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玄関開けたら、異世界でした。  作者: 織原 深雪


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「あぁ、やっと会えたね。前回はライナス一人で来るからねぇ。私になら見せたっていいだろうに、本当に蛇族ってやつは嫉妬深くて、番を離さないから」



 ため息交じりに言うシェーランさんに、私は初めましての挨拶をする。


「初めまして、奈々実です。落ち人です」


 そんな私の言葉に、シェーランさんが目を見開いてそしてにこっと笑ってくれた。



「まぁ、まさか生きてるうちに落ち人に出会えるなんてね。しかも、まだ王都にも王妃様がいらっしゃるし、素敵なことね」


 シェーランさんの反応に私は少し戸惑う。

 落ち人は珍しいだろうけれど、そんなに歓迎されるものなのだろうか?



「奈々実。落ち人はサールーン王国では福音なんだよ。吉事の表れで、歓迎されるものなんだ」


 そういうものなのね。

 異世界から落ちてきても、大切にしてもらえるならちょっと安心だよね。


「さて、これがライナスに頼まれていたものだよ」


 シェーランさんが出してきたのは、先日土竜族のもとで買ってきた香水瓶。

 その中には薄いピンク色の香水が入っている。


「奈々実の雰囲気に合わせて作ってもらったんだ。気に入ってくれるといいんだけど」


 出された瓶の蓋を開けるとふわりと香るのは色から連想される、桃と柔らかなバラの香り。

 そこに少しミントのような香りがして、爽やかさと甘さが混じっている優しい香りだった。


「落ち着く優しい香りですね。私、この香り好きです」


 作ってもらった香りを確認して、感想を言った私にライナスさんとシェーランさんはホッとした表情で私を見つめていた。


「気に入ってくれて良かったよ」


 うっ、ライナスさんの笑顔が、眩しい!!


 そして、今更だけれどこの状況でミントっぽい香りがライナスさんの香りに近いことに気づいた。


 えぇ、今日も安定の抱っこ移動です。

 蛇族領での移動はもっぱら抱っこ。

 ここ最近歩くのはライナスさんのお家の中だけになりました……。


 足腰弱くなりそうで嫌なんだけれど、外に出るときは離してくれないので、だいぶ諦めがついてきた。



 もう、抱っこの移動が当たり前なんだと腹をくくったというか……。


 まぁ、蛇族同士の番でも女性は大体抱っこされているから、これがここでの普通と割り切れるようになったと言ったところでしょうか。


 だんだんここに慣れつつあるのが、自分でも自覚できるようになりました。


「さすが、番を見つけたばかりのオスねぇ。奈々実は慣れなくて大変かもしれないけれど。子どもが出来る前には落ち着くと思うわ。頑張ってね」



 こども!?


 そうか、番って夫婦だものね。

 いや、まだまだ想像もつかないので、これは触れずにいたいなと思ったのであった。

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