなんてよくある与太話の1つじゃないかと思っていたからだ。

マリーンは笑いながら言った。

「コバヤシ君も精々破滅しないようにね!」

冗談じゃない。そんなのは御免だとコバヤシは思った。





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