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第九十一話 ダンジョンの成り立ちとまず一人目

予定通り。

せっかくなので少し内容を書き加えました。

 さて気を取り直して今度はダンジョンコアの話だ。

 コイツ等三人と出来ればオレの新入りモンスターを一気に進化させるためにダンジョンコアを砕かせようとしている。

 戦士たちが三人で新入りモンスターが四体。つまり合計七つのダンジョンコアが必要になるがこれはない。今までオレがいくつのダンジョンコアを壊せたと思ってるんだ?

 今日一日だけで七つも壊すなんてどう考えて現実的じゃない。

 なのでモンスター達の方はまだ別の手段を取る。実は以前から温めていたアイデアがあるからこれを機に実行に移す。うまくいけば新入り達はこれで大丈夫だ。

 だがそれでも戦士三名。一人頭一つと考えて三つは必要。

 七つと比べればだいぶ現実的になったがそれでも厳しい。

 だがしかし、七つではなく三つでいいのなら当てがある。その当てを言う前にこの森の現状について分析する必要がある。


 この森はもともと一つの森型ダンジョンが大きく広がったことをきっかけにそのダンジョンの中で別のダンジョンが生まれ、その新しいダンジョンと森型ダンジョンが互いの主導権を争い。それをきっかけにまた新しいダンジョンが生まれると繰り返していつの間にか一つの大陸の半分以上を占める超超大型ダンジョンへと成長したダンジョンだ。

 今でもダンジョンコアたちはお互いを食らうために魔物を生み出し争わせ、まさに群雄割拠の戦国時代を繰り広げている。

 そこに突然、何者オレの手により一つのダンジョンコアが破壊され、ポッカリと空いた空間ができた。当然周囲のダンジョンコアはその空間を我が物にしようと自分の生み出した魔物を差し向けたがその空間に住み着いた邪魔者(カウリア族やオレのモンスターたち)によってことごとく阻まれている。


 これが今、オレ達がいるこの森のこれまでの経緯だが、今まで幾度となく送り込んできた自分の魔物(戦力)が返り討ちにされてきた現在。周囲のダンジョンコアの反応はそれぞれだ。

 送り込んだ分の補充を優先させて空いた空間の争奪戦から降りたコアもあれば

 失った分の元を取ろうとほかのダンジョンへ攻勢に打って出たコアに

 意地になったように戦力を送り込み続けるコアもある。

 オレが狙うのはそれだ。

 というのもキーパー達はオレと離れている間も魔物を討伐し続けている。最優先して討伐するのはカウリアの集落を狙う魔物。次にその魔物がやってきた方角にいる魔物を手当たり次第に討伐していた。

 つまり今、必要にカウリアの集落を狙い続けていたダンジョンはかなりの手薄状態。ダンジョンコアを破壊するには絶好の機会だ。

 もちろん情報がモンスター達だけでは確証はない。もしかしたら大型ダンジョンで想定よりもずっと多い魔物が待ち構えているかもしれない。

 だがその心配は今のところない。

「さて、()()()()()()()ボロの様子も順調だな」

 ハンターの面目躍如というやつか。

 これまで討伐してきた魔物がやってきていた方角へと進み、その方角にいる魔物を倒せるだけ倒し、もし単独では無理だと判断すれば迂回する。

 言葉にしてしまえば簡単に聞こえるだろうがその実とても難しい。

 だがボロは今のところこの役目を文句なしにこなしている。


 鬱蒼とした森林に潜みながらも素早く前進し、前方に敵を確認すれば気配を殺し観察する。

 今ボロの視界が捉えているのはオーガ。それも何回か進化してきたであろう腰に血の滴る二振りの手斧(ハンドアックス)。見たところ鉄製のものではなく何かしらの骨を削って拵えたであろう骨斧を二本、差している腰布を巻いただけの体の色が青いのが特徴のオーガ。

 その青いオーガはおそらくついさっき仕留めたであろう鳥系統の魔物を毛の処理もそこそこに豪快にかぶりついている。

 火を起こせる程度には魔法が扱え、羽毛の処理もできるほどには知恵も持ち合わせ、いつ奇襲されてもおかしくない場所でも堂々と食事に勤しめる程度には強者としての風格を持っている青いオーガ。

 その行動をつぶさに観察していたボロの取った判断は…


「!」

 突然立ち上がった青オーガ。その表情には動揺と憤慨が浮かんでいる。

 当然だ。この青オーガ。実はたった今視界が全く効かなくなったのだから

 自らが仕留めた獲物の邪魔な毛をむしり取り、自分で起こした火であぶった肉を思いっきり頬張るという何物にも代えがたい至福の時間を味わっていたにもかかわらず、突然目の前が真っ暗になった。

 驚きはした。だがそれと同時にこの現象に心当たりがあった。

 自分がこれまで屠ってきた(エサ)。その中には非力でありながら怪しげな術を扱う者もいた。その一つにこうやって己の目を効かなくする術もあった。

 つまり自分はたった今、(エサ)に狙われたのだ。たかが(エサ)にいつも己が仕留め、食らってきた存在(モノ)が己の至福の時間を妨げた。この事実に青オーガは困惑と焦燥を焼き尽くすほどの憤怒に身を焼かれた。

 いきり立って斧に手を―

「―ガッ」

 伸ばした指の一つが斬り飛ばされた。傷口から送り込まれる痛みと火傷しそうなほどに熱い己の血潮がうっかりすると見失いそうになる現実感を引っ張ってくる。

 慌てて無事な方の手で斧を一つ引き抜くが臨戦態勢も整わぬうちにフッと眩暈を感じた。その正体が何か考える間もなく抗い難き眠気に襲われ、もう二度と目を覚ますことはなかった。


「お見事」

 文句のつけようもない。

 青いオーガを難なく討伐したボロの手並みに惜しみない称賛を送った。

 まず闇属性魔法で視覚を潰し動揺させる。

 次に風属性魔法で武器の一つを使用不能にする。賢いやつならこの場面で武器と魔法の両方を準備するだろうがもともと脳筋気質のオーガだ。まず一番に信頼のおける武器を構えようとしていたようだが、だからこそボロが次に使った風属性魔法で指が飛ばされたときには動揺がこれでもかと胸の内にこみ上げ、その無防備な首をボロに嚙み切られたのだろう。

 ボロは仕留めた獲物には全く執着しておらず、青いオーガが焼いていた鶏肉の残りを手早く口に放り込み、すぐさまその場を後にした。

 せっかく仕留めた獲物を放置にするのか? なんて言われるかもしれないがこれは罠だ。


「グガ?」

 その魔物は飢えていた。狩りがうまくいかず、ここ数日の間ロクな肉にありつけていない。そんな中自分の鼻に届くのは新鮮な肉の放つ血の匂い。

 なぜいきなり肉が現れたのかの疑問はもちろんある。だが今はこの空腹を満たしてくれるかもしれない肉への期待で胸がいっぱいでそれどころではない。

 やはりあった。

 青い体色を持つオーガらしき魔物の死骸。血の様子から見て仕留められたのはついさっきなのはわかる。ではなぜ仕留めた相手はこの肉を放置したのか? そんな疑問がよぎるがそれと同時に自分の鼻に届く臭いが仕留めたであろう相手の情報も拾ってくれる。どうやら相手はオオカミの魔物のようだ。

 それに気づけばこの肉を放置したのにも納得できる。

 だって自分、オークだから

 きっと自分の力に気づいた勘の鋭いオオカミがせっかく仕留めた獲物も放っておいて逃げ出したんだろう。馬鹿な奴めとあざ笑ってやるがそれと同時に目の前の肉に対しての疑念が一気に払われたのでいざその手につか―


「つかむ寸前に首をかみ切られた。か」

 オーク。それも赤黒いフルプレートアーマーに使い込まれた大剣を背負い、さらには腰に短剣を二本という青いオーガ以上に武装した上位種のオークを難なく仕留めたボロ。

 オークは肥満体系だ。まぁ、豚に似た見た目の魔物なんだから当たり前だが首にもそれ相応の肉がついていて筋肉や防具と合わさって高い防御力を持っているはずだが、ボロはそれを自身の牙と爪に火属性魔法を付与。いや、あれは『炎爪』スキルと『炎牙』スキルによるものか?

 とにかく燃える牙でうなじの肉をそぎ落とし、間髪入れずに前足と後ろ脚の爪で首を引き裂き、切り落としたようだ。

 オレの目で見ても十分素早かった。多分あのオークからすればいきなり首を切り落とされたのと変わらないんじゃないか?

 現に()()()()()()()()()()()()オレの目に見えるのは自分が死んだことにも気づいていないような、キョトンとしたオークの間抜け面だった。

「明日は我が身、か…」

 どんなに強い力を身に着けていようと油断一つで簡単に死んでしまうのがこの森だ。

 今更ながら気合の入る思いでボロとの共有を切り、三人に号令をかけて進む。その心の中で思う。

 今この場にいる誰も絶対に死なせない。

 そのために使える手はすべて使う。三人の戦士の進化プランと並行してその道中に起り得るあらゆる場面へのシミュレーションをひそかに開始する。



「さて、ここからがダンジョンだぜ」

 ハッキリわかる。今までの道のりはせいぜい雑木林がせいぜいで基本的に草原だったのに、このつま先から先は鬱蒼とした熱帯雨林(ジャングル)になっている。だがそこで分かるんじゃない。そんな視覚情報だけじゃなく魔物らしき生き物がどこかで挙げている唸り声と目の前の森から漂ってくる獣臭。そして魔力感知の全感覚で確信できる。

 ここから先はダンジョンだと

「ハッ! だったら何なんだ? こっちは最初(ハナ)からそれ目的に来てンだろうがッ!」

「そうッスよ。今更ビビりゃしないッス」

「むしろ、オメェの方がビビってるのか? だったらここにいてもエエぞ?」

 …気合は十分以上らしい。

「上等」

 そこまで粋がるんだったらオレの助け舟なんていらんか? ある程度まで放置決め込むか?

 生意気な口をたたく戦士たちにやや物騒なことを考えながらダンジョンへと乗り込んでいく。



 そして数時間の時が流れた。

 どうやらこのダンジョンはオークやボア系統の魔物が多いようで最初は三人の戦士たちも豚肉が食えると大喜びで狩っていったが



『オークロードの死体』



『クレイジーダッシュボアの骸』



『ブルオークソルジャーの屍』



 流石にこのレベルの相手になると苦しいようで今でレベルアップの反動もあってまともに動けないらしい。このころになると…

「す、すまねェな。アニキ」

「索敵に回復に支援とこれまで散々お世話になったのに申し訳ないッス」

「んだんだ。オラたちもまんだまだ戦いてぇのに体がロクに動かねぇだよ…」

 コイツらも少しは素直になったようで扱いやすい。

「別に気に病む必要はない。今でも十分お前たちは強くなった。だがこの先にいる怪物に立ち向かうにはまだ足りない。そしてこの怪物は自分を打倒しうる力を身につけるまで待ってくれるつもりもさらさらないようだ。だからオレがやる」

 別に恩に着せるつもりもない。

 オレはただ、リナの故郷により発展してほしいだけだ。そのために必要と判断したから進化させようとしているだけ

 ただそれだけなんだ。

 だからあれこれ世話も焼いていたんだ。だがそれもこの先にいる怪物。ここのダンジョンコアが自らを護るために自分の所有する魔物たちをすべてオレ達に向けている間に作り上げたとっておきの秘密兵器(ダンジョンボス)。それがいよいよ完成したらしい。

 さて、気になるその結果どうなったのかな?



『ブルオークデストロイロード LV580』



『ライトニングクラッシュブルボア LV570』



「こう来たか」

 なるほどね。

 まず目につくのはその太い腕。もうオークとは似ても似つかない。『二足歩行のできる豚』もしくは『人間の骨格を中途半端に得た豚』という表現がしっくりくるはずだったのに今、目の前にいるのは『腕だけが圧倒的に肥大化しているオーク』だ。

 それもただブクブク太くなったわけじゃない。薄皮一枚の中には限界ぎりぎりまで筋肉が詰め込まれている。

 そんな極太な腕で握りしめているのは戦斧。それも腕に合わせた大きさのせいかブルオークの体躯と比べても明らかに不釣り合いに大きい(グレート)戦斧(バトルアックス)

 上半身には立派な金属製の鎧。それも戦斧と同じ色合いの黄金。

 色合いと武具から感じる威圧感から主材料はオリハルコンか? だとすればぜひとも(グレート)戦斧(バトルアックス)も金属製の上半身鎧も戦利品としてほしい。

 そして跨がっているのはもはや馬といっても通用しそうなほど引き締まった。スマートな印象を受ける体躯のボア。

 その体には稲妻を思わせる模様があり、ただ黙って立っているだけの今でも時々足元からバチバチとけたたましい音とともに放電しているのが見える。おそらく雷属性魔法やそれに関連するスキルを大量に取得している。文字通りスピードに全振りで完全特化のステータスをしていると見た。

 さらについさっき馬のような体躯といったがより具体的に言えば『豚やイノシシを掛け合わせたうえに馬の要素もとりえれたような姿』と表現する方が正しい。

 大きさも普通の馬の優に二倍は超えている。

 あぁ、なるほど。ブルオークの腕と武器にちょうど見合う大きさだ。しかも馬と違い首元からボアの要素も濃いせいかブルオークがボアの首に隠れて見えないなんてかっこ悪い無様を晒すこともなく、ちゃんとまたがってる様を見ることができている。

「察するにパワー特化型のブルオークとスピード特化型のボアにより人馬一体がコンセプトなのかな?」

 まぁ、人の部分当たるであろうブルオークはあくまで猪半人(ブルオーク)だし、馬の部分に当たるであろうボアも結局は猪に過ぎない。

 そう考えれば全く人馬一体にはなっていないように見えるがダンジョンコア的には十分人馬一体なのかもしれない。

「しかもたちが悪いのはその考え方自体はホントに厄介なうえに…」

 今まで目をそらしていたことに向き合う。

「これで完成ではないという…」

 今まで触れてこなかったブルオークの下半身についてみてみよう。上半身の派手な金属鎧に比べて下半身はえらく貧相だ。腕ばかり肥大化させた代償なのか下半身。それも腰から下にかけてはもう申し訳程度にしかついておらず、仮にボアから降りようものなら戦うことはもちろん戦斧をもって立てるのかすら怪しいほどに短く細く弱弱しい。

 だがそれでも侮れない。なぜなら…

「融合してるのか?」

 そう。申し訳程度に蹄の付いた。まるで生まれたての小鹿を思わせるブルオークの足にボアの稲妻を思わせる模様がボアのそれとつながるように浮かび上がっている。しかもそれに合わせてブルオークの足とボアの腹との境界線がだんだん曖昧(あいまい)になってきている。

 おそらくホントに意味で完成すればケンタウロスのような姿になるんだろう。

「まぁ、別に待ってやる道理もないがな」

 なにせこっちはあと二つはダンジョンコアを壊したいんだ。たかが一つのダンジョンコアの思惑に付き合ってやるほど暇じゃない。

「というわけでさっさと倒すな」

 やっとレオルドを構えて、突撃する。

 すまない。さっきまで回復や支援や援護ばかりだった反動で血沸き肉躍る戦闘に飢えてるらしい。カウリア族の戦士たちの進化にもかかってるから無茶なことを言ってる自覚はある。だがオレを楽しませてくれといういかにも戦闘狂な考えが抑えきれないッ!



『レベルがアップしました』



『確認しました。ダンジョンコアの破壊に伴い、大量のアルファメスの開放を確認。アルファメスの一部が個体名「松田 太一」に吸収され、さらにその一部が個体名「ゴードン・カウリア」に吸収されました。条件を満たしました。個体名「ゴードン・カウリア」は牛人族(ミノルス)から高位獣人族(ハイ・ビースト)牛種(ミノシス)へと進化します。それに伴い、多数のスキルを取得。統合進化を開始します』



 結果は推して知るべし。



『条件を満たしました。ダンジョンコアの一定数以上の破壊。複数の個体をアルファメス開放による上位種への進化を遂行した功績を認め、世界から個体名「松田 太一」へ一つの贈り物(ギフト)が贈られます』



『個体「松田 太一」はこれより自身と配下のモンスター。そして自らが導いた進化完了個体が吸収した余剰分のアルファメスを再分配可能になりました』



 て、んん?

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