かつての出会い
「おい、カイン無事か?」
「お前こそ・・・」
このイヴという女、信じられない強さだ。・・・落ちた天使に通常の攻撃は通用しないのもあるが。
やっとのおもいでデビルアーマーを倒していたのにこのままでは・・・!
なにより恐ろしいのは、ほぼ詠唱なしで上位魔術を使ってくることだ。
エリスもここまでの強さを持つキャスターは初めてだった。
「死になさい、サンダーボルト・・・!」
冒険者たちに向けて殺意が向けられる。
イヴの指先に魔力が集まる。
_____終わりなのか。
その場にいた冒険者はみな、覚悟を決めた。
そんな時だった。
「とーーーう!」
その場の雰囲気にそぐわない声で、彼が現れた。
そして、
「展開せよ・・・!マナシールド・・・!」
障壁が展開されサンダーボルトは弾かれる。
「マリーン様・・・!?」
「エリス、とここにいる冒険者のみんな、どうやら間に合ったようだね」
「まあ、本来の座標と違ったとこに落ちただけなんだけど・・・」
冗談交じりでマリーンは言葉を続ける。
「貴方、何者・・?」
イヴは面食らった顔で彼を見る。
「もう覚えていないよね。もう幾年前の事だから。でも・・・そちらのほうが僕としてはやりやすいからいいけどね。さて」
今度は自分の番だと言わんばかりにイヴに近寄っていく、彼らにはデビルアーマーを相手をしてもらおう。
「みんな、あの鎧はお願いしていいかな?」
「分かったけどよ。お前何者だ?」
当然の質問だ。
アレスは少しいぶかし気にそう言った。
「賢者のマリーンだよ。それなりに有名人さ!」
さも英雄かのように立ち振る舞い、賢者はそれに答える。
「無視は辞めてほしいわね。私の前で口を利く時間はあるのかしら?」
「まあまあ、こういう時はボスキャラは空気を読むものだよ?・・・ホーリーエッジ・・・!」
・・・!
イヴはとっさに魔力の壁でその攻撃を弾く。
「さて、君と戦うのは初めてだけれど・・・加減はしないからね」
マリーンは魔力を開放する。
この時の為に僕は。
待っていたのだから。
彼は覚悟を決めた。