ギルガメッシュの策
「神の矢、魔力装填完了しました!」
ギルガメッシュ王に伝令係から連絡が届いた。
ギルガメッシュはそれに答えると、戦線の状況を確認する。
神の矢・・・まだ試作段階だが時間はそれを許さない。
「分かった。伝令感謝する」
「こちらこそ感謝いたします!」
「さて、次の手だ。次の指示を戦場に伝えてくれ」
戦場は拮抗状態になっていた。
できるだけ敵兵をこちら側の領地に誘い込む。
「神の矢、起動・・・!」
神の矢、その威力はすさまじく敵の群れをまとめて吹き飛ばす。
ただ、まだ試作段階のせいか次弾を打つまで時間がどうしてもかかってしまう。
「魔力、装填・・・!」
後続の、宮廷魔術師は一斉に神の矢に魔力を込める。
このタイミングで後退していた敵軍が接近を狙うのはわかっていた。
「こちらはお任せあれ、行きますぞ!」
「エルフ族も行きます」
このためにコバヤシに協力に行かせたのだ。
まさか一般兵の中にエルフ族と竜人族の伏兵がいるとは相手も思っていまい。
「なっ・・・!?」
先に切り込んだのは竜人族だった。
その体躯、魔術への耐性は敵兵のダークエルフが束になっても構わないと思わせるくらいだった。
そしてエルフが、竜人族を弓と風の魔術で援護する。
とはいえ、
「ふん、確かに驚きはしたが数も質もこちらが上だ。すぐに瓦解するだろう」
ダークエルフの指揮官は槍を構え、引き続き進軍を指示した。
「ふうん、そろそろその時が来たのかな。コバヤシ君はどんな顔で僕を見るだろうね」
・・・一人の賢者が戦争のさなかに呟いた。