邂逅
「いくぞ!」
小細工は必要ない。
魔剣と体内の魔力を接続する。
いまできることをすべてやらなければ勝てる相手ではない。
それに、
「わが主は強いだけではない。勇者対策の仕込みもやっている。さっさと終わらせないと間に合わないだろう」
どうやら俺に時間はないらしい。
シャイターン・・・魔王と言われるだけある。
「説明してくれるとは、結構親切だな」
「ふん・・・!」
会話の直後、有無を言わさずフルンディングを繰り出す。
「フルンディング!その力を以て、貫き、破壊する!」
「うおおおお!」
魔剣と魔槍が激しくぶつかり、削りあうすさまじい音を立てる。
ガギイン!
これで、俺がダメージを与えて万全でない状態とは恐ろしい。
魔槍の攻撃を受けた魔剣をそらし、その強烈な一撃を受け流す。
「長い間色々なヘブンズギルの所有者と戦ってきたが、お前が一番強いな」
コバヤシは攻撃を受け流すことができたが大きく後ろに怯んだ。
「くっ・・・!」
ゼパルは何かを狙っているようで、トドメを刺すところまで踏み込んでこない。
勇者対策をしていると言っていたが何か関係があるのか。
ゼパルは不敵に笑うと、
「俺に時間をかけている余裕があるのか?何故このタイミングで俺がそこまでいかないのか、わからないのか・・・」
忠告をするようにコバヤシに言った。
何かに気付かせるような言い方だった。
「わかった・・・!お前の目的は時間稼ぎ、だな」
「正解だ。全力で来なければ俺を倒すことができないし、それにだ」
ゼパルは笑いながら口にする。
「お前の気概を剃ればシャイターン様と戦うときに有利になるだろう。俺にはメリットしかない」
「しかたない・・・!やるしかないか・・・!」
魔剣の魔力を限界まで引き出す。
コバヤシは覚悟を決めゼパルと向き合った。
一方、デビルアーマーと戦っていた彼らは。
「こいつらマジで強いな」
アレスは軽快に笑う。
一体一体の強さが今まで戦ってきた魔物とは比較にならない。
しかし先ほどからデビルアーマーとは別物の、殺気に近い視線を彼らは感じていた。
そして彼女はゆっくりと姿を現した。
「落ちた、天使・・・!」
エリスは思わず口にする。
魔力量を見ればわかる。
この女は尋常ではない。
「その言い方は失礼ではなくて?」
「なぜこんなところに・・・勇者パーティとコバヤシは玉座に向かって落ちた天使を相手にするはずなのに・・・!」
アリスは感じた、私たちではこの人には勝てない。
「あなたたちの動向は筒抜けよ。さて・・・」
イヴの真っ赤の瞳孔が開き、吸血鬼のような目になる。
「殺してあげる」