私はミシャ
遅くなってすみません。
二話目でエタりかけました()
また…この夢…
焼ける民家の匂い…
髪を引っ張られて喚く姉の声。
刺されて地べたを這う父と兄の姿。
闇夜に住まう不安みたいな声で笑う男達。
そんな時でさえ天の星は瞬いていた。
憎いと、憎いと、なんで私達だけと、涙ながら奴らを睨む瞳はその瞬きに照らされていた。
まだ霧が立ち込める中、私は覚醒した。焚火の跡を挟んでエルフが眠っている。
「綺麗な寝顔…」
昨日、私を救ったのはこの赤い外套を被ったエルフの男だった。擦れる意識の中私は見ていた、彼は盗賊数人を瞬くの間に殺していた。エルフを見たのは初めてだけど、彼は殺人というものをしているにも関わらず綺麗で…
とにかく私たち人間とは隔絶した様な存在だった。覚えているのはそのくらい。
身体を起こしてみると、すんなりと動く。エルフが回復の呪文を掛けてくれたのかな。
私はこれからどうすれば良いのかな、帰る家も村ももう何もかもがなってしまった。
暫くかがみ込んでいると、寝ていたエルフが起きたみたい。
「やぁ、おはよ?」
滑舌も悪く何とも気の抜けたような声だ。昨日私を助けた様な気迫は感じられなかった。
「おはよう…ございます」
挨拶を済ませると彼は座りながら体をせり出してこちらを観察していた。
「あ、あの?」
「ああ、ごめんごめん!傷の具合が気になったもんでね。」
「身体はもう大丈夫みたいです!」
「そら良かった〜。」
「うん、僕から見ても問題は無さそうだね。」
「あの!」
「うん?」
「お名前は?」
「僕はハーシェ、君は?」
彼は快く名前を教えてくれた。
「私はミシャ」
「よろしく、ミシャ」
「ハーシェさん!ありがとう…ございます…」
私が小さく感謝をしたのを見て彼は白い歯を見せて微笑んで見せた。その後、彼は薪を集めて来るから待っててと森へ入っていった。
もし私が魔法が使えたなら、家族は、村は、助けることが出来たのかな。私には見ている事しか出来なかった。もし彼が…いやこれ以上はいけない。なにかダメな気がする。
「朝から悩み事かい?」
気付くと巻を持ったエルフが居た。
「いえ…家族の事を思っていました。」
私が目を伏せると。
「そうか…聞かなかったことにしてくれ。」
彼も目伏せて薪を焚べ出した。
「美味いもん作ってやるからな。最も人の口に合うか分かんないけどね。」
彼は自嘲気味に言い黙々と食事を作り始めた。
「あのなんか手伝える事ありますか?」
「ああ、それなら皿に出そうな大きめの葉っぱを取ってきてくれ」
私は頷き茂みに入る。