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第五十四話 特別試験開始

今月から始めました月に三回投稿。今回で三回目。これで今月分の投稿は終わりました。

終わってみて思うのは思いのほかそこまでストック消費されていないということ。まぁ、始めたばかりだし、投稿数を増やしたと言っても一回分増えただけだから急にそこまでストックも減らないでしょうよと思う。ので、翌月もまた月に三回投稿をしようと思います。次回の投稿は七月五日を予定しております。

 今のオレの状況を簡単にまとめるとこうだ。


 1、街へ到着して、その道中で保護した女性たちをもともと所属していた商会へと送り届けた。


 2、冒険者ギルドへ到着して冒険者登録及びその冒険者という職業に関する説明を受ける。


 3、冒険者登録時にドラゴンの首を提出したことでギルドマスター登場。


 4、オレが出したドラゴンの首がホントにオレ自身が討伐したドラゴンなのかが疑われた。


 5、オレの実力を証明するために特別試験を受けることになった。


 こんなところだろう。うん。

 あ、ギルドマスターがこの試験を提案してきた時はまだ決めていなかったんだけどオレはこの依頼を受けることにした。

 手っ取り早く高ランクに慣れるんだからこの方がいいだろう。うん。もう闘争に関してはあの森で一年以上実戦で学び続けていたからちょうどいいしな。ちなみにリナや先生は別行動だ。

 だけど問題もある。それは――――

「いや~、久しぶりのダンジョンですよぉ~。あ、ちゃんと私の事も守ってくださいね? 一応私という護衛対象を守ることも試験内容に含まれていますので」

「何でついてくるんだよ。ギルドマスター」

 理由は察しがつくけどな?

「何でって、君の実力が知りたいからだよ。そのためにはこうやって誰かが直接見ることが一番手っ取り早いじゃないかい? そして下っ端が見るより直接渡し、ギルドマスターが見た方が余計な手間が増えないから合理的だしね」

 やっぱりか。

 理由としてはごもっともだし、仕事を部下任せにせず率先して行う上司という意味では好感が持てる。でも、ホントにそれだけか? 何か別の思惑があるような気がしてしょうがないんだが・・・

 さて、さっきちらっとリナや先生は別行動だと説明したが、二人は街の下水道を調べに行くらしい。先生いわく、この街そのものは先生が生前のころからあった街を再利用しているものらしく、先生はその街の上下水道の作成にかかわっていたらしい。

 その時に上下水道の状態をより良い状態に保つために創った仕掛けがあるらしく、その仕掛けを確認するついでにリナの槍術の訓練もしてくれるそうなので任せることにした。リナ本人もやる気だったしね。

 というわけで今回は久しぶりに、というほどでもないか。オレ一人での戦闘となる。正直今まで護衛対象がある戦闘経験が少ないのでやり切れるかが不安だが、やるしかないだろう。

 あ、ついでにな? キーパーやサリーはもう森へと帰らせた。カウリア一族を護れという命令を出してな。これでリナの実家、一族が少しは実りの多い生活を営めるといいんだがな・・・

「いや~、それにしてもこのゴーレム? は素晴らしいですね~。まさか荷車型のゴーレムがあるだなんて思いもよりませんでしたよ」

 そんなわけで一番新入りのキャリーだけが今オレの手元に残っている。今は護衛対象であるギルドマスターを乗せているだけだが、チャンスがあればこのまま魔物を轢き殺させて進化させたい。


 さて、現状況の整理はこんなものでいいだろう。

 特別試験内容である中級ダンジョンの『小鬼の(ねぐら)』はどうやら洞窟型ダンジョンらしく街から徒歩三十分ほどの森の中にぽっかりとあった。

 唸り声のような風の音が鳴る洞窟。風に乗せられてゴブリン特有のにおいがする。小鬼と言われてなんとなく察してはいたんだが、ここはゴブリンの巣なのか?

「では早速突撃」

「え?」

 ギルドマスターが何か言った気がするが気のせいだろ。



 さて、早速突撃した『小鬼の(ねぐら)』だが第一階層から第九階層までこれと言って伝えるべきことがない。


 階層に到着する。


 土属性魔法で階層全体をサーチする。


 敵の位置を把握して一匹の例外もなく皆殺しにする。


 以上を延々と繰り返している。

 途中ギルドマスターが何かを言ってる気がするがコッチが聞き返してもロクな返事も返してこないし、別に気にする必要もないだろう。

 レベルも低い普通のゴブリンばかりでいい加減飽きてきた。そろそろもっと違った魔物でも出てきてくれればいいんだが、ホントにこれで高ランクからスタートできるのか? だんだん不安になってきた。

 いやいやまだだ。まだ第十階層が残ってるじゃないか。

 うん。きっとそこにこれまでとは違った敵が



「あ、ついに第十階層の主ですよ。どうやらあれはホブゴブリンのようですね」

 ないわー。

 いまさらホブゴブリン?

 ないわー。

 テンション下がったというか。何と言うか

 まぁ、いつまでも落ち込むわけにもいかんだろう。

 一足でホブゴブリンとの間合いを詰め、レオルドを振るう。

 ホブゴブリンは何の反応も見せずにただレオルドに袈裟に斬られ、真っ二つにされていた。

 うん。なんてことはない。

 ただザコだ。

 しかも・・・

「おめでとうございます! 見事に力を示されましたな。以上で攻略を終了いたします」

 マジか・・・

 これでおしまい?

 たかが十階層で?

 ホブゴブリンごときでBランク?

 上から数えた方が早いくらいの高ランク?

 ・・・ヤバいわ。

 うん。そもそも別の世界の人間にできるだけ力を持たせてテコ入れをするほどにやばい世界なんだから仕方がないのかもしれないけど

 それでもたかがこの程度で高待遇はヤバすぎるだろ。

 ・・・ん?

 まてよ?

 ・・・あぁ! そういうことか

「何言ってるんだ? 攻略はまだまだこれからだろ?」

「え?」

 しらじらしい演技だな。もう気付かれたことにも気づいただろうにまだ白を切ろうとするかよ。でもまぁ、これを出せばもう白は切れまい

「ほら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そう。このダンジョンは十階層何かで終わりじゃなかったんだ。オレが最後に切り殺したホブゴブリンのもたれかかっていた壁には人が通れるくらいの亀裂があり、そこには下りの道が確かにあった。

 なるほどな。最初からこれが目的だったわけだな。

 一見荒くれ物がやる職業『冒険者』。それにはただ腕っぷしがあればそれでいい。

 こう思っているヤツが多いのだろう。

 しかしそんなことは断じてない。

 様々な生態を持つ魔物を相手どる冒険者にはその生態を深く理解できるだけの頭の良さと商人と交渉できるだけの機転が利く頭の柔らかさも必要な職業なんだ。

 ギルドマスターも言っていた。「最低限の教養が必要だ」と

 つまりこの試験は通常の腕っぷしを見ることはもちろん。ちゃんとこの先の通路に気付けるか。気づけたとしてそれからギルドマスターの言葉につなげられるかどうかを見るための試験だったんだろう。

 さて、とするとここはさらに進むべきか?

 仮にも護衛対象がいる以上。無理に進む必要はないんじゃないだろうか?

 そんな考えが頭をよぎるが、ここは進むべきだ。

 冒険者登録も大事だが、このダンジョンがどこまで続いているのかが分からない。コレが一番の問題だ。

 冒険者の試験にも使われているのなら浅い階層は頻繁に人が出入りして魔物を駆除しているのだろう。だから浅い階層までは大丈夫だろうが具体的にどこまで人が出入りして魔物を駆除していたのかが分からない。

 このダンジョンがそもそも階層の少ないダンジョンであれば多分全階層に人の手が加わっているだろうから問題ない。

 でもそうではなく例えば百階層もありそのうち半分もヒトの手が加えられていなかったとすれば? その残り半分以上には全く人が出入りしておらず魔物の手つかずであればいつその魔物たちがダンジョンからあふれてスタンピードを引き起こすかが分からない。

 であるならばここはオレがこのお荷物を抱えたまま行けるところまで言ってその道中全階層を蹂躙する必要がある。

 そうと決まればさっそく前進だ。



 さて、十一階層からだが、そこにはオークも出現するようになった。ゴブリンも相変わらず出るんだがもうただのゴブリンはほとんど出ず、ある程度進化を経た個体がほとんどだった。

 そんな階層が十九階層まで続き、ニ十階層にはそれまで全く出てきていない癖にオーガがオークとゴブリンを取り巻きに待ち構えていた。

 少々驚いたがとくに問題なく討伐してさらに次の階層へ

 二十一階層からはもう全くゴブリンは姿を見せなくなり、代わりにオーガがよく現れるようになった。これくらいしか変化が無かったんだが、それは二十四階層まで

 二十五階層には階層主とその取り巻きしかおらず、その階層主とはトロールであった。オーガの上位種とオークの上位種、それから久しぶりになるゴブリン、それもかなりの上位種が率いる数十匹の群れが相手だった。

 途中までもあれやこれやと喚いていたギルドマスターがもう喉が裂けるのではと心配する勢いで喚いていたが敢えて意識から外し目の前の魔物に集中する。

 流石に数が多すぎる上に一匹一匹のレベルと技量が高い。レオルドだけでは対処が追いつかないので(特に意識していたわけでもないが)魔法も行使して全滅させた。あ、一応ゴブリンだけの止めはキャリーに刺させたからこれでアイツも進化できるだろう。うん。

 あ、ついでに言えばおれもレベルが少しだけ上がった。まぁこれだけ戦えば上りはするだろう。だが、上がり方が遅い。戦ってレう魔物のレベルが低く弱い事もあるんだろうがオレ自身のレベルが十分以上に上がっているので次のレベルまでの必要経験値も上がっているんだろう。

「二十五階層、ね・・・」

 この階層だけ急にレベルが跳ね上がっていた。二十五、つまり百のクウォーターポイントで、だ。このダンジョンがもし百階層以上続いているのであればいよいよ本格的にヤバいな。そもそもここまで人の手加えられた痕跡が少なすぎる。いや、そもそも十五階層以降に人の痕跡がないように思う。

 百階層のうちたった十五階層しか人が出入りしていないのであればこれはもう何時スタンピードが起こってもおかしくないな。

 今日オレがこのダンジョンへこれたのは運がいいのかもしれない。これまでの階層での魔物はオレが全滅させている。

 もしこのダンジョンが百階層以上だったとしたらたかが四分の一以下だが、それでも随分魔物の数が減ったはずだ。これでスタンピードが免れればいいのだが、そうなるという保証はどこにもない。この先の階層にまだまだ魔物が詰まってるのであればスタンピードが起こる可能性は十分にある。

「まだまだ前進だな・・・」



 二十六階層からはオーガにトロール、それからヤギ頭の巨人であるフォモールが主な魔物だった。

 オーガはそれぞれの武器で多彩な技を披露し、トロールは純粋な力でオレを圧殺しようとしてきて、フォモールはそれらの良さを折り揃えつつ魔術まで行使するんだから厄介だ。

 幸いというべきかフォモールが行使できる魔術が初級の物だったのでギルドマスターは守れたが、そのギルドマスターはもうとっくに気絶していた。まぁ、喚かれねぇだけマシだがこれでは特別試験に合格かどうかを判定してもらえないんじゃないのか?

「まぁ、その時はその時だろ」

 まぁ一目で上位種だとわかるオーガやらトロールやらの死体もあるんだ。これで不合格ならもう諦められるし、この死体だけでも引き取ってくれるんなら儲けものと思っておこう。

 三十階層の階層主は他のフォモールより頭一つ分大きい個体。ハイ・フォモールというべきか? それに今までのオーガとは全く異なる武人然とした風格を醸し出しているオーガがいた。

 総合的に見れば二十五階層の時と同等かそれ以上。そもそも二十六階層から二十九階層までが弱い。というより二十五階層が飛びぬけていたお考えればこの二体の魔物の強さが分かろうという物だ。



高位山羊頭巨人(ハイ・フォモール)断罪斧杖(カルマスラックス)』・・・伝説級装備品。巨人にも匹敵する体格と膂力に恵まれ、魔法にも精通する山羊頭巨人(フォモール)の中でも群を抜いて優れた個体である高位山羊頭巨人(ハイ・フォモール)が己の膂力と魔力の両方を生かすためにあつらえた武器。非常に重く、高い金属で創られた片手斧。装備者の攻撃力ステータスの上昇など武器としても優れているが魔法行使用の杖としても役割も担え、魔法行使の際に消費魔力を一割軽減させる。



『剣魔豪鬼の大太刀』・・・伝説級装備品。多くの同胞が己の腕力や脚力、智謀を生かすがために棍棒や金棒、槍にメイスなどを装備していく中でひたすらに剣を取り、様々な剣術家たちと闘争剣劇を繰り広げていく中で自分の武士道というべきものを見出し、ただただ愚直に己を鍛え続けたゴブリンの最終進化系である『剣魔豪鬼』の愛用していた刀。非常に鋭く繊細で先端に至ってはミクロン単位で研磨されており、理論上では物理攻撃に絶大な耐性を有しているアダマンタイトですら容易に切り裂くことが可能。しかしあまりにも繊細に研磨されているがゆえに非常に優れた使い手でもこの刀の切れ味を十二分に生かすことができない。



 以上が戦利品だ。これまでの階層でも戦利品はいろいろ手に入ったがとりわけこの二つの武器が群を抜いて優れている。

 言われるまでもなく分かるとは思うがこの二つの武器はそれぞれハイ・フォモールとオーガの使っていた武器だ。当然この二体は防具も装備していたんだがそのどれもが特殊級か希少級でお世辞でも優れてる防具とは言えなかった。

 ていうかあのオーガってもともとゴブリンだったんだ。それに進化に進化を重ねてあそこまで強くなったって、一体何回進化したらそこまで強くなれるんだよ。

 そんでそのオーガの使っていた武器がヤベェ。オレが今着ているこの鎧はオリハルコンをメインに創られた鎧だ。その後ダンジョンコアを破壊したことで強化されたようだが、色合いが変わっていないところを見るにアダマンタイトではないんだ。物理攻撃耐性もアダマンタイトよりは下だとみるべきだ。

 もちろん戦っていた時はこんなことを知る由もないが、なんとなく防具を当てにしてはならない気がして躱していたんだが、どうやらオレの勘は正しかったようだ。

 もしこの鎧がアダマンタイトよりも物理攻撃に強いのなら別に問題はなかったのだが、もしそうでなければオレは死んでいたのかもしれないんだ。

 どちらにしても危ない綱渡りであったことは間違いないが結果的に勝ったのはオレだ。だから現状で満足だなんて言う気はないが今この時だけは自分を褒めてもいいだろう。うん。


 さて、そろそろ本題だ。

「伝説級ね・・・」

 今回の戦利品の鑑定結果には確かに伝説級と記されていた。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「つまりここから先はあの森を基準にしても手強い強敵が現れるわけだな」

 挑みたい気持ちもあるんだが、これ以上はキャリーもギルドマスターももたないな。もう今でもギブアップ状態だもん。

 あ、ギルドマスターだがいつの間にか意識が回復したようで今目が合った。

「えっと、さ・・・。君、もうBランクなんかには収まらないね。と言うかもう最高ランクであるSSランクでも不十分な気がする」

「Bでいいからな? 余計な気を使ってこれ以上のことはしなくていいから」

 SSランクの方が恩恵はデカいのかもしれないが流石にこれ以上は目立ちすぎだと思う。

 それが目的ではあったんだがいきなり最高ランクはヤバい。Bランクのように高いランクではあるものの決してなくはないくらいが最も望ましい展開なんだがコレが最高ランクだと絶対に国が動く結果になる。それはもうたった一人でドラゴンすら討伐可能な戦力だもの。国を治めるものとして是が非でも自らの配下に置きたい。もしそれができなくても敵対勢力には渡したくないと思って当然だ。

 なんてことはない。ただただ普通の発想だ。

 うん。特に政治なんて興味もなかったオレでも思いつくような発想だ。

 そんな発想だからこそ次はこうだ。

 本来であれば長い年月をかけて才能のあるものが至れる領域であるはずの最高ランクに一足飛びでたどり着く規格外を周りの人間はどう解釈する?

 ただ常識はずれな才能の持ち主か?

 それとも本人がその気になれば簡単に自国の軍を皆殺しにできかねない危険人物か?

 結局はこの二つのうちどちらかと思う。

 そしてこれは恐らく後者が選ばれるはずだ。

 何の根拠もないのに前者だと思えるなんてお人よしにも程がある。

 地球でも、そしてもう七十年以上にも渡り大きな戦争が起こっていない日本でもまずそう思われることは間違いない。それはそこで二十数年ぽっちにしろも生活してきたオレ自身の価値観がそう言っている。

 ましてやココは魔物とももちろんだがヘタしたら人間同士でも戦争をしているであろう異世界だ。そんなところで急に戦闘をもこなす冒険者の最高ランクに入るなんてわざわざ国に目を付けられるようにするようなものじゃないか

 いずれどの国にも向かう必要はあるだろうが必要以上にリスクを負う必要はない。

 最低ランクからコツコツやるには時間がかかりすぎるからこの特別試験とやらを受けたが失敗だったか?

 そんなオレの心配やら後悔やらを余所にギルドマスターはあれやこれやと考えこんでいるようだ。キャリーから降りてどこか上の空で上へと歩いている。

 あ、ちなみにいまキャリーに乗せているのはハイ・フォモールと剣魔豪鬼の死体だ。まぁ、これが一番の手柄だしな。こうやって目に見えるようにして運ぶことは重要だ。

 これがもしストレージに入れてる状態であればまず一目で成果がないことであれやこれやと言われるであろうからな。まぁ、そうなったらそうなったですぐにストレージから出せばいいだけなんだが、回避できることならば回避しておいた方がいい。

 だが、これはこれで問題がある。


「お前の大きさとステータスじゃ運べねぇか・・・」

 やれやれだぜ。

 一応これまでもゴブリンを轢き殺させてレベルは上がっているんだがそれでも進化には至っていない。まぁ、理由は分かる。これまではギルドマスターの護衛が優先でキャリーにはあまり戦闘に参加させられていないんだ。轢き殺させたゴブリンにしてもほとんど最初の階層にいるようなザコゴブリンだけだったしな。

 だが、それもここまでの話。帰りはギルドマスターも自分の足で歩くみたいだし、帰りはキャリーに戦闘を任せてみるか。



 結局あれから死体はストレージに入れ、キャリーに魔物を轢き殺させ続けた。帰り始めた時はほとんど魔物の姿はなかったが九階層からはポツポツと現れだした。地球のゲームみてぇにリスポーンでもされてるのか行き全く同じ魔物たちが出現する。

 オレにとってはザコもいいところなのでキャリーでも余裕で対処できるな。まだまだキャリー自身も弱いから油断しすぎもできねぇがオレが近くにいる以上まず安全だ。

 さて、そんなこんなで第一階層まで戻ってきたがそこには行きの時と同じようにいるゴブリンのほかにウルフ系統の魔物の姿もあった。

 第一階層にいたのはゴブリンの身だったはずだ。それなのになぜ? という疑問が湧いて来るがこれは恐らくオレがその階層にいた全魔物を皆殺しにして第一階層を全くの無人にしたことでたまたま近くを通りかかったウルフ系の魔物の群れがちょうどいい巣穴を見つけたと入ったところ、リスポーンしたゴブリンと鉢合わせになり交戦したというところかな?

 戦況はウルフ優勢。もともと質が悪く連携もなかったところに加えてリスポーンしたてのせいか数も十分ではないゴブリンに仮にもこれまで一つの群れとして生活してきて連携を磨いてきた狼たち。うん。どう考えてもゴブリンに勝ち目はないな。

 さらに止めと言わんばかりにオレ達が今いる位置がちょうどゴブリンたちをウルフたちとで挟み撃ちにする位置にいるもんだからもうゴブリンたちにとっては泣きっ面にハチと言わんばかりだろう。

 ただゴブリンたちもただただやられてるわけじゃない。中にはこんな逆境にも負けずにウルフを返り討ちにした強者までいる。

 あ、今その強者ゴブリンがウルフの牙をへし折って装備した。装備したての牙ですぐ近くにいたウルフの腹を突き刺して、悶絶しているウルフから問答無用で牙をへし折ってのどを突き刺して止めを刺す。

 今度はこと切れたウルフの死体を両手で握りしめてウルフに率いられていた狼に叩きつけたりともうこの強者ゴブリンだけ強すぎじゃない?

 絶対に近い将来進化するだろう。もしかしてあの剣魔豪鬼と似た魔物になって三十階層に住んだりしてな。まぁ、あり得ないと言いたいけどそうとも言えないから面白い。

 アイツだけは生かしておくか? まぁ、あれだけ冷静に状況判断ができるのであればキャリーの参戦にオレの存在が分かればすぐに逃げ出すだろうな。



 さて、結果だが



《キャリー》種族:ゴーレムキャリッジ 性別:無 職業:無職 年齢:1日

     レベル:2 魔力:36 攻撃力:105 魔攻撃:23 防御力:95 魔防御:41 敏捷性:135 運:19

《装備》無し

《魔法》無属性魔法:初級

《スキル》魔力操作 気力操作 運転 悪路走行 衝撃耐性 剛力 機敏 精密駆動 拡張 突撃

《称号》大地の眷属 大樹の加護を受けし者

《信頼度》100%



 見事に進化したステータスの伸びも十分すごいがスキルの獲得数が一番の目玉だな。魔法や称号にほとんどの変化が無いところを見るにそこを変化させるエネルギーもすべてスキル習得に振り分けたってことか?

「まぁ、これでこの二つの荷物が運べればそれでいい」

 早速乗せるが進化前とそこまで変化が無いからな。単純に大きさの問題で乗せられるか? と思っていたんだが



『拡張』・・・文字通り拡張させるスキル。使用することで一時的にスキル使用者の任意の部位を大きく広げる。広げられる大きさと持続時間はスキル熟練度によって異なる。



 このスキルがあれば問題ねぇな。

 さっさと戻ろう。

つい先日までは真夏日の改正で会ったのですが今日からまた梅雨らしい空模様に戻ってしまいました。

暑いのも勘弁ですがうっとおしいのも勘弁願いたいです

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