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第六話 発見と練習

やっと書けました~。リアルの仕事が忙しすぎですよ~。毎日の小説が心のオアシスです。

 ドスンッ!! ガチャンッ!! ガタッ! ドササッ! ゴトンッ! トスッ ポスンッ ファサッ フワフワ ヒラヒラ


「………」

 うん。なんか色々出てきた。成功したっぽい。最初に出てきた順に重くて硬いものからだんだん軽くて柔らかいものが出てきた。最後に出てきたものなんて下着だった。

「よかった。町中でやらなくて本当に良かった。もし、やっちゃっていたらただの変質者だろ。変態だろ。これ…」

 もし街中でこんなことになっていたら社会的に死ぬ未来しか見えないな。



『ママー。あのお兄さんこんなところで自分のパンツ広げてるよ~』

『み、見ちゃだめよ~。こっちにおいで~』(そそくさ)

『おいおい。なんだアイツ』

『通報しとく?』



 うん。想像しただけで社会的にも人としても死んだと思う。ていうか死ねるな

 さて、下着を含めて衣類の全部をアイテムボックスに入れる。

「つーか。これ全部オレのだ」

 地球で買っていたオレの服。このオレンジ色のパーカーなんてオレのお気に入りじゃん。

 春夏秋冬の服全部を入れてあるのか今アイテムボックスに入っていた荷物の半分が衣類だわ。

「これで衣服の心配はいらないな」

 少なくとも今すぐに確保しなくては危険と言うことはないはずだ。だが残念ながら就職活動の時に来ていたスーツの類はオレが創造しているような中世ヨーロッパモチーフのファンタジーでは浮くだろう。

 結局この世界での衣服が必要なことには変わりないがそれでも今すぐ原始人のような腰巻きだけの生活になる心配がなくなったことはありがたい。

「何より気楽だ」

 何もかもが初めて尽くしのこの異世界で今まで何度の行ってきた着衣と脱衣が今までと同じ衣と言うだけでとんでもないほどの安心感がある。

 やはりアイテムボックスやそれに入れてある道具まで指定した時の判断は間違ってなかった。オレは自分の判断に深くそう感じた。



 ついでに実験もしてみた。どうやら取り出したいものをイメージするとそのイメージしたものだけを取り出すこともできるらしい。

「これで入れたときの状態そのままで保たれるのかが気になるが…」

 流石に今すぐ確かめられるような道具はない。コップと水やお湯に魔法瓶などがあれば確かめられただろうがそんな道具まではさすがに持っていないので無理だ。

「まぁ、この世界で生きていけば確かめられる機会はいずれ来るだろう」

 例えば次の街まで向かう道すがら野宿するときなんかに町で買った温かい食事なんかを入れておけば食べるときに冷めているのかなどを調べられる。

 それで失敗したらもう夕食が食べられないなんて博打みたいなことはしたくないからもしもやるのであれば前もって実験したくはある。

 だがそれはいまではない。

 これでこの話はおしまい。

「で、残りは」

 衣服をしまった後に残ったものを全部鑑定してみると、



『鉄の剣』・・・一般級装備品。特に希少金属が使われているわけでもなく、目を見張るような技術が使われているわけでもない。警備兵や新人冒険者などに根強い人気がある。



『鉄の斧』・・・一般級装備品。同ランクの剣に比べると重く、一撃一撃の攻撃力は高いがそれゆえに使いこなせるものが少ない。冒険者などの人気では剣に劣るが農民や林業者などにはとても愛されている。



『鉄のナイフ』・・・一般級装備品。武器として使用することはもちろん包丁や解体用にも使われているナイフ。兵士や冒険者だけではなく料理人や解体業者などからも幅広い需要がある。



『皮の防具』・・・一般級装備品。動物の毛皮から作られた防具で確かな防御力があるが、魔物の皮から作られた物ほどではない。主な需要は冒険者。



『ライフポーション』・・・一般級アイテム。飲むと薬草の効果で傷の治りと体力の回復が早くなる。あまり品質は高くない。



『マナポーション』・・・一般級アイテム。飲むと薬草の効果で魔力の回復が促される。あまり品質は高くない。



『オールリカバリーポーション』・・・秘宝級アイテム。飲むとあらゆる状態異常が一瞬で完治するポーション。飲んだ人はあらゆる状態異常に対する耐性が強くなり病気にもかかりにくくなる。あくまで耐性が強くなるだけなので完全に無効化することはできない。



叡智(えいち)の書』・・・神話級アイテム。一日に一度しか使えないがこの世のあらゆる知恵を知ることができる魔法の書。世界のあらゆる情報が記載、保管されている世界全知宝物図書館(ワールドインデックス)にアクセスできるカギの役割を果たし、多少の制約があるがその中を自由に閲覧可能にする神話上の書物。



「いろいろまて!」

 条件反射の勢いでツッコミを入れたオレは悪くないだろ。

「前半はともかく何なんだこの後半の二つは!? 秘宝級とかいうポーションもそうだけど特に叡智の書、お前はいったい何なんだッ!? なんでこんなすんごい本がこんな形で手に入っているんだッ!? オレはこの世界にきて一日目だぞ? なんでそんなオレにこんないかにも世界に一つだけしかなくこれを求めて世界中のトレジャーハンターたちが旅をしていますって言わんばかりのお宝があるんだよッ!? 世界中のトレジャーハンターたちに謝れやコラッ!」

 世界中のトレジャーハンターさん。マジでごめんなさい。

 つーか。本当になんでこんなお宝があるんだ? まさか、あの三匹のうちのどれかを倒した時のドロップアイテムとか…


「ないな。ないない」

 あんなもん。オレは本当に戦闘にはほとんど参加もしていないんだぞ? レベルアップも本当に運がよかったとしか言いようがないのにその上神話級アイテムまでドロップとかどんだけだって話だよ? マジで。

「あっ。もしかして…」

 アレか? 確か女神との交渉の時に…



『本ですか?』

『はい。解体に必要な知識とか、野営に必要な知識とか、魔法の事とかとにかくたくさんの事を勉強できる本をください』

『最初から頭にインストールすることもできますが?』

『それはなんだか怖いので遠慮します』

 誰が好き好んで頭の中を好きにいじられるかよ。怖いっちゅーの。

 まぁ。異世界の言語をわかるようにしてもらう時点ですでに手遅れだろうけどさ。それでも、やっぱりできるだけやりたくないじゃん?

『わかりました。それなら全部をまとめて勉強できる便利な本があるのでそちらを渡します』

『ありがとうございます』

 よかった~。これもセーフなんだ。問答無用に頭いじられなくて本当に良かった~。

 さて、これもセーフならほかにどんなものがいるかねぇ~



 なんてことがあったけど。

「もしかしてあれなのか?」

 だとしたら、超レアアイテムをもらえたと喜んでいいよな? 面倒ごととかも呼び込みそうだけども今の状況でのチートアイテムは幸運だな。あとのことは今の状況を乗り切ってからだ。

「さて、ではほかにはどんな道具があるんだ?」

 結果によって今後の行動に影響があるんだからマジで頼むぞ…?



 残りを鑑定した結果。

 魔物が近づきにくくなる紫色の粉『除魔香』。

 中に入ると気配を消す事ができる灰色の地味なテント『隠者の寝床』。

 ほかにも干し肉や黒パン白パンなどの食料やいろんなアイテムがあった。

 あとついでにこの世界の貨幣であろう金色のコインに銀色のコインが数枚ずつ入った巾着まであった。これってもしかして財布なのか?

「この世界ではこんな財布が主流なのかもしれないけど…」

 やっぱり貴重品の管理には慣れた財布の方がしっくりくる。そう思って日本で使っていたオレの財布にコインを全部入れた。

 もともとコインを入れてあった巾着は鑑定しても特に効果もないもない普通の布製の財布だった。ついでにコインの方も鑑定してみたがやはり金貨や銀貨だったようでこの世界の貨幣で合っていた。

「金貨に銀貨ねぇ、どれほどの価値があるのか知らないけど流石にそれは教えてくれないのか…」

 鑑定結果には貨幣であることは表示されていたけど日本円換算でどれだけの価値があるのか記されていなかった。

 多分、価値が明確に決まっていないのかも…

「日本でも店によって品物の値段が変わっていることがあったし、国家間同士、それも異世界のとなれば価格の変動も大きくてオレの鑑定スキルでは表示されないのかも…」

 一応、仮説くらいは建てられるが情報がなさすぎるな。

「うん。考えるだけ無駄だ」

 割り切ろう。



「さて、とりあえずどう動くのが正解だ…?」

 この隠者の寝床があればもう洞窟なんて探さなくていいんじゃね? と思うけど。でもこのアイテムがどんだけ効果を発揮できるかがわからねぇから、結局はどこかの洞窟でも探さないといけないけどな。


「でも、ま。多少の気休めにはなるか」

 もしも、日の入りまでに洞窟が見つからないと今晩はオレの身体を張ってこのボロテントの性能実験だわな。

 チョー不安だけど。この実験が成功したら明日からはどこでも寝られるようになるだろうし、そう考えて怖さと眠気に耐えるしかねぇだろうなぁ。

 え? 寝ないのかって?

 無理だろ。寝られるもんなら寝たいけどさ。たとえ洞窟があってそこで寝られるようになっても怖いのにその上あんな化け物たちがウヨウヨいるような場所を洞窟とか隠れられるようなところがまるでない場所で眠れるような度胸はオレにはない。

 とにかく武器や防具を装備してみるか。



 あ~、皮鎧ってヒモで身体に着けるんだ。スニーカーを履くのに似たような感覚か? 手甲に、(すね)当てに、野球部のキャッチャーが着るようなプロテクトに、と全身に手間取りながら皮鎧をつけていったけど…。

「頭を守るモンないのッ?」

 しまった~。女神には『防具が欲しい』としか言ってなかったからなぁ。兜みたいなものまで用意してくれてなかったかぁ。もともと盾の一つももらえたらラッキーみたいな気持ちだったし、兜のことまでキチンと要求しなかったのは失敗だったなぁ。

 頭とか一番大切な場所ジャン。そんな大事な場所の防具の交渉を忘れるとかどうなの?

 異世界に来てまだ一日目なのにこんなんじゃ先が思いやられるな。

「はぁ~…。あれ?」

 なにこれ?



『鋼の額当て』・・・一般級装備品。前頭部を護るための防具。一般的に兜よりも防御能力は低いがその分使われる金属が少なく、安価で大量に生産できるため低ランク冒険者では好んで使われる。



「あ、頭を守る防具あったのね」

 これは失礼。

 まるでハチマキの一部がそのまま金属になったような防具をとりあえず学校の運動会の時のように頭に巻き付けてみたが少し動くとズレてしまうため試行錯誤して何とか止めることができた。

「ちょっときつく締めすぎたと思うがこれで一番大切な頭を護れるのであれば多少は我慢すべきだな」

 ホント。慣れてないとキツいけど早く慣れるほかなさそうだ


 気を取り直して今度は武器を装備していく。

 剣は腰のベルトに差し込むようにして、斧は背中に括り付けるようにして装備するか。

 ちょうど右手に斧を左手に剣を持てるようにしておく。何回かすぐに構えられるように練習するか。

 武器を抜いて構えての練習をして、少しでも早く抜けるように細かく微調整をする。思いのほかあっさりできた。

 女神がオレには斧や剣の才能があるって言っていたけどそのせいか…?

「しっかしなんだな。こうしてみるとなんかコスプレみたいだな」

 川の水面に映る自分の姿を見て独り言ちる。

 いかにも初心者といった着慣れていない雰囲気がホントにコスプレっぽい。今日からこれに慣れていけばいいけどさ…。

「本当に異世界に来たんだなぁ」

 しみじみとしてしまう。まだ、異世界に来て一日目なのに…



「さて、そろそろ切り替えよう。うん」

 ここからどう動くかだが…

「とりあえず。この川に沿って動くことにしよう」

 古来より人が集まる場所には水があった。湖や川に人々は村落を創っていったんだ。であればこの川の下流は海へとつながっていてそこには港町ができている可能性が高い。

 だがここで注意すべきなのはあくまで可能性が高いだけで肝心の川が地下水脈にでも合流している可能性があると言うことだ。少なくともクマの魔物に襲われる前に見えた街道は川に遮られているようには見えなかった。

 しかし街道があるのだからその道に沿って行けば人里にたどり着けるはずだ。問題なのはオレが魔物から逃げることに夢中で現在地が街道とどれだけ離れているのか。どの方向に向かえば街道へとたどり着けるのかがわからない。

 しかも悪いことにこの川が流れている方向はオレが化け物たちから逃げてきた方へと伸びている。

 つまり、この川の下流に行くってことはまたあの化け物たちと鉢合わせるかもしれないってだ。

 そうなったら今度こそオレは殺される。今こうして生きているのなんてホントに奇跡みたいなものだもんな。こんなラッキーなことが続くわけがない。今度こそ絶対に殺される。

 一刻も早く人里に向かってあんな化け物たちから離れた生活を送りたい気持ちもあるけど、そのために化け物たちの縄張りに入るようなことはしたくない。

 それに今の状況を生き抜くためにも女神から任された仕事をこなすためにもまず、自分が強くなることが絶対条件だ。

 弱いままなら魔物を討伐するなんてことはもちろん明日のお天道様を拝むことすらもできないかもしれない。


「まだ、結婚も子育てもしていない。やりたいこともまだまだたくさんあるのに死ぬなんて真っ平ごめんだ」


 生き抜くためにもまず、自分自身が強くならないと。幸いなことにオレは女神に神の力を授かってもらっているから普通の人よりもずっと強くなりやすくなっているはずだ。

 てか…


「この叡智の書に強くなる方法とか街への行き方書いてあるんじゃね?」


 なにせ『この世のあらゆる情報』が手に入る本だ。神話級のレアアイテムなんだからこれに従って間違いないはず。でも…


「依存しすぎないように気を付けないとなぁ…」


 結局はこの本も、さっき鑑定で調べた全てのアイテムも全部女神からのもらい物なんだよなぁ。なんかさ…、全部自分で手に入れたものだ~なんて勘違いしてとんでもないしっぺ返しを食らうのもアホらしいからな。調子にならずに謙虚に行かなくちゃな。


「さて、これを使うにしても何を調べる?」


 ここからの脱出法?

 あの魔物たちの情報?

 強くなるための方法?

 野宿に最適な場所を検索?

 いや、ていうかそもそも…


「ここはどこなんだ?」


 熊にしろトカゲにしろトレントにしろ、あんな化け物が人が通ったと思われる街道付近をうろついているなんてどう考えてもおかしい話だろ。

 あの道がどこに続いているかは知らないけど物理法則を無視するような動きができるレベル300台の魔物たちがうろうろしているようなところを好き好んで歩くような人が多いとは思えないし、あの道は特に長く人が歩いていないような荒れ果てた様子もなかった。

 この話をまとめるとトンデモナク強い魔物が近くを通りかかってメチャメチャ危険なはずなのにある程度定期的に人の往来があるってことになる。

 なんか、えらく変じゃないか? 自分で結論を出していてなんだが訳が分からない。


「やっべ、考え出したらどんどんわからなくなってきた」

 本当に調べたくなってきた。

 ここがどんな場所なのか?

 どんな危険(リスク)があるか?

 その危険を承知で人々は行き来しているの?

 承知の上なら一体どんな利点(リターン)があるのか?


「よし、とりあえず今からオレがとるべき行動がわかったな」

 まず、この川を上っておそらくあるであろう湖を目指す。

 そんで近くに今日の寝床を探す。

 寝床が見つかったら叡智の書を試す。

「ひとまずはここまでかな。では、行きますかぁ」

 上流へ向かって歩き出す。

 あれ…?

「そういえばあの三匹以外の魔物って見てないな」

 まぁ。別に見たいわけじゃないけどさ。

 でも、まさかね…?

 最悪の予想が頭をよぎったけどそんなわけあるわけがない。あり得ない。これはオレの気のせいだ。うん。

 さて、それじゃあ改めて

「行くか」

 オレの冒険に



 なんて少しだけカッコつけて歩き出してほんの数分。いつ魔物が襲ってくるかわからない緊張感の中で歩くのはとても神経を使った。多分モデルさんもこれくらいは歩き方とかに気を使っているんだと思う。ただ歩いているだけなのに汗が止まらず今もまた顎から汗がしたたり落ちた。

 そんなことをしていたら


「おおぉ」


 思わず感嘆のため息をついてしまった。


「川も綺麗だったが湖もなんて美しいんだ」


 言葉にしてしまえばなんてありふれたものだと思う。

 でも、これがオレが抱いた正直な気持ちなんだから仕方がない。

 清く澄み渡った水面はまるで鏡みたいで雲一つない蒼天を輝く太陽を雄大な山を映している大自然のコントラスト。この風景をそのままに絵画にできたなら、たとえ書き手が二流であろうとも不朽の名画として歴史に残るであろう。

 まさに、自然が生んだ芸術(アート)だ。

「こんなにきれいなモン初めて見たなぁ」

 あれ…? なんだか目から汗が…涙じゃない。断じて。

 …ごめんなさい。嘘つきました。泣いているんですよ。ワタクシは生まれて初めて見るこの美しい光景に感動して涙しています。

 だってショーガないだろ? コンチキショー。本当にきれいなんだから。



「何なんだろうな…」

 こんな風にゆっくりと風景を見るなんて何年ぶりだろう? 運転手だったときは早く道を覚えようと窓から見える光景をジィっと見て目印を探していたけど、今みたいに穏やかな気持ちで風景を楽しむことはなかったような気がする。

 仕事は遊びじゃないんだから当たり前だ。仕事なんだからしょうがないんだ。確かにその通りだ。何にも間違ってなんかない。でもさ、それでもさ…


「もったいなかったなぁ」


 ホントにいろんなところに行った。中には雲一つない青空を映したコバルトブルーの水平線の海。まるで、腕利きの職人が刺繍(ししゅう)を拵えた絨毯みたいに色鮮やかな紅葉の山だってあったはずなのに、道を覚えるためにそれらを意識の外へと外してしまっていたような気がする。

 地球にもこの湖にだって負けないような美しい景色はあったはずだ。それこそオレが車を走らせた範囲にだってキレイな景色があったはずなのにその全部を覚えていないなんて本当にもったいなかったなぁ。


 思えば、オレの人生って後悔や反省が多すぎるな。学生のころからいつも他人との間に壁を作って距離をとって、気を許せる友達なんてほとんど作らなかった。せっかく作れた友達もクラス替えのたびに疎遠になっていって卒業後に至っては友人と呼べる人間なんて一人もいない。友人でさえできないのに彼女なんてとんでもない。


 いつも一人だった。


 それでいいと思っていた。でも、やっぱりさ…


「さみしかった」


 毎日が孤独だった。さみしいくせに自分を変えられない自分が、自分で孤独になったくせに多くの友人に囲まれているヤツを羨ましく見ている自分が大っ嫌いだった。


 努力からも逃げている自分がホントに大っキライだ。


「でも、今度こそは」


 今度こそは嫌いな自分と全く違うオレが好きになれるようなオレになる。母さんたちに誇れるような、どこにでも胸を張れるオレになる。そのために


「必ずここを生き抜いて見せる」


 生きて生きて生き延びて必ず理想の自分になって見せる。オレ自身のためにも、オレを生んでくれた母さんのためにも。

まだまだかきますよ・・・? ご期待ください。

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