玉座の間
遠くから戦闘の音がする。
剣と剣がぶつかる音だ。
コバヤシは魔力を気にせず、
「間に合ってくれ・・・!」
マリーンも足に魔力を全開に回し、駆ける・・・!
「コバヤシ君、慎重にいったほうがいいんじゃないかな?」
マリーンの静止を無視し、一気に大扉の前にたどり着く。
ただ、一気に魔力を消耗したためか、魔力を補填するためにそこで大きく息を整える。
_____冷静になれ・・・なるんだ。
まだピンチだとは決まったわけではない。
「コバヤシ君、僕は気配を遮断して回り込むから君が彼らと隙を作ってほしい」
「通常の手段では彼らにダメージを与えることは出来ないはずだ・・・何か手段はあるのか?」
「ああ!問題ないよ!僕と君の魔剣があれば大丈夫だ!」
時間はない。
マリーンを信じる他にないのは確かだった。
コバヤシは大扉を開けた。
「わっ!コバヤシ!」
「スラ子・・・!大丈夫か?」
確かにここは何らかの術式を張られているのが分かった。
ニイナの聖剣による魔力放出が、40%程になっている。
そして、待ち受けていたように玉座には部下が配置されていた。
見るからに劣勢だ。
「ニイナ!ブロー!アンジェリカ!俺がシャイターンを倒す・・・・!だから身を守るのを優先しろ!」
「スラ子は・・・俺とシャイターンを倒すぞ!」
「わっ!わかった!」
シャイターンは不意打ちを食らったようにこちらを見て笑った。
侮蔑に近い顔だ。
_____人間ごときが、なにを_____
コバヤシは最後のマジックエリキシルを飲み干す。
機をうかがい、その瞬間に核を貫く。それに、こちらはマリーンもいる。
信じるしかない。
「いくぞ!」
「わっ!」
「「私たちも!」」
少し恥ずかしそうに「そうだね」とブローも笑う。
こういう時、一番に飛び出すのは他の誰かだが、今日は俺がやらざるを得ないな・・・!
魔剣と自身の魔力を接続し、コバヤシはシャイターンに言い放つ。
「舐めてかかると、痛い目を見るぞ・・・!それとも、怖いのか?」
「・・・!」
シャイターンの雰囲気が変わった。
気に障ったのか分からない、でも。
「ゼパルを倒したのがそんなに嬉しいのか?・・・下らん」
皮肉を言い玉座から立ち上がった。
「来るがいい、魔剣使い・・・!貴様の魂、わが手で打ち砕く」
「・・・ああ!こい!」
最後の戦いが、始まった。