再開
「ハアッ・・・ハアッ・・・」
この5人のダークエルフ、連携がとれていて強い・・・!
コバヤシは魔力切れを起こしていた。
マジックエリキシルもあと1個。
増援は・・・期待できない。
「死ね!」
ダークエルフ達のダートがこちらに飛んでくる。
すべてを躱すことは出来ない。
_____死ぬ、のか。
そんな時だった。
「とーーーう!」
予想だにしていない声が聞こえた。
間一髪、届くはずだったダートが撃ち落とされる。
「お前は・・・!?」
「久しぶりだね、コバヤシ君。あの時の約束を果たしに来たよ」
_____そういえばあの街を離れる時に何か言っていたな。
「と、その前にっと」
マリーンはコバヤシにマジックエリキシルを手渡した。
これは助かる。
一気にそれを飲み干すと消費していた魔力を回復する。
「ありがとう」
「貴様、何者だ?」
ダークエルフ達はマリーンに殺気を向ける。
「僕はマリーン、しがない魔術師さ。さて、コバヤシ君チームプレイは得意かな?」
「ある程度は」
「うんうん。成長したね。だったら前衛は任せるよ・・・術式、展開」
この術式は範囲は広いが時間がかかる様だ。
_____まったく、スラ子だけでも同行してもらえば良かったか。
時間稼ぎだけとはいえ1人ではこの人数はキツイ。
「死ね!」
「束ねよ、集え、光の柱よ。敵を消し去れ・・・!」
マリーンは詠唱を始めている。
俺はダークエルフ達に囲まれないよう深くに追わずけん制するように殺気を向ける。
マリーンが詠唱を終えればこちらの勝ちだ。
「術式展開・・・!溶かし尽くせ、ディザーゥヴ!」
特定の敵を狙った攻撃ではない。
これは牽制だ。怯えさせて少しでも時間を稼ぐ。
「・・・!」
さすがにこの攻撃を食らうのは怖いはずだ。
これは痛みを与えるのが目的の魔術。
しかし、それだけでもダークエルフ達の連携を崩すのは容易のはずだ。
そして。
「コバヤシ君、いくよ!」
「ああ・・!」
マリーンが「ホーリー!」と詠唱すると光の柱がダークエルフ達に降り注ぐ。
悲鳴を上げて彼らは倒れていく。
聖魔法でもこれほどの威力はあるのか、俺の知っているホーリーとはまるで別物だった。
「死んではいないよ。殺すのは忍びないからね」
不敵に笑いながらマリーンは言った。
玉座は目の前だ。