これまでと、おしまい
ガタガタと馬車が揺れる。
この揺れになれてくると寝るのに時間はかからない。
最初のころは酔ってしまうこともあったが今はだいぶ慣れたものだ。
「そろそろだね。コバヤシ君」
「ああ」
スラ子は寝ている・・・まさかここまで一緒にパーティを組むことになるとは思わなかったな。
色々なことを思い出す。
____何度もお前には救われたな、頼りにしてるぞ。
「マリーン」
「なんだい?」
「ありがとう。また何か依頼があれば声をかけてくれ」
マリーンは笑いながら言葉を返した。
「そうだね。そうさせてもらうよ」
ゆっくりと見慣れた市場を歩く。
今は、前にお世話になった宿屋の主人に会う予定だった。
スラ子は隣でリンゴをむしゃむしゃ食べている。
魚屋、果物屋、この市場は実はギルガメッシュ王の国より充実している。
「あら。生きて帰ってきたのね。コバヤシ」
「イシュタルか。何か用か?」
「そういうわけではないけれど・・・生き残って良かったわね」
少し心配そうに聞いてきたので「意外だな」とコバヤシは皮肉を言う。
「そういえば・・・聞きたいことがある」
「シャイターンの事かしら?」
「そうだ。魂を集めていたとか、カーリが言っていた」
昔のことを思い出すような悲しい顔をしてイシュタルは語りだした。
「彼はね。人間と結婚したけど天使に殺されたのよ。それで主犯格の天使を殺したの」
「ふむ・・・」
「その天使は私の部下で・・・立場的にシャイターンは重罪にかけられるとこだった」
そして天界での戦争が始まり何人も天使が死んだ。
元々天界では天使同士の戦争の経験がなかったのもあってかなり凄惨なものだったらしい。
「そして、シャイターンは敗北。地上に堕落したってわけ!そろそろ話しの本命に入るけどシャイターンは魂のエネルギーを大量に使って冥界からヘレナを引っ張り上げようとしたのよ。だけどそれは失敗したみたいね・・・」
「これでシャイターンの話はおしまい・・・いまはさすがにダメージが大きすぎてそれどころではないはずだから大丈夫なはずよ」
「わかった・・・話を聞かせてくれてありがとう。さて、そろそろ宿屋に着く」
「わかったわ。またね」
イシュタルはそう言った後市場に戻っていった。
_____そして、シャイターンとの戦いも終わり、日常に帰っていく。
1つ変わったことは。
ちょっとだけ前より強くなったって事だけだ。