表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
玄関開けたら、異世界でした。  作者: 織原 深雪
6/17


 そんなナサリーさんの元にとことこ歩いてくる小さな影。

 二足歩行の小さなモグラさんを、私はついつい見つめてしまう。

 その子は私の視線に気づいたのか、ピュッと早い動きでナサリーさんの後ろに隠れてしまった。

 あぁ、怖がらせてしまったかな。

 ちょっぴり残念に思っていたら、ライナスさんが声をかけた。


「リーリア、久しぶりだな。また少し大きくなったか? 今日は、落ち人の奈々実を連れてきたんだ。奈々実は俺の番だよ」


 そんなライナスさんの声に、リーリアと呼ばれた先ほどのちいさなモグラさんはナサリーさんの足元からチラッと顔を出した。


 「こんにちは。リーリアなの。お姉ちゃん、落ち人なの?」


 足元から覗くように上を見上げているリーリアちゃん。

 もう、サイズ感からして可愛さしかない!!


「初めまして。奈々実です。そうだよ、私は自分の世界からここに落ちちゃったんだ」


 そんな私の返事に、リーリアちゃんは黒くて潤んだ瞳で見つめて言った。


「でも、ライナスお兄ちゃんの番だったんだね。 お兄ちゃんは大変だけれど、見捨てないでね?」


 うん? 見た目よりリーリアちゃんしっかりしている?


「リーリアは獣人としては子どもだけれど、奈々実よりは年上だよ。五十歳だし」



 えぇ!! こんなに可愛いのに五十歳?! 嘘でしょう?


 私が驚いた顔をしていると、ナサリーさんが教えてくれた。


 「このサールーンの獣人族は種族ごとに成人年齢が変わるのだけれど、大体三百歳以上の寿命の種族の成人は百歳なのよ。人族に近いネズミ族やウサギ族の成人は三十歳なんだけれど」



 えぇ? この世界だと私まだ、成人前になっちゃうじゃない!

 

「私の世界では、成人は二十歳で、私は二十歳なんだけれど……」


 そんな私の言葉に、逆に周囲が驚き顔になる。


「落ち人は不思議ねぇ。人族だからか、大人びているわね。リーリアは五十歳だけれど、まだまだ子供だわ」


 そんなナサリーさんの言葉に、リーリアちゃんは少し不機嫌そうに言った。


「種族の違いなのですから、そんな言い方はないです。おばあ様」


 この穏やか美人さんがおばあ様?!

 驚きばかりが投げかけられるので、情けないどうしようもない顔しか晒してない気がする私。

 もう、しょうがないよ。

 初めてのことばかりだもん、驚いてそれから知って学べばいいよね。



「私とケイリーはお互い五百歳超えてるわよ。 ライナスも二百歳ちょっとよね?」


 私を抱え続けたままのこのイケメンも、途方もない年上さんだったらしい。


「そういえば、そうだね。僕らって成人するとその後が長いから、あまり年を考えないんだよね」


 ご長寿な種族ってそんなものなんですかね。

 私、人間なんで分からないけれど……。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ