第六十二話 さらに強く、そして・・・
本日は連続投稿。
投稿できるときにできるだけ投稿しておこうと思って、やっちゃいます。
さて、食事も終えて午後からも頑張って魔物討伐及び村長の娘に呪いをかけた魔物の探索を進めたが、さすがに三つのダンジョンが複合してできた大型ダンジョン。一日程度じゃ回り切れず今日この日の探索は終わりだ。
《リナ・カウリア》 種族:高位獣人族・牛種 性別:女性 職業:守護戦士・格闘師・槍戦士 年齢:15歳
レベル:60 魔力:6000 攻撃力:12000 魔攻撃:3900 防御力:10600 魔防御:3500 敏捷:11500 運:610
《装備》女帝豹の羽織 大地精と大風精の戦乙女装束 牛人族女性専用の下着 水龍と水面の乙女の戦槍 シルフの耳飾り 詐欺師のブレスレット 万人力の腕輪 サバイバルスパイク
《魔法》無属性魔法:最上級 水属性魔法:中級 風属性魔法:中級 土属性魔法:中級
《スキル》斧術:中級 槍術:最上級 槌術:中級 体術:中級 魔力操作 気力操作 剛体法 超集中 肉体活性 苦痛軽減 怪力 瞑想 気拳法 房中術
《種族固有スキル》闘獣化 受け継がれる血脈
《奥義》明鏡止水 重撃無双 光貫く螺旋突き
《称号》一族の護り手 英雄憧憬 不屈 槍の達人 斧の一人前 槌の一人前 拳鬼 超人の正妻 獣の敵対者
《グランツ・イエホド》種族:人間 性別:男 年齢:18歳 職業:戦士・格闘師・傭兵・衛兵・騎士
レベル:59 魔力:68 攻撃力:90 魔攻撃:40 防御力:82 魔防御:55 敏捷:82 運:44
《装備》歴戦の戦鎧<一式> ひび割れた歴戦の大盾 折れた獣牙斬剣
《魔法》無属性魔法:初級
《スキル》剣術:中級 盾術:初級 体術:初級 忍び足 気配察知 魔力操作
《称号》叩き上げの歩兵 戦場帰りの戦人 不動の衛兵
そしてこれが今日一日での戦績だ。
リナはあれからも順調にレベルアップを果たし、ステータスもそれ相応に伸びている。
一方でグランツの方は何とも言えない。
い、いや
成長はしてると思うよ? うん。
ただその成長速度があまりにも遅すぎる。
まぁ、オレも種族名が人間だったときはこんなもんだったと思うし、多分これはダンジョンコアを壊せばこのいかんともいがたいステータスの低さは克服できると思う。
だがこの基準値はあくまでオレ達三人を基準に置いたものだ。
オレはコイツをこのままオレ達のパーティーに入れるつもりは全くない。それはコイツもそのつもりだ。オレ達のパーティーに入るつもりなんてさらさらない。あくまで一時的に俺たちとともに行動しているだけだ。
グランツの目的は村長の娘を救うことと己の職務を全うすること。その目的を果たすためにオレ達とともに行動しているに過ぎない。
そんな相手をオレ達基準の強さに引き上げていいのだろうか?
強くなることは絶対に悪い事じゃない。それははっきりと言える。だがもしその強さが常識の通用しないものだったら? 果たしてそんな強さを持つ人間を社会は受け入れられるだろうか
「無理だろうなぁ・・・」
おっと、つい口に出ちまったな。幸い誰にも聞かれていないようだし気にする必要もないか? まぁ、用心はしておいて損はないな。
まぁ、話を戻して無理だと思うんだ。常識の通用しない強さを持つ人間は絶対に恐怖の眼で見られ、つまはじきにされると思う。悲しい事だがそれが人間であり、社会だ。
そんな悲しい思いをグランツさせていいのだろうか?
オレはいい。そうなることも覚悟はもうできていた。
それに・・・
物好きな連中にも恵まれた。オレは運がいい。先生。レオルド。リナ。カウリア一族。軽く数えただけでもこんなにオレを受け入れてくれる居場所がある。
そして今度はオレがその居場所になろう。そう思ってリナにダンジョンコアを壊させた。だがグランツは違う。アイツの居場所はオレ達じゃねぇ。
そんな奴をコッチ側に引きずり込んでいいのだろうか?
そんな疑問が消えない。
結局あの後は特に何かあったわけでもなく村まで戻ったのち宿屋で寝た。今日一日で討伐した魔物の素材はグランツがそれぞれ有効利用できる施設に直接売ることができたのでそれなりに利益になった。
中でもグランツの剣が折れる原因になった昆虫型の魔物の甲殻は素晴らしい防具になりらしく、防具職人のおっさんが喜んでいた。
グランツの新しい剣はその防具職人のおっさんの兄弟弟子であり、折れた剣の作り手でもある武器職人のおっさんが創ることになった。
リナが討伐した魔物の中にちょうど剣にピッタリの素材があったそうでそれを使うことに決まった。グランツは遠慮していたんだが討伐した当の本人であるリナがいいと言い続けたので決まった。
今日は徹夜だと気合を入れるように活を入れるおっさんにせめてもの贈り物として疲労回復ポーションを数本差し入れた。これで肉体的疲労はいやせるが精神的疲労はいやせない。でも多少の手助けにはなると思いたい。
ほかにも衣服になる素材や食用肉や植物などをそれぞれの専門店へと直接売った。みんなどれもこれも有効活用できるようでとても喜んでいた。
その中でも特に栄養の高い食材や薬の材料は残していた。グランツの鑑定結果には鑑定スキルやその代わりになりそうなスキルは見当たらなかった。多分これは純粋にその素材に対する知識によって選んでいるんだろう。
その素材を持って村長の家へとやってきたグランツ。初めてのことでもないのか慣れた様子で家に上げる村長と従うグランツ。
「どうじゃった? あのお方たちは強いのか? 娘を、ティナを救える力量の持ち主なのか?」
「俺はあのお三方の内お一人の力しか拝見しておりません。だから三人まとめての評価はできませんが少なくとも今日拝見したお方は俺よりもはるかに強く、例えこの俺が自警団のみんなを率いて戦いを挑んでも一方的に返り討ちに合って終いだと思います」
グランツの話を聞いて頼もしさ半分、警戒半分くらいの視線をよこしてくる村長にちょっと悲しい気持ちになりつつ村長の娘(確かティナと呼ばれていたか?)の様子を窺うと相変わらずだった。やせ衰え、息をするだけでもつらそうな様子。
そんなティナの様子を見ながら泣きそうな顔になるグランツ。
なんとなくだが明日討伐に向かうとグランツが危険な気がする。とんでもなく無理をして格上に挑み、無残に殺される気がしてならない。
だが、それを理由に明日休みにしても危険だ。なんとなくだがそうすればグランツは一人で森に潜り、もっと凄惨な最期を迎えるだろう。そんな気がする。
正直に言えば明日休みにしてリナとデートに行きたかった。いまさらでも恋人らしいことをしてもっとリナのことを知りたかった。
でももしそれで明日を休みにしてグランツが死んだらリナはきっと悲しむと思うし、オレも目覚めが悪い。だから明日も頑張ろう。うん。
さて、昨日は村の宿屋にとまった。
うん。夕食もおいしいし布団もふかふかだし言う事ねぇな。
美味いものを食ってぐっすり寝たおかげで今日も体の調子がいいしリナもそうらしい。先生もいつでも行けるとのことだったので早速森へと向かったらグランツはもう待ちきれないようでそわそわしながら待っていた。これで向かう先が遊園地とかだったらまるで子供みたいだと笑えただろう。
でも向かう先は戦場だ。比喩や暗喩なんかではなく文字通りそのままの意味で戦う場所なんだ。思わず出そうになった笑みが自然と引っ込み気持ちと共に引き締まってきた。
そんなオレに反応してかみんなの空気まで変化し、ピリピリと張り詰めた空気になった。
「行こう」
オレの言葉に返事はなくともみんなが続いた。戦場へ行くことで
今日は四人一組でダンジョンを攻略していく。
昨日のうちにこの森ダンジョンの中心地点は見当がついた。今日はその中心転移真っ直ぐ向かう。
向かう間にも魔物が次々と襲い掛かるが新しい剣を得たグランツとリナが率先して戦うおかげで先生やオレは後方支援だけで済んでいる。
森の奥へ奥へと進むにつれて襲ってくる魔物も強くなっている。この森には主に獣系統の魔物とトレント系統の魔物が多く、ほかにもゴブリンを引いたオーガなどもいた。
魔物が強くなっていくのにつれてグランツはツラそうだが、そこはオレや先生の強化魔法で乗り切ってもらおう。リナの方はまだまだ余裕がある。今までは型や技術の実験などを行いながら戦う余裕があったが今はより実践的な戦闘スタイルの確立を練習しているようだ。
グランツの剣はオーガとの戦闘でまた壊れたが今はそのオーガが率いていたゴブリンの一匹が持っていた剣で間に合わせている。最弱と名高いゴブリンの剣が自分の闘争について来れているという事実に少し微妙な顔をしているが使えるものは使うべきとでも割り切ったのか果敢に魔物斬りかかるグランツ。
この辺りで最も強い魔物はハイドベアと呼ばれる灰色の毛皮をもった魔物らしく、その一撃はグランツの愛用していた盾をあっさりと叩き割り、鎧ごとグランツを切り裂いて余りある重さだったがグランツを攻撃してできた隙にリナが飛び掛かり、仕留めた。
ハイドベアとの戦いで死にかけたグランツだが魔法によって命拾いし、念のために今日はここまでにするかと問うオレに食って掛かった。
「ふざけんな! ココからじゃねぇか!! ティナに呪いをかけたクソ野郎の手掛かりがつかめるんじゃねぇかッ! それなのにここで引き返す? あり得ねぇだろッ!!」
丁寧な言葉使いだったのがウソのように乱暴な言葉の数々。だがその意気やよし。と言う事でさらに奥へと進むことに
グランツの武装はほとんど全滅しているにもかかわらず唯一無事なゴブリンの剣で魔物に戦いを挑むグランツ。男気は認めるは死に急いでるように見える。
今からでもオレのストレージにある装備を渡すか? いや、ダメだな。今のコイツではどれもこれも荷が勝ちすぎる。コイツの分に合っていない。
身の丈に合っていない武器を持たせても生かせないんだから意味がない。
だが今現在のやり方ではグランツが死ぬのは時間の問題だ。何かしらの対策、というよりコイツの身の丈に合わせた武器がいる。
当てはある。
ハイドベア。熊型の魔物。もしコイツが地球にいるクマの生態に似通っているのであれば十分当てにできる。さて、吉と出るか凶と出るかどっちかな・・・?
「なにこれ?」
「これはあれですな。熊のえさ場ですな」
吉と出たね。
熊。それもヒグマでは仕留めた獲物を土に埋めて保存しようとする生態がある。おそらくハイドベアにもその生態に近いものがあるようで仕留めた冒険者やオーガにゴブリンなどを土に埋めて食い、それらが使っていた装備だけが残ったんだろう。
保存方法が方法なだけに決して状態のいい装備とは言えないがないよりずっとマシなはずだ。それに・・・
「ここがえさ場だとすると」
「来るでしょうね」
クマは自分のえさ場にほかの生き物が居座るのを極度に嫌うからな。
オレの予想は正しかったらしく今まで一番大きなハイドベアが現れ襲い掛かった。自分のえさ場にオレ達がいることが嫌だったんだろうな。今まで見てきたどのハイドベアより興奮激しく襲い掛かってくる。
もうこの大きさではビッグハイドベアとでも呼べばいいのか? ビッグハイドベアはまず手負いのグランツへと襲い掛かる。さすが野生というべきか弱った獲物から確実に仕留めようという算段だろう。
しかし、そうはさせまいとリナが立ちふさがり槍を構える。
華奢な印象を覚えるリナではビッグハイドベアの一撃で吹っ飛ぶんじゃなかろうかとグランツは不安は槍のフルスイングでビッグハイドベアの頭骨を砕く勢いで殴ったことで解消された。
リナに殴られたビッグハイドベアは標的をリナに変更したようで襲い掛か――――
「【光貫く螺旋突き】ッ!」
――――ろうとして光と一体化したリナに貫かれた。
光貫く螺旋突き。初めて見た。オレの眼でも見失わないようにするので苦労した。まさに音速をも超えた光の一撃。
まず音が聞こえない。言葉にしてしまえばたったそれだけだがその効果は恐ろしい。今まで頼ってきた五感の内聴覚が完全に機能停止状態になるんだから単純計算で脳へと送りこまれる情報量が一気に二割も減るんだからされた側は大混乱に陥るだろう。
そして目にもとまらぬどころか眼にも映らぬ速さで動くことで今度相手の視覚にも捉われない。さっきの聴覚の話と合わさって単純計算でおよそ半分の四割もの情報が失われるのだからこれで混乱しない方が恐ろしい。
そしてそんな事象を可能にした運動エネルギーを生かした突進が相手を貫く。うん。これでチェックメイトだ。この一撃をどうにかできるとすれば目視で拘束状態に入ったリナを完全に捕捉しその動きに太陽できるステータスと技術が必要になってくるだろう。
《リナ・カウリア》 種族:高位獣人族・牛種 性別:女性 職業:守護戦士・格闘師・槍戦士 年齢:15歳
レベル:76 魔力:7600 攻撃力:14400 魔攻撃:4700 防御力:12000 魔防御:4000 敏捷:14500 運:610
《装備》女帝豹の羽織 大地精と大風精の戦乙女装束 牛人族女性専用の下着 水龍と水面の乙女の戦槍 シルフの耳飾り 詐欺師のブレスレット 万人力の腕輪 サバイバルスパイク
《魔法》無属性魔法:最上級 水属性魔法:中級 風属性魔法:中級 土属性魔法:中級
《スキル》斧術:中級 槍術:最上級 槌術:中級 体術:中級 魔力操作 気力操作 剛体法 超集中 肉体活性 苦痛軽減 怪力 瞑想 気拳法 房中術
《種族固有スキル》闘獣化 受け継がれる血脈
《奥義》明鏡止水 重撃無双 光貫く螺旋突き
《称号》一族の護り手 英雄憧憬 不屈 槍の達人 斧の一人前 槌の一人前 拳鬼 超人の正妻 獣の敵対者
《グランツ・イエホド》種族:人間 性別:男 年齢:18歳 職業:戦士・格闘師・傭兵・衛兵・騎士
レベル:79 魔力:72 攻撃力:100 魔攻撃:50 防御力:100 魔防御:67 敏捷:100 運:55
《装備》不縛の銀胴鎧 確視の兜 新緑の籠手 王者の腰鎧 避雷針ロングブーツ スタミナシャツ 一般的な下着 鬼の大剣
《魔法》無属性魔法:初級
《スキル》剣術:中級 盾術:初級 体術:初級 忍び足 気配察知 魔力操作 気力操作
《称号》叩き上げの歩兵 戦場帰りの戦人 不動の衛兵
結局、あれからグランツにはオレのストレージにあった装備を渡した。(持ち物にアイテムをコンパクトに収納できるアイテムを持っているようにごまかしつつ)防具にはそれぞれ状態異常に耐性のあるものを与え、武器は先日の洞窟で手に入れた武器の一つを与えた。正直に言って贅沢すぎる装備なんじゃないかとも思うんだが今までの装備では早死にするのも時間の問題だったんだし、もし目の前で死なれても目覚めが悪いから仕方のない処置だったと自分に言い聞かせよう。うん。
あ、それから
リナの方は順調そのものレベルアップもステータスの上昇も申し分ない。スキルの方はさっぱりだが今回はビッグハイドベアのおかげでリナの奥義を試せた。それだけでも十分だろう。
あ、ついでにさっきのビッグハイドベアはリナの一撃で簡単に打ち取られていた。その肉を始めありとあらゆる素材を最大限に利用するためにオレのストレージに収納。(グランツにはうまくアイテムを使って収納したようにごまかしつつ)また昨日のように職人たちに直接売ることで利益が出ようだ。
装備を渡されたグランツはますます命知らずに突撃を繰り返すようになったが、これはただただ考えなしになったというよりも先生やオレの後方支援に命を預けるようになったというのが正しいか?
オレ達と共に戦えば強くなれると悟ったのか今までよりも勇猛果敢に魔物を斬り、次の獲物へと襲い掛かるグランツはもう狂戦士と言うべき様相だ。
そんなグランツに触発されたのかリナも果敢に魔物を殴り、貫いていく。そしてここで種族固有スキルの一つでもある闘獣化を披露してくれた。
リナの身体から光のオーラというべきエネルギーがあふれ出し、その光のオーラがやがてリナの体格に合わせた大きさを誇る光の猛牛を形成し
「ブモォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッ!」
リナの雄叫びと突進に合わせて突撃し、その直線状にいた魔物をその大きさも強さも関係なく跳ね飛ばし、蹂躙していった。
リナの動きに合わせて方向を変えたりスピードの加減をしたりと『リナが呼び出した光の牛』というよりも『リナが光のオーラを牛の形の整えて操っている』という印象だ。
リナの意思で解除できるらしく辺り一帯の魔物を狩りつくしてから解除したようだ。さっきのビッグハイドベアと同じかそれ以上の大きさを持つハイドベアも一撃だったし、相当な威力あるのがうかがえるがその割には疲労が少なく発動に対するリスクは少ないようだ。
ローリスクハイリターン。何と素晴らしいことか。
「さて、いよいよ本命だね」
「もう俺でもわかるぞ? あの石の上に座っているヤツがそうだな?」
「呪術師ね。まぁ、いかにもとでも言わんばかりだしあれが本命で会ってるでしょうよ」
リナやグランツの活躍で無事に森の奥へと到着したオレ達。そこにはイギリスのパワースポットのストーンヘンジによく似た石のサークルがあり、その中心にある石に腰かけるやつがいた。
座り方といい。ボロボロの布切れになりつつあるローブから覗くしわくちゃの手といい。老人じみた印象を受けるが・・・
「ありゃヤバイな・・・」
「まぁダンジョンボスでしょうし、そりゃ一癖も二癖もあるわよ」
「魔法は専門外のアタシでも解るわ。あれは怪物よ」
「悔しいが、俺が出ても足手まといだな・・・」
ストーンヘンジの内部からあふれ出しそうな魔力の奔流とその魔力に含まれる嫌なもののせいでその周辺の草木は枯れ果て、大地は死んだようにひび割れている。
そんな様子を見て窪地になっているストーンヘンジを見下ろしながらシャーマンを観察していたオレ達の言葉に歯噛みしながらも同意するグランツ。
グランツには申し訳ないがその通りだな。コレは少し力をつけた人間で同行できる問題じゃない。グランツだけでなくリナでも危険だな。
「呪詛、てやつか・・・」
「あながち間違った表現じゃないわね。普通の人間がこれを大量に吸い込んだら死ぬわよ?」
じゃ、もう
「ここはオレが行くしかねぇな」
とうとうと言うべきかいよいよと言うべきか
この森に来て初めての戦闘だ。
今まで後方支援ばかりだったからすっかりレオルドも寝ちまってるから叩き起こすとするか
「『明けの明星』」
窪地になってる以上近づく過程で絶対に気付かれる。
奇襲は不可能。であればどうする?
簡単なことだ。
奇襲の必要がない魔術を行使すればいい。
天より振り下ろされる巨石は落下のエネルギーと大気圏突入による高温を引き連れてやってきた。
オレの指定した目標へと真っ直ぐ落下していく巨石に気付いたらしいシャーマンダンジョンボスは上を見上げ、巨石に集中した。今だな
「『ボルカニック』」
足元の地面を殴り、シャーマンダンジョンボスの足元を噴火させる。
突然噴火に巻き込まれたシャーマンダンジョンボスは混乱し、巨石に対する対策すらままならなくなり、このままチェックメイトかとも思ったが流石はダンジョンボス。
身軽にジャンプし、ストーンヘンジの上へ、そしてそのさらに上へと跳んだシャーマンダンジョンボスは青と黒の混ざった色合いの特徴的な炎弾を創り出し、巨石へと打ち放った。
打ち放たれた炎弾はオレの『明けの明星』へと吸い込まれ、巨石を丸ごと覆う尽くす劫火になった。音も何もなくただ巨石を焼き尽くさんとする炎と焼かれながらも落下を止めない巨石。
「クソッ! 逆効果だったか」
これじゃうかつに突撃できん。
きっとコレがヤツの狙い。一撃で砕く力は持っていたのにわざわざ時間をかけることで敵の動きを抑制、時間を稼ぎ万全の態勢を整える。
だったら
「それに付き合うわけにはいかんッ!」
もう一度放った魔術はキャンセルできない。もうあの巨石を消す方法はない。であれば魔法弾を放ち、あの巨石を砕きつつヤツが万全の態勢を整える前に斬り込む。
放った魔力弾が『明けの明星』を砕くのを視界の端で確認しつつ、オレはレオルドを構え、窪地に落ちる前に走る。
重力に従い身を任せれば落ちていける窪地。だが、落ちる前に手足を前に、下にと進めることで体勢を崩すことなくスピード十分にシャーマンダンジョンボスへと突撃できる。
オレが砕いた巨石の欠片が雨あられと降りしきる中、シャーマンダンジョンボスへ突撃したオレはあいさつ代わりにレオルドを振るう。が、その一撃は空を切りシャーマンダンジョンボスは宙へと浮かぶ。
シャーマンダンジョンボスは巨石の欠片を操りながら自分も魔術を行使してオレを全包囲しつつ攻撃してきた。オレの魔術によってできている巨石の欠片は何とでも対処できるがそれに混じっている魔術が厄介だ。
オレの知っている魔術も含まれているんだがその魔術に明らかに普通の物ではない何かが含まれていた。おそらくこれが呪術と呼ばれるものであろうが
「オレには関係ないな」
もう世界眼で本質を見抜いた。
要するにこの魔術には状態異常の麻痺と毒が複合したような状態になるものらしい。だったらオレには関係ない。
なぜならオレにはユニークスキル『超健康』がある。コレのおかげでありとあらゆる状態異常を無効化してしまう。試しにわざと呪術に触れてみたが普通に痛いだけで麻痺にも毒にもかからない。
つまり
「ただただ懐への接近を許しただけだよ。お前」
あっさりと斬られ、胴体が泣き別れしたシャーマンダンジョンボスへ失望も込めて言うオレ。
これ、多分今までのダンジョンボスでも一番弱いヤツだと思う。いや、正しくないな。正しくはコイツは状態異常に特化しすぎていただけにそれを無効化してしまうオレとは相性最悪だったという話か・・・
さて、実はこのシャーマンダンジョンボスはまだ死んではいない。ダンジョンコアが死なせまいとでもしているのか胴体が二つに割られていてもまだ生きている。
そしてもう世界眼のおかげでそんなダンジョンコアが今どこにあるのかもわかった。というよりダンジョンボスであるこのシャーマンの体内にある。
このまま放っておけばそのうち傷口も完全回復すると思うがその隙をオレが与えるわけがない。というより
「コイツ、利用はできそうだな・・・」
オレの予想が正しければ・・・
「ほ、本当に俺が止めを刺していいのか? ここまで追い詰めたのは旦那だろ?」
誰が旦那だ? とツッコミを入れてやりたい衝動を抑えつつ、オレはグランツにダンジョンコアを壊させようとしている。
オレはこのダンジョンにはただの寄り道できただけだ。いずれ、この森のダンジョンだけでも攻略すれば次の依頼へ向かわなくてはいけない。
一方グランツはこのままこの森のダンジョンがあった跡地も含めて残りのダンジョンの攻略も行うはずだ。このことは本人にも確認が取れている。
だが、残念なことにグランツには事を為すだけの力がない。装備は充実し、今までより強い敵にも打ち勝つことで昨日よりもさらに強くなったと思うが
それを含めてもグランツは弱すぎる。本人は真面目に努力している。それは間違いない。しかも結果だって出している。だがそれでも足りない。
で、あるならばまずはこのダンジョンコアを破壊させることでオレのように新人類へと進化させる。新人類であれば人間であった時よりもはるかに強くなる。
ステータスの伸びももちろんスキルの習得に五感の強化などなどの利点が多い。今度この辺りのダンジョンをグランツに攻略。もしくはグランツが見込んだ仲間をどんどん増やしていき、オレ達以外にダンジョンコアを破壊できる奴を増やしていきたい。
さて、そんなことを考えている間にもグランツはシャーマンに思いっきり大剣を振るっているんだが、ダンジョンコアはいまだ壊れずだった。
まぁ、仕方がない。リナやサリーも壊すには手間取っていた。ここでグランツにあっさりと壊せれてはあの時の二人の努力は何だったんだという話になる。
だがそれも・・・
『確認しました。ダンジョンコアの破壊に伴い、大量のアルファメスの開放を確認。アルファメスの一部が個体名「松田 太一」に吸収され、さらにその一部が個体名「グランツ・イエホド」に吸収されました。条件を満たしました。個体名「グランツ・イエホド」は人間から新人類へと進化します。それに伴い、多数のスキルを取得。統合進化を開始します』
この音声とともに終わった。
いづれ安定すればまた以前と同じく規則正しい投稿を目指せたのですが今はそんなことができそうにないので今回は連続投稿です




