長く暗い三日間 ――初日――
セラがレナを信じきることができなくなり……。
朝起きたら大寝坊。
すぐに町を出て、一日かかる道を半日で通り、夕方前には目的地に辿り着けた。
とりあえず下見をしよう。
地図は使わない、罠かも知れないから。
森の中の敵は大した強さではなかった。
今日の内に、既に必要な量の半分も薬草を集めることができた。
頑張れば、明日の内には帰れそうだ。
アウステルダーの宿のご飯は、あの食堂とは比べものにならない程美味しかった。
特にデザートで出てきたプリンは絶品で、おかわりもできたけど心を鬼にして止めておく。
女性の体でいると、お腹周りに余計な贅肉が付くのを看過できないからだ。
食後に、残してきた二人のことを考える。
あのプリン、今度は彼女達にも食べさせてあげたいな。
今度は一緒に来られることを願いながらも、明日の為に早めに体を休めることにした。
◆◇◆
朝からセラがおかしい。
昨日の夜、セラはとても遅くに帰ってきた。
すぐに寝てしまったので、声はかけなかったけど、もしかして、昨日の夜……何かあったのだろうか?
朝起きて挨拶をすると、セラとは思えないくらいニコニコと、ご機嫌に挨拶を返してきた。
昨日はお姉ちゃんがいなくなるのを悲しそうにしていたのに、変だな……って思ったら、いきなりすすり泣き始めた。
どうしたの? って訊くと「ごめん、ごめんね……」って、謝り出した。
理由を聞くと「なんでもない」ってセラは言う。
今日一日家に居て、泣いたり、笑ったり、怒ったり、予兆もなく、スイッチが切り替わったように、彼女の感情は変化した。
このままじゃダメだって思って、外に行こうって言うと、首を横に振るだけ。
でも、夕食だけは外に行く。
今日の夕食は今までより酷い。
セラの体をまさぐる人間が増えていた。
いつもならゴーラ以外の奴が触ると怒るセラが何も言わない。
セラの耳元でゴーラが何か囁くと、頭を抱え、かぶりを振って、セラが涙を流す。
私が勇気を振り絞って「やめて」って言うと、何故かセラが「ごめんね」って謝る。
なんでセラが謝るの……?
そんなセラを見たくなくって、私は口をつぐんでしまった。
最悪な食事が終わって、宿屋で眠る。
でも、夜中に何度も目を覚ましてセラは泣いていた。
お姉ちゃんが帰ってきたら治るよね?
早く帰ってきて、お姉ちゃん……!
ここからしばらく鬱展開が続きますが、ご了承ください。
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