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番外編 セラとカータへのレナの反応の違い

 まずは更新が遅れたこと、誠に申し訳ありません。

 感想でレナ達のいちゃつきをもっと見たいという声があり、今回は番外編を急遽入れることにしたため、本編とは少し異なるお話です。


 今回はレナの視点ではなく、三人称視点でのお話なので、おそらくいつもと毛色が異なると思います。

 特に、カータの性格が少し違うと思われるかもしれませんが、レナから見たカータと、カータ自身の性格は必ずしもイコールではありません。

 ですが、そこまで逸脱したモノではなく、ただカータも色々と頭を使っているのだなくらいに思っていただけた方がいいと思います。

 チャプター1 《好きって言ってみた》



〈セラの場合〉


「お姉様……好きよ」


 セラはレナの腕を抱いて上目づかいでそう告げた。


「な、どうしたの? いきなり……?」


 レナはそんなセラの言葉と行動に嬉しさを覚えつつも、それを表には出さないようにしている。

 しかし、顔が引きつり、声も震えているので傍から見ればバレバレである。



〈カータの場合〉


「……お姉ちゃん、好き……」


 カータはセラのような大胆な行動は取らず、レナのマントの袖を引き、彼女が自分の方に顔を向けたタイミングで耳元へ近付いてささやく。


「ありがとう、僕も好きだよ」


 笑顔でその思いにレナは応える。


〈セラのを見たカータの意見〉


 羨ましい、羨まし過ぎる……!

 私が言っても妹へ向けた対応なのに、セラはきちんと女性として見られてる……!


〈カータのを見たセラの意見〉


 羨ましい、羨まし過ぎる……!

 あんな笑顔で好きって言われるカータは幸せ者よね……!



 チャプター2 《キスをせがんでみた》



〈セラの場合〉


「お姉様……キス、して?」

「な、何言ってるの、こんなところで……!」


 舞台は天下の往来、周りには人がたくさんおり、こんなところでキスしたら、絶対に注目を浴びてしまうだろう。


「ここじゃなきゃいいの?」


 小悪魔のような微笑みを浮かべ、セラは目を細める。


「いや、そういうわけじゃ……」


 口では拒否しているが、レナの視線はセラのぷっくりとした唇へと集中している。


「お姉様……」


 セラはそっと目を閉じ、レナの行動(キス)をただ静かに待つ。


「……!」


 レナはキョロキョロと周りを確認する。

 そして意を決して――


「……むぐぅ!」


――自身の指を狐の形にしてセラの唇にあてがった。


「ふふ……そういうのは将来を誓った相手と……ね?」


 最初は不満な顔をしていたセラも、レナの眩しい笑顔に当てられて、ただただ微笑み返すのであった。


〈カータの場合〉


「……お姉ちゃん、チューして……?」

「えっ……?!」


 舞台は宿屋、ベットの中に入ったカータが、布団をかけてくれたレナに「おやすみ」と笑顔で言われて返したのがこの言葉だった。


「……ダメ……?」


 カータはレナが自身の上目づかいに弱いことを知っている。

 だからこそ、カータは本当にして欲しいことがあるときに、この目をレナへと向けるのだ。


「……分かったよ」


 少しだけためらっていたレナも、やはりカータの上目づかいには逆らえず、カータの要求を飲むことに決めたようだ。

 静かにカータは目を閉じる。

 プチュッとした感触を感じたカータは思わず目を開ける。


「ふふ……おやすみ、カータ」


 カータはレナを引きとめることなく見送った。

 キスをされ、未だにレナの熱を帯びたおでこを撫でながら……。


〈セラのを見たカータの反応〉


 やっぱりセラはお姉ちゃんに女として見られてる!

 おでこにキスなんて……嬉しいけど、やっぱり妹に対しての反応……!

 私もお姉ちゃんに顔を赤くして欲しい!

 女として意識して欲しいのに!


〈カータのを見たセラの反応〉


 何なのよ……!

 カータはおでこにキスしてもらってるし……!

 確かに街中で迫ったのは、お姉様の性格的に難しいとは思うけど……ほっぺたくらいにならキスしてくれても良かったんじゃないの……?!

 はあ……気安くキスしてもらえるカータは本当に羨ましい……。



 チャプター3 《抱きついてみた》



〈セラの場合〉


「セ、セラ……?! どうしたの……!?」


 レナは背中に柔らかい感触を感じて、思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。


「……別に理由はないわ。でも……お姉様を感じたくて……」


 更にセラが腕に力を込めると、その柔らかい双丘に、レナの理性に揺らぎが生じる。


「セラ……! す、少し離れて……!」

「いや……!」


 駄々をこねる子どものようにイヤイヤと首を振り、セラは強固な意思表示をする。


「本当に、どうしたの? 今日のセラはなんだか変だよ……?」


 背中に顔をうずめたセラに、レナは優しい声をかける。


「お姉様は……一人でどこかに行ったりしない……?」

「え……?」

「最近、お姉様の考えが分からないの……通じ合ってた心が離れてる感じ……。変なことを言ってる自覚はあるのよ……でも、不安なの……!」


 レナも何か身に覚えがあるのか、少しだけ考え込む。


「セラ……僕はセラ達を置いていったりしないよ?」

「……ホント?」


 セラはレナの体にまわした腕にギュッと力を込める。


「本当だよ、僕が僕である限り……セラ達から離れたりしないよ。……僕が嘘を吐いたことがあった?」

「ううん……ないわ……!」


 そこでセラはレナの体を離す。


「ごめんなさい、お姉様の邪魔して……! 私行くわね!」


 そう言ってセラはその場を立ち去ろうとする。


「……セラ!」

「……えっ?」


 レナからの呼びかけに振り向いた瞬間、セラは自身の体を包む温もりに唖然とする。


「……不安にさせてごめんね……?」


 セラの耳に伝わる優しいレナの声。

 肩口に顔がある為にレナの表情はセラには伝わらない。

 だが、それでもいいのだ。

 セラ自身を包む温もりがあれば……言葉は不要……むしろ野暮というモノだ。


「ふふ……どうしてお姉様が謝るの……?」

「……そうだね、不安なときは、僕がこうして抱きしめるよ。もちろん二人きりのときだけ、だけどね」

「……うん、お姉様……もう少しだけこのまま……」


 セラがそう言いかけたときに、レナは自身の腕の力を込め、それを返事の代わりとした。

 しばらくの間、そこには優しく温かな空気が流れ続けるのだった。


〈カータの場合〉


「……お姉ちゃん……」


 カータはレナの側面から抱きつく。


「……ん? どうしたの? カータ」


 屈託なく甘えてくる妹に対し、レナは木漏れ日のような笑顔でカータに応える。


「……お姉ちゃんの温もりが、足りない……」

「……そっか、カータは甘えん坊だね?」


 レナは優しくカータの頭を撫ぜる。

 カータは気持ちよさそうな表情を見せ、更にレナを抱く腕に力を込める。


「どうしたの? 何かあった?」


 幼子にするようにレナは優しく尋ねた。

 カータにだって、本当は何か言いたいことがあったのだろう。だけど、彼女は何も言わない。

 不安なことはあるが、それ以上にレナを信じているからだ。

 こうしてひっついているだけで、あらゆる不安は消し飛び、一つの大きな安心へと変わる。

 そんなレナの温もりを必死に感じようとカータは更に腕に力を込める。


「……ううん……お姉ちゃんと、一緒にいたいだけ……」

「……そっか……」


 レナは短くそう言った後、撫でていたカータの頭から手をどける。


「カータ、少し手を離してくれる?」


 カータはゆっくりとレナから離れた。

 名残惜しさは大いにあるが、レナの……お姉ちゃんの言葉を棄却することなど、カータにはできない。


「……ん……!」

「ごめんね、カータ……僕も一緒にいたいよ。ずっとずっとね……」


 不意にレナの優しい声と温もりが、カータの体を優しく包み込む。

 カータは状況を飲みこんだ後、おずおずとレナの背中へと手を回した。


「……ずっと、一緒にいて……? ……お姉ちゃんがいないと、私……」

「うん……ずっとずっと一緒にいるよ……」


 レナはこうして、また一つ嘘を吐く。

 本当は悩んでいるのだ。今のままでいいのかどうか……。

 離れたくない、離れなければ……その二つの間に挟まれてレナの心は揺れ続ける。

 今はまだ小さな芽。

 開花のときは別離のとき。


「……お姉ちゃん、少し、痛い……」


 レナの陰鬱とした思考をカータの声が引き戻す。


「ご、ごめん……!」


 気づかぬ内に腕に込めていた力を抜き、レナはカータから離れた。


「……ありがとう、お姉ちゃん……」


 暗闇の中の微かな光のようなカータの笑顔は、今のレナにとっては太陽のようにも感じられた。


「こちらこそ、ありがとう」


 カータはレナのお礼に首を傾げながらも、レナの笑顔に応え、二人でしばらく笑い合っていたのだった。



 ファイナルチャプター 《セラとカータのセンボウ》



「カータは良いわよね、お姉様に色々としてもらえて」

「……セラは、バカ……? ……お姉ちゃんは、セラを……」


 そこまで言ったところでカータは考える。

 セラに詳しく教えてあげる必要はない。レナがセラを女として意識していることを教えない方が、二人の関係は進展しない可能性が高いだろうと。


「……? 何よ? 途中でやめられると気になるじゃない」

「……セラを……脂肪の塊と思ってる……」

「そ、そんなわけないでしょ! あんたは自分に胸がないからって、僻まないで欲しいんだけど!」


 セラは腕で胸を浮き上げ、強調してカータに見せつける。


「……分かった……セラは、戦争がお望み……!」

「わ、ちょ、ちょっと! 胸を掴まないでぇ!」

「……この駄肉が、私や、お姉ちゃんの、心を惑わせる……!」

「や、やん! やめなさいよぉ!」

「……セラが、泣くまで、揉むのを、やめない……!」



 十分後



「ひっく、本当に、泣くまで、やめないって、どういうことなのよっ……!」

「……有言実行……」


 セラは体を濡らしながら、熱くなった体を抱きしめて震えており、カータは未だにさっきまでの感触を噛みしめながら、手をにぎにぎと動かしている。


「いいじゃない、カータはおでこだけど、普通にキスしてもらえるし、好きって言ったら自然に好きって返してもらえるし……!」


 泣きながら拗ねるセラを、少しだけ不憫に思ったカータは、セラにヒントを出すことにした。


「……セラ、与えられることだけが、幸せじゃない……。……それ以上に、大切なことは、ある……」

「大切なこと……?」


 セラはカータの言葉の意味を尋ねるが、カータはまともに教える気はない。


「……自分で気付いてこそ、意味のあることもある……」

「な、なるほど、深いわね……」


 カータは適当にそれっぽいことを言って、セラを煙に巻く。

 やはりセラはチョロい。

 しかしこのチョロさが、カータにとってはネックだった。


 セラはレナの発言を曲解して、偶に暴走しかけるのだ。

 セラが本気で迫れば……おそらくレナは抵抗できない。

 カータにとって救いなのは、セラにその自覚がないことだ。


「……大丈夫、セラはそのままでいい……いつかきっと、お姉ちゃんも分かってくれる……」


 セラの滑らかな肩に手を置き、カータは微笑む。


「そ、そうよね! やっぱりカータはいいこと言うわね!」


 カータに普段からイジられているせいで、セラは急に優しくされると自身が考えている以上に感情が高ぶり、判断力が鈍る。


(……計画どおり……!)

 そう思いながら邪悪な笑み(当社比)を浮かべるカータに気づくことはないのだ。


「でも、羨ましいことには変わらないわよ……!」

(……私だって、セラが羨ましい……!)


 悔しさを言葉にするセラと、悔しい思いを秘めるカータ……そんな似ているようで正反対な二人が望んでいるのは、レナに愛されることだ。

 彼女達はレナにとって、どちらも大事な存在で、そこに優劣など存在しない。どちらも愛されていることに変わりはないのだ。


 それに気づけない原因は……レナが思いを隠しているからだ。

 今の関係のままでいることをレナは望んでいる。

 レナがこれ以上を踏み込むには……男に戻るか、同性を愛することを肯定しなければならない。


 だが、男に戻るには死の危険を背負う必要があり、同性を愛することを認めるには、レナの本質を変えるような出来事がなければ難しいだろう。


「そろそろ出ましょうか、お姉様が待ってるわ」

「……うん、温まった……」


 二人が湯船から上がると、その少し赤らめられた柔らかい肌が、お湯を勢いよくはじいて、したたらせる。


「……まさか、お風呂でこんな話を、するとは思わなかった……?」

「えっ? 何か言った?」

「……何でもない、体が冷える前に、早く拭こう……」


 二人が出ていったあと、浴室は花を抜かれた花瓶のように、ただ淋しく水を波立たせるだけだった。

 いかがでしょうか?

 まえがきでも書きましたが、カータが少し性悪に見えたというあなた!

 カータは性悪ではありません! お姉ちゃんに愛されようと必死で考えているだけです!


 彼女の全ての行動が計算されたモノという訳ではなく、本当に欲しいモノだけは、使えるもの全てを使ってでも手に入れたいと思っているのです。

 だけど、人が本気で嫌がるようなことと傷つけるようなことはしません。

 本当に必要なら、セラにも迫ればイケると教えてあげるでしょう。


 前回のプロフィール紹介のときもそうでしたが、番外編の中ではカータはメタ発言をします。

 普通の話のときの台詞もパロディっぽいのを言ったりします。

 これはカータというキャラクターだけしかほとんどさせないつもりです。

 別に、だから何かがあるというわけではありませんが、パロディが苦手な方もいらっしゃるかも知れませんので、あえてここで言わせていただきました。(今更)


 最後のチャプターで、二人がお風呂に入っていたのは、別に最初から説明していても良かったのですが、今回は三人称視点ということもあり、少しイタズラ的に隠していました。


 一応タイトルの「センボウ」というのが、潜水艦の潜望鏡とかけてあり、最初からヒントは出していましたが、こんな分かりづらいヒントで気付く人はいないですよね?


 おそらく場面を想像しながら見ていた人は、チャプターの初めから見直して、裸の二人を想像していただけたことでしょう。

 レナとの絡みより、セラとカータの絡みが好きという方もいらっしゃるかと思い、今回はこういう形にさせていただきました。


 これからもセラとカータの対比を見たい! という方がいらっしゃったら、感想でどういう対比が見たいかを、希望を書いていただけたら、それをやってみることにします。

 最低でも三個はネタがないとできないと思いますので、ここまで見てくれたあなた! 是非とも何か希望を書いて下さい!(一つも来なかったら傷つくやつ)


 一応期限は無期限なので、あまりにも希望がない場合は二個でも三個でも書いていただいてよろしいですよ?

 登録しなくても、感想が書けるようになっていると思いますので、一般通過黒百合ファンさん(あまりいないと思うけど……)も、どうぞ希望を書いて下さい。


 それではありがとうございます。今日は昨日投稿できなかったので、もう一つ本編を投稿する予定です。

 この話を見た後だと、余計にショッキングかも知れませんが、あえてやらせていただきます。


 このタイミングでこの話を入れた一番の理由は、よりレナの心境が分かりやすいと思ったからです。

 レナは悩んでおり、本編では、その悩みを解決する方法が目の前にある状態です。

 なので、今のレナは冷静な判断を下せなくなっております。


 レナは決して、考えなしに行動を起こしたわけではありません。

 それでも彼女の判断に納得いかない人もいるかもしれませんが、今後の展開を見守っていただけると嬉しいです。


 それではここまで見ていただきお疲れさまでした。感想の件どうかよろしくお願いします。

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