魔王城にて
「あれが目的の城か」
独り言のようにコバヤシは呟く。
ここまでの道での敵の襲撃は大したことはなかった。
まるで誘い込まれているような不安感だった。
コバヤシの気持ちを察したのか、ニイナは「どんな敵が来ても大丈夫、作戦は完璧なんだから!」
と言ってくれた。
仰々しい雰囲気の城の扉を開ける。
紫色の炎が通路の両脇の燭台について、続いている。
・・・・!
ガシャン!と物音をたて槍を振り下ろす。
「来るぞ!」
装飾だと思っていた黒い鎧が廊下にパーティが足を踏み入れた瞬間、動き出した。
「デビルアーマー・・・!」
ブローは知っていたようで周りと違って驚きはしていなかった。
「いいねえ・・・!こいつは強そうだ・・・!」
デビルアーマーは見たところ8体ほどだ。カインはこちらを見る。
「コバヤシ、あと・・・ニイナとか言ったか、先に行ってくれ時間がないんだろ?」
「うんうん、私たちは落ちた天使に対して相性も悪いしね」
「わかった。・・・みんな生きて帰ってくれよ・・・!」
勇者パーティと俺とスラ子は皆にデビルアーマーを任して脇を通り抜けた。
皆が生還することを願って。
・・・気配がした。なんだか会ったことのあるような。
俺は、急ぐ足を止めた。
そして「奴だ、先に行ってくれ」とニイナ達、勇者パーティーとスラ子に言った。
「わかった。終わったらすぐに追いついてくれ」
「・・・うん。ケリをつけたらすぐに追いついてね」
彼らが走っていくと、彼女が現れた。
「隠れてたのによくわかったね。コバヤシ」
「カーリか。止めに来たのか?」
カーリはどこか悲しそうに俺に聞いてきた。
「お父様・・・シャイターン様を殺すの?」
「ああ。悲劇を生む存在だから、いや・・・。違うな。そんな理由じゃない」
「じゃあ、どうして?」
コバヤシは覚悟を決めた顔で言った。
「動機があり、理由がある。俺はそう思っている。お互い引くことができないのはそれだ」
悲しそうにカーリは、「そう、間違ってるのはわかっているけど・・・お父様を止めてほしい。間違っているって私は言えなかったから」
カーリはそう言葉を残すと姿を消した。
そしてすぐに、騎士が現れた。
言葉は必要はない。
「いくぞ、魔剣使い・・・!」
「来い!」
どちらも大した戦力差はない。かの騎士との決着をつける時だ・・・!