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かつての出会い2

その場にいた冒険者たちは思わず見とれた。

片手にロッドを持ち、片手に短剣を持つ不思議なスタイルのも理由だが見るからに彼はキャスターにもかかわらずイヴ・・・落ちた天使の扱うダガーを短剣で余裕で受け流している。

「君の技量では僕に一撃も入れられないよ。道をあけてくれないかな?」

「そのようね。でも」

イヴはさも平然と言った。

「私に通常の攻撃は効かないわ。魔法であってもね」

「知っているよ。僕もかつてはそうだったからね。それ込みで説得しているんだよ」

「・・・身の程を知りなさい」

彼女は殺したくはない。でも、

「分かった・・・」

やるしかない。

僕はヘブンズギルのレプリカに魔力を流す。

本体よりは与えるダメージは少ないが、急所を狙えば致命傷は与えられる。

残りかすほどの天使の力を開放する。

僕はかつての力のほとんどを失っているが、それでも転生時に少しは持ち越している。

「マリーン様・・・!?」

それを見てエリスは驚いて思わず声を上げた。

「ああ、君には言ってなかったね。僕は転生した天使なんだ。それなりの階級のね」

「貴方、マリファスね?」

ようやくイヴも思い出したようで驚いた様子だった。

「あの時、私が殺したと思っていたわ。それにしても、すっかり力を失っているわね」

心底憎らし気に僕を見る。

・・・まあ、それも当然か。

「さて」

僕はイヴを見据え、

「ケリをつけよう」

そういうと飛ぶように足に魔力を込め、距離を詰めた。






「くっ・・・!」

「随分と実戦がなかったみたいだね。イヴ」

戦力差は圧倒的だったが、マリーンの技量が違いすぎた。

何より隙を見せればヘブンズギルと反対の手に持つロッドで弱点になる光属性の上級魔術が飛んでくる。

頼りのデビルアーマーも討ち取られて劣勢なのは明らかだった。

「報告しなくては、でも・・・」

「どうしたんだい?彼のもとには戻らないのかい?」

「貴方に負けたなんて口が裂けても報告できないわね」

「そっか・・・」

小さく彼は「ごめんね」と口にする。

・・・・!?

その瞬間、忍ばせたイヴの足元に設置された術式が発動し、拘束された。

そしてレプリカを構え、静かに刃を落とした。

なるべく痛くないように。







「すげえなアンタ何者だ?」

「ふっふっふ。謎の凄腕魔術師マリーンだ!覚えておきたまえ。さて、と時間がない・・・自己紹介はこのぐらいにして僕は行かなければ、コバヤシ君が死んでしまうからね」

「分かりました。ここの残党は私たちに任せてください」

「エリス君、冒険者の皆、任せたよ!」

とにかく急がなければ、そうでないと最後に彼に言った言葉が嘘になってしまうからね。

ただその為だけにマリーンは走った。

のこされた最後の天使の力をいま、使う時だ・・・!


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