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気付かぬ罠

 門を潜ろうとしたところで嫌な奴と出会う。

 ゴーラだ。


「おう、レナ……今日も良い女だな」

「さっきも会ったけど……」


 イライラする……!


 出会うだけで不愉快になるなんて、こいつは嫌われ者の才能でもあるのだろうか?


「……おめぇ、俺のことを誤解してねェか?」

「いや、そんな事ないよ」


 誤解なんてしていない。

 卑怯な手で少女を奴隷にしようとするクズ野郎……これで間違いないはずだ。


 トゲのある言い方で僕がそう言うと、ゴーラは深いため息を吐いた。


「おいおい……俺は金を失くした少女に、お金を貸してやった善人だぜぇ?」


 全く、そういう風には見えない。


 というか……こいつは、何が言いたいんだ?

 正直時間の無駄だし、僕は急いでいるんだ。


「用がないなら、もう行くよ」


 苛立ちながら去ろうとした僕をゴーラは呼び止める。


「まあ待てよ……! 俺はお前に良いモノを渡そうと思ってな……」


 ゴーラは僕に一枚の紙切れを差し出した。


「これは……地図?」

「ああそうだ……アウステルダーのクエストを受けるんだろ? これはそこの森の地図だ。バツ印の所に薬草の群生地があるからそこへ向かえ」

「……なんで、こんなモノを僕に渡すの?」


 何かの罠としか思えない。


「……だから、おめえは俺のことを誤解してやがるぜ……? 俺だって本当は、あんなことしたくねェんだ……。金がかかってるとな……特別扱いできねえ。俺もこの町を拠点にして長えが、セラみたいな奴は何人も見てきた。娼婦に身をやつす者、仕方なく誰かと結婚する者、ただ、その日の生活をする為だけに働く者……。それを一人一人救済していたんじゃあ俺の方が破産しちまうぜ……。だが、お前達はあと一歩の所まで辿り着いた……まあ気まぐれみたいなモンだ」


「良く言うよ、僕達の妨害をしていたくせに……」

「それも誤解だ……たまたま金が入用になったから、クエストを多く受注しただけだ」


……全面的に信用する訳ではないが、否定するにはこいつとの付き合いが短すぎる。


「……信じなくても良い。まあ、一応照れくさいからセラ達には黙っててくれや」

「……心配しなくても言わないよ、信じてないし……」


 正直言うと少しは信用しても良いかもと思った。しかし、罠である可能性がある以上は、気を抜く事はできない。


「ふふ……俺の用事はしめえだ。せいぜい頑張りな」


 ゴーラは夜の雑踏に紛れて消えた。


 どうでも良いけど、なんだか、あいつ終始、機嫌が良さそうだったな。

 まあ良いか、急ごう……。

 

 改めて門へと出発しようと思って振り向くと、いつの間にいたのかは分からないが、そこにはセラが立っていた。


「レナ……どうしたの、こんな所で……?」


 いきなり登場したセラに、僕は少し驚いてしまう。


 顔色が少し青く見えるのは、この路地が暗いせいなのだろうか?


「……いや、変な奴に絡まれてさ」


 ゴーラのことは黙っておこう。一応言わないって約束したしね。


「そう……急がないと、門が閉まっちゃうわよ……?」


 この街は夜の十二時を超えると外に出ることができなくなる。

 通行証があれば中に入ることはできるが、その逆は無理なのだ。

 犯罪者などが外に逃げることを防ぐ為にある法律だが迷惑なものである。


「そうだね、今度こそ行ってくるよ」


 再度別れの挨拶をして町を後にする。


 最後に見た元気のないセラの顔が何故か心に貼り着いてなかなか離れなかったが、僕は振り切るようにマントをたなびかせながら先を急いだ。




 町の外に出て一時間ほど歩いたところで僕は厄介事に出くわした。

 馬車が何者かに襲われていたのだ。

 しかし、僕が剣を持って近付くと、蜘蛛の子を散らすように逃げていった。


 何だったんだ……? あいつらは……。

 ああ……そう言えば、受付のお姉さんが最近物騒だって言っていたのは、こういうことだったのかな?


「ありがとうございます!」


 別に何もしていないのだがお礼を言われてしまう。

 馬車には男女が二人ずつ乗っており、どうやら非武装の旅客のようだ。

「馬車を襲われ、護衛にも逃げられ、困っている」と言われてしまうと、見て見ぬ振りもできなくなり、町までの道中を護衛することになった。


 せっかく、一時間かけて来た道のりを戻るのは面白くなかったが、彼女達ならこうするだろう。

 ああ見えて優しい女の子だ。

 この人達を見捨てて先へと行ったなら良い顔はしないと思う。


 どうにか門までたどり着く。

 去ろうとする僕に、馬車の乗員達はお礼がしたいと言ってきた。

 先を急ぎたかったのだが「先程の盗賊が、待ち構えているかも……」と言われてしまうと、確かに無理して強行して怪我でもしたら、後で二人に怒られそうな気もするので、今日は仕方なく町に戻ることにした。


 彼らの泊まる宿屋は結構大きくて高級な所だった。

 腕の立つ冒険者もよく使用するらしく、ロビーには厳つい顔のオッサンが多かった。

 明日は遅れを取り戻す為、早く寝て起きたらすぐに出発しよう。

 寝る前にお礼と言うことで、助けた人達から高級なお茶を貰った。


 僕には違いなんて分からなかったけどね。

 

 お茶を飲んだら、すぐに眠気が襲ってきた。


 明日は、急がなければ、セラが待って……いる……。

明日からは少しでもアクセス数を増やす為の悪足掻きとして、手動投稿にします。

キリの良いところまで推敲も終わりましたので、中途半端になることはないと思いますが『これからもレナ達の旅が続くか』は皆様の反応次第と思っております。

少しでも続きが見たいという方は、何卒私に実感できる形で評価していただけると幸いです。(因みに今のままでは、レナは〈黒百合の君〉と呼ばれません。完全なるタイトル詐欺になります)


実感が早ければ早いほど、執筆開始が早くなります。


読んで下さり、ありがとうございます。

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