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玄関開けたら、異世界でした。  作者: 織原 深雪
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「落ち人はこのままこの国で暮らしていけますか? 私は何が出来るのか、どう過ごせばいいのかも分からないのですが」



私の言葉に美人さんは言った。



「一応、サールーンの王である竜族には落ち人を保護したことを知らせるわ。王様にも会うことになると思う。けれど、過ごし方は基本落ち人の希望に添えるようにするわ」


そんな言葉に、無理に何かをさせられたり食べられたりすることがないという事に安堵する。



「そういえば、まだ名乗ってなかったわね。私は蛇族の長でケイリーよ。こっちは貴方を受け止めた、息子でライナス。次期長になるわ」



どうやら、蛇族の長の息子さんのライナスさんが空から落ちた私を受け止めてくれたらしい。


彼は命の恩人だったのだ。

いきなりスキンシップの激しい、イケメンだけどヤバい人という認識を少し改めた。


「ライナスさん、助けてくれてありがとうございます。そのまま落ちてたら、死んでたと思うので」


そんな私の一言に、彼は頷きつつ言う。


「僕も驚いたよ。僕の大切な子が、空から降ってくるとは思わなくて。間に合って、ホッとしたんだ」


にこやかに、愛おしげに見つめながら言われた大切な子。


えー、やっぱりヤバい人認定でいいのかな?



だって、初対面なのに行動と言動が怪しすぎる。

恋愛偏差値ゼロでも、この人やばいと思う。



「サールーンの国の獣人達はみんな自分の番を探すんだよ。同じ一族に番がいれば見つかるのは早い。でも、僕の番は一族にいなかったんだ」



そして、彼は最上級と思われる微笑みを浮かべて私を見つめて言った。



「落ちてきた君を見て、すぐ確信したよ。君が僕の探していた番だって」


えぇ!?

そんな一目で番ってわかるもんなの?


そんな私の疑問は顔に出ていたらしく、このやり取りを見守っていたケイリーさんが教えてくれる。


「番ならば、ひと目でわかるのよ。この人だって出会えば気づけるの。獣人の特徴でもあるわ。だから、落ち人で人間のあなたには理解し難いことかもね」


この世界の獣人特有の感覚だというなら、私には理解も感知も及ばないのだろう。


とりあえず、私は落ちた先で私を受け止めたライナスさんに番認定されてしまったらしい。



「それが、勘違いという事はありませんか?」



ちょっと悪あがきかもしれないが聞くと、ケイリーさんは苦笑を浮かべて言い切った。


「まず、間違うことは無いでしょうね。生涯唯一の人だから」



とりあえず、私はライナスさんのひっつきに耐性をつけなければならない事をこの時、そっと理解したのだった。


だって、この話の最中もピタッと寄り添って離れないのだもの。


異性とこんな密着したことないのに、経験値ゼロに対するハードルが高すぎる!!

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