黒い夢
自身の判断ミスにより、二人を死なせてしまったレナは……。
現実を受け入れろ。
いやだ。
あいつらは死んだ。
うそだ。
お前が弱いからだ。
そうだ。ぼくはよわい。
あいつの優しさを踏みにじって。
あいつ?
分不相応な真似するからだ。
それでも……。
今のお前に、誰かを守る力はないのに……。
それでも……。
お前言ったよな?
それでも……。
普通の暮らしで良い。
それでも……。
誰かと結婚して。
それでも……。
家族に看取られて死んでいきたいって。
それでも……。
女共にほだされやがって。
それでも……。
俺も少しは望んでいたんだぜ?
それでも……。
ささやかな生活って奴を……。
それでも……。
……お前、俺の話聞いてるか?
それでも……。
…………。
それでも……。
……それで? お前はどうしたいんだ。
僕は守りたかったんだ!
……せっかく、勇者の使命から逃れたのに。
セラを……。
その結果、勇者の力に目覚めるとはな……。
カータを……。
……いいぜ。
……えっ?
助けてやるよ。
どうやって?
お前の勇者の力は。
うん。
封印されているだけだ。
ああ。
無くなったわけじゃない。
ええ。
それを解放する。
はあ。
ま、一瞬だけだけどな。
へえ。
ここでのことをお前は忘れる。
そうなんだ。
残るのは違和感だけだ。
分かった。
そしてチャンスも一回。
やるよ。
これが失敗してまたここに来たら。
僕は失敗しないから。
今度はこの世界を。
君は。
一緒に旅しようや。
一体。
それじゃあな。
誰だっけ?
応援してるぜ。
……頑張るよ。
戻ってくんなよ……。
……ーー
行ったか……全く、人の話を聞かない奴だな。
まあ、少しでも意識があるだけ普通じゃねえのか?
それより……やっぱ、アイツも勇者だったんだな。
全然覚醒しないから入る体間違えたかと思ったわ。
聞こえてないだろうけど、お前あの子に感謝しとけよ?
あの子がお前と交わしてなかったら、失敗してたと思うぜ?
伝わってくるヴィジョンがなけりゃあ、危機感が全然足りないからな。
お前は寝てたから気付いてないだろうけど……。
まあ、お互いにレモン味だったし、ロマンティックで良いじゃねえか。
……さてと、俺はまだしばらく出番がなさそうだ。
今はまだゆっくり休むとしますか……。
これはうつつか幻か……?
読んで下さりありがとうございます。
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