第四十八話 決着と決意
し、仕事が忙しすぎる・・・
まったくの不意打ちでこの時間。
だ、誰かうちの会社がブラック企業だと労基署に報告してくれ・・・!
「ハァー・・・、ハァー・・・、ハァー・・・、ハァー・・・、ハァー・・・、ハァー・・・」
苦しかった。息をつく間もない連撃に次ぐ連撃。
オルフェルの鎧の能力の反射が発動されるわずかなタイムラグを利用した怒涛の連続攻撃。
オルフェルもオレの邪魔をするために抵抗しようとしたらしいが、オレはその動きを全部妨害しつつも鎧への攻撃を止めなかった。
そうして攻撃し続けたられた鎧は受けたダメージを逐一反射しきれず延々と蓄積し続け、ついにその許容量を超えて鎧が行き先のない自らの力で破裂した。
これこそがオレの狙いではあったんだが、ここからが予想外だった。まず、破裂の仕方。攻撃を受け続けて最も負担の大きかった外側から弾けて一気に内部へと蓄積された力が解放されるものだと思っていたんだが、実際には鎧そのものが爆弾にでもなったように一瞬で破裂したのだった。
鎧の装備者であるオルフェルはもちろん。もともと攻撃のために接近していたオレもその破裂に巻き込まれた。
耳をおかしくさせる超大音量に飛び散る何かの破片。思わず目をかばいつつ身体を縮こめながら巻き起こる爆風に身をゆだねて吹き飛ばされた。すぐにオレが自分で用意したリングの岩壁に背中を打ち付けることになったがもともと覚悟はしていたし、身を丸めていたおかげで受け身の状態でもあったからそこまで痛みも感じなかった。
スグに起き上がりつつ回復魔法で癒しつつも周囲の警戒を極限にまで高めた。この規模の爆発だ。無事では済まないだろうがオルフェルにも尋常じゃないダメージを与えたことは明白だ。普通だったらこれで決着がついておつりがくるが、幼いとはいえあの獣魔王を生み出したダンジョンコアと同じものが複数集まってできた魔物だ。油断なんてできない。
「クソッ! 土煙が邪魔で行く見えねぇ・・・!」
ウソだ。こんな土煙なんかで見失うわけがねぇ。たとえ視界が利かなくても魔法なら問題なく見えている。あわよくばこれでオルフェルをだませねぇかと思うんだが、な・・・。
「そこまで甘くねぇか・・・」
オレは誰に聞いてもらいたいわけでもなくそうつぶやいた。だって・・・
『・・・! カ・・・ァお・・・』
どこのホラーだよ
そう突っ込みたくなるような状態だった。鎧をまとっていた上半身はもうズタズタで鉱石で出来ているのであろう身体は今にも折れそうなほど深い亀裂ができていた。
顔も首元から亀裂が入り、一部が砕けていた。口元も少々砕けているようでうまく声が出さないでいるようだ。
翼もあの爆発に巻き込まれたのかもう翼の体を為しておらず体の亀裂も相まってどこから見ても瀕死の重傷だった。
が、ここから概要だった。亀裂が入ったオルフェルの身体からはダンジョンコアがいくつか顔を覗かせて今にも零れ落ちそうだった。が、その墜ちそうなダンジョンコアがきらめきを放ち、見る見るうちに亀裂が修復されていたが完全に修復しきる前にきらめきを放っていたダンジョンコアの一つが音もなく割れた。
割れた直後のオルフェルは圧倒的に重症だった亀裂が修復されており、翼もまだ穴が目立つがそれなりに修復されていた。しかし・・・
「ダンジョンコアを失うことで自身のステータスを弱体化させるのを嫌ったのか?」
明らかに不完全な状態だった。亀裂があったところは修復されてはいたんだが一目でハッキリと分かるレベルで修復跡が残っていたし、顔も欠けた部分が戻っただけで首元からの亀裂はそのままだ。翼も細かい穴はぽつぽつと見えるレベルで修復が終わっていた。
要するに
「修復前よりマシってだけのレベルだよな?」
『ぐ、ぐぐくくくく・・・』
オルフェルは相変わらずの口をきこうとするが口の修復も途中で止めたのか上手くしゃべれていないようだ。
「隙ありッ!」
一足で懐へと切り込みレオルドを一閃ッ!!
レオルドがうねりを挙げてオルフェルの脇腹を小さいながらも深く切り裂いた。
オレそのまま流れに身を任せて一度オルフェルに背中を見せつつ後ろ回し蹴りの要領で傷口に足の裏を当てて
「『エクスプロージョン』!」
無慈悲な爆発をくれてやった。
傷口に触れている足の裏から直接放たれた爆発は傷口から体内へと送りこまれ、ダンジョンコアにダメージを与えただろう。
オルフェルは一気に動きが鈍くなったがそれでも一撃一撃が十分即死もありうるレベルの攻撃を仕掛けてくる。
いや、むしろ追い詰められているからこそ基本に忠実に丁寧な斧の振り方をしている。確かに肝心のスピードは眼に見えて衰えている。でもそれ以外の要素は全く衰えていないどころかむしろますます高まっている。
もう一度傷口から直接体内へと魔法をぶち込みたいが
「難しいな・・・」
第一もう傷口そのものが修復されている。今までは鎧に頼っていたから簡単にオルフェルの懐へと飛び込めたが今ではそんな隙もなく、間合いがほとんど変わらない武器をお互いに使っているからリーチ差でも優位に立てない。
だったらどうする?
「ッハ! 決まってんだろ!!」
スピード以外の全要素が上がった? 上等だッ!!
だったらオレはスピードも含めてすべての要素で上回ればいいッ!!!
気合を入れてレオルドを振るい続けてどれくらいの時間が経っただろう?
もう丸一日以上飲まず食わずでそうし続けている気もするし、ホンの一時間ちょっともしていない気がする。
先生から教わった基本の振り方。
一年以上の実戦経験で身についた武器の取り扱い
アンデッドになってしまっていた先輩から学び取った音速を超えるコツ
これらを組み合わせることがオレの闘争術の支柱になっていたんだが、今日のこの戦いでこいつの振り方。ダンジョンコアに吸収された斧使いの戦い方の中にオレが学ぶべきことがいくつもあった。ほかには意外にもまだまだ使える組み合わせ方があったり、もともと使っていた組み合わせ方よりももっと確実で実践的な組み合わせがあったようでなかなか実りのある時間だった。
でもいつまでもこうしていられるわけじゃねぇんだ。そろそろ終わらせよう。
「!」
オレが振り上げたレオルドはオルフェルの斧を跳ね上げて、そのままの勢いで振り下ろした。オルフェルの体に斧が触れるその瞬間、手に力を込めて肩から斧にかけて関節を固定するイメージで振り下ろしたレオルドはオルフェルの体にしっかりと食い込み、そのまま切り裂いた。
オルフェルの身体はどうやら卵の殻のようなもののようでその中身を守るための物であるらしく、身体の中身、つまりダンジョンコアがぎっしりと詰め込まれているのが分かる。
どうやらオレの斬撃はオルフェルの身体を切り裂くだけでとどまったようでダンジョンコアには全く触れられてすらない。だから
「ここで切り裂くッ!」
手首をひねってレオルドを振り上げ事でダンジョンコアを複数切り裂こうとするんだが、
「逃げた?」
何とここまで大事に育ててきた自分の殻であるはずのオルフェルをあっさりと捨ててダンジョンコアたちが飛び出てきた。それでも身体を無理やりひねることで何とか一つだけ傷つけることはできたんだが全然壊せてねぇ。
無事だった他のダンジョンコアは自分では勝てないと踏んだのか一目散に逃げるやつとそれぞれが別の魔物を構築して戦おうとするやつの二種類に分けられた。
「逃げたやつが厄介だな・・・」
オレは知っている。こうゆう場面で迷わず「逃げる」を選択できる奴は決まって頭の回転が速く、自分の力量を見誤らないため将来的に大物になることが多い事をあの森での一念を通して学んだ。是が非でも早々に潰しておきたいものだが
「・・・難しいな」
残念ながら土属性探知魔法で追っていたんだが、全く見つからない。おそらくこの戦いで消耗したことを利用して自分の魔力を極限にまで抑えているからオレの探知魔法に引っかからないんだ。
さすがのオレでも見えもせず感知することもできないものを引き寄せることはできん。それに戦うことを決めてたダンジョンコアが生み出した魔物もそろそろ完成するな
『ビッグアシッドスライム Lv:300』
『ヨロイーグル Lv:329』
『ミスリルホーンフロッグ Lv:321』
『ファイヤースカルオーナイト Lv:358』
以上が残ったダンジョンコアが生み出した魔物たちだ。ビッグアシッドスライムは身体のほとんどを酸性の液体で構築された水風船、と言ったところか? 森でも何回か討伐したことはあるがミスリル性の武器でも溶かしかねないほどの強い酸性を持つ個体もいるから出来るだけ近接戦闘は避けて魔法で討伐するのがベストだな。
ヨロイーグルはその名の通り鎧を身に付けた鷹の魔物だった。いや、着てるというより鎧が身体の一部になっているというほうが近い表現かもしれない。翼の付け根に首元から足の付け根にかけて、それからトサカの代わりに兜まであった。普通だったら重さで飛ぶことも困難なはずだが悠々と空を飛んでいる。しかもその鎧も派手な装飾はなく、黒一色で地味だが物理攻撃に強いアダマンタイト製の鎧だ。
ダンジョンコア一つだけでは物理魔法攻撃の両方に強い鎧は厳しいから物理と魔法のどちらかに秀でた者を生み出そうとした結果こうなったのか?
たとえこの予想が当たっていようが外れていようがレオルドでバカ正直に向かうべきじゃねぇな。物理攻撃に強いアダマンタイト製の鎧だというのなら魔法終身で戦えば問題ねぇはずだしコイツは今のオレの状況でも問題ねぇ。
ミスリルホーンフロッグはミスリルで出来た角を持つカエルの魔物だね。しかもこれは原形トノサマガエル、かな? 全長一メートル弱、前脚はほとんどないけどそれを補って余りあるほど立派な後ろ足をしてやがる。普通のカエルの足が一般人ほどだとすればコイツはアスリート級、いやもうこれは相撲取り、力士級の脚だ。
察するにその恐ろしく強靭な脚力で移動してミスリル性の角で突き刺すのがコイツの基本戦術になるんだろう。単純だし隙も大きいが逆決まりさえすればそれで終わる。そんな戦闘方法だと思うんだけど、ほかにも隠し玉くらいはあるかもしれない。が、いずれにしても前の二体と比べればまだ接近戦が挑みやすい相手だし、あの二体は魔法で相手するとすればコイツはぜひ接近戦で討伐したいね。
そんで最後がファイヤースカルオーナイト。うん。第一印象は燃えているガイコツだな。それも騎士鎧を身に付けた燃えてるガイコツ。コイツはこのオレが創ったリングの環境に適応できる魔物を生み出そうとした結果なのだろうか?
全身を炎で包まれているこのガイコツにはさすがに火属性魔法は効果が薄いだろう。でもスケルトン系統の魔物は基本的に物理攻撃、それも打撃系の攻撃に弱い。魔法はおろかアイテムストレージからハンマー系の武器を取り出す必要すらねぇ。コイツはレオルドで殴ればそれで大丈夫だ。ミスリルホーンフロッグに続く接近戦で対処余裕の魔物だ。
これでオレは魔法で討伐する魔物は二体。物理攻撃で討伐する魔物が二体でちょうど区切りもいい。いいんだが、
「どうにも引っかかる・・・」
わざわざ他人と惜しくらまんじゅう状態になってまで生み出した最高傑作を廃棄してまでオレと戦う道を選んだのにオレにとって都合のいい相手を用意した?
どう考えても不自然すぎるだろ?
一体何が目的なんだ?
オルフェルとの戦いを通してオレが鑑定スキルを使うことは分かっているはずだ。そして分かっているからこそ今回の魔物たちにオレが鑑定スキルを使ってもオルフェルの時のようにスキルから称号にステータスまでが明らかになることがなかったんだ。
オルフェルの時は圧倒的なまでの力が手に入ったことで慢心していたからいろんな情報が鑑定できた。でも今回はアイツらはオレの事をこれっぽっちもナメてないからオレの鑑定スキルに抵抗してせいぜい名前とレベルくらいしか情報が得られなかったんだな。
さて・・・
「考える時間もここまでだな・・・」
魔物がそれぞれ咆哮を挙げて迫ってきた。
ダンジョンコアがそれぞれ別に生み出した魔物。
獣魔王と比べれば大したことのない相手だ。が、油断禁物。鑑定スキルでは表示されなかっただけで何か隠し玉がある可能性は十分にある。
油断せずに気を引き締めて臨むべきだ。
『ガ・・・ァ、アア・・・』
「『セイクリッドアース』」
結論から言おう。
こいつら弱かったわ。
い、いやな?
ビッグアシッドスライムの酸は強烈で足元の地面にしみこんだと思えばどんどん地面が痛んで腐っていくのが分かった。
信じられるか? 毒じゃなくて酸でだぞ? その時点でどんだけやばいんだって話だよ。だからオレは土属性魔法で溶かされるよりも早くビッグアシッドスライムを密閉してその中で火属性魔法『インフェルノ』を展開することで焼き付くした。イヤ焼き尽くそうとした。そうやって全身を焼かれながらもビッグアシッドスライムは土属性魔法を溶かして這い出てきたがもう瀕死でぶっちゃけ何の見せ場もなくレオルドに格を斬られて終わった。
ヨロイーグルは重い鎧と融合してるなんて信じられないくらい軽快に空を飛び、オレが意識を外したその瞬間に襲い掛かるというまるで狩人のような戦い方を見せた。攻撃方法は風属性魔法と鎧を生かした体当たりに痺れ毒が滴る爪による斬撃と攻撃方法の種類こそは少なかったけどそのどれもこれもが非常に練度が高かった。是非ともここにエンやビードを召喚して戦い方の見本にしたかったんだけどこのリングは狭すぎるので自重した。
最初はその厄介さに驚かされたけど二度三度と同じ手を見ればバカでも対処できる。わざとヨロイーグルから意識を外し、オレに向かってくるヤツに意識を向けないままレオルドで一撃を与えたのだった。
ヨロイーグルの攻撃方法は練度が高く、まるでオレが一年間もの間戦い続けていたあの森の魔物たちとよく似ていたのでそんな対処ができた。
あの森の魔物たちはいちいち意識を向けていたらすぐに勘づかれるからね。
ミスリルホーンフロッグは一撃一撃が背筋の凍る威力を持っていることが分かる突撃をかましてきた。が、ハッキリ言ってそれしかコイツにはなかった。
突撃するために足にしっかりと力を込めて踏ん張りを効かせて力を溜めるためにジィッとしているため突撃の時以外の機動力はないも同然だし、角はミスリル性ではあるんだがそれ以外は普通のトノサマガエルが大きくなっただけで特に防御性能に優れているわけでもない。おまけに攻撃性能ですら角を生かしても突撃以外にこれと言った攻撃方法がないと来た。
こうして振り返ってみても何とも残念な魔物だな。しかしその一撃には侮れない威力があるのも事実だ。だから慎重に行動した。回避に集中しつつ、隠し玉がないか。ホントにこれだけなのかを観察し続けながらコイツの突撃のタイミングを見計らった。
そして観察十分と判断したからすぐにレオルドで頭を勝ち割って終わった。
最後のファイヤースカルオーナイト。コイツが一番厄介でいろいろ残してくれてるな。だって・・・
《名無し》 種族:セイクリッドスケルトンウォーリアー 性別:女性 職業:無職 年齢:一日
レベル:1 魔力:1000 攻撃力:1300 魔攻撃:380 防御力:560 魔防御:530 敏捷性:1450 運:49
《装備》清められた血まみれのフランベルジュ 浄化された怨念と憎悪の胴甲冑 救われし憤怒と慟哭の脚甲 恩光に照らされし籠手 干天の慈雨にうたれし復讐鬼の兜 昇華されし呪怨のマント
《魔法》闇属性魔法:中級
《スキル》斬撃耐性 日光脆弱 打撃脆弱 剣術:上級 狂化 魔力操作 気力操作
《称号》堕ちた女騎士 悪霊の成れの果て 救済されし魂
目の前にいかにも王の前に平伏しましたと言わんばかりの仕草で頭を下げてるガイコツ騎士。コイツが一番めんどくさいだろ。
コイツの様子はなぜか頭蓋骨の一部が変色しているところだ。全体的に黒っぽい色合いだったのに右の側頭部から目の周りにかけてが純白になっている。
装備品も赤や黒とおどろおどろしい色合いの装備品に微かに純白のしずくが落ちて、それが装備品から悪いものを取り除いているのが分かった。
そしてオレはこの形の頭蓋骨に見覚えがある。
「お前、あの時の死体だね?」
『・・・!』
コクリとうなずくガイコツ。
やっぱりそうだった。オレがついさっき聖水をかけて埋葬した道端に放置されていた死体だった。
「察するにお前たちの怨念があのダンジョンコアたちを創り出し、そのダンジョンコアで生み出された魔物が眷属を創造するときにお前たち自身の魂が使われたってところか?」
コクコクコクとさっきよりも激しくうなずくガイコツ。
やっぱりか。ダンジョンコアはもともとヒトの魂、アルファメスによって生まれるもの。であるならばそのダンジョンコアの中にダンジョンコアが生まれるきっかけを与えた人々の魂の欠片があったとしても何ら不思議じゃねぇな。
だが、その魂の欠片が魔物のスキル効果のために使われ、なおかつ自我を取り戻すことができるなんてな。いくらヒトの魂だとしても結局は欠片にすぎねぇし、その欠片が使われただけの状態でその魂の自我が取り戻されるなんてあるわけがない。
もしそんなことができるとすればワインを創るために加工されたブドウをワインをもとに再生させることに等しいはずなのに
地球の現代科学をもってしても絶対にできないようなこと。無理難題、いや土台無理な話をやってのけたんだ。コイツは
これはとてもすごいなんてもんじゃない。
まさに神さえも想定できない事だろうな。
そんな奴がいつぞやのボロのようにコッチを見てるんだよ。
もう、ね? 『仲間になりたそうにコッチを見てる』状態ですよ。
別にいいんだよ? ボロの事もあるんだし、コイツを受け入れることは別に問題ないんだ。でもさ? そうなるとコイツにもあの魔法を使うべきだよね。
『妖魔転生』。テイムした魔物をモンスターに変えたりすでに召喚したモンスターをより強くするために使う魔法なんだがこれを使えばその対象となった奴は間違いなく最弱種へとなる。
今ここでそんな奴を従えても足手まといにしかならない。であればソイツの戦力強化がまず必要になるのが目に見えている。
もしもそうなればせっかくここまで来たのにまたあの森で修行することになる。もうあの森で学ぶべきことはないぞ?
「! いや、まてよ・・・」
もしかして・・・
「森に行かなくてもいいかも・・・?」
オレの考えが正しければむしろ一足飛びにキーパーたちと並ぶ戦力になれる。
「と、なるとオレは・・・」
「さ、というわけでリナにもこのダンジョンコアの一つを砕いてもらうことになった」
「イヤなにがというわけでなの? それにあたしだけじゃなくてこのスケルトン? のほかにもその子にも砕かせる気なの? あとそのダンジョンコア? とやらを砕くことは構わないけどちゃんと説明してよ」
ジト目でオレに言うリナ。大きなケガをしてる様子もなく衣服にこれと言った乱れも見当たらない。案外楽勝だったのか、それとも先生の援護が抜群だったのか、いやこの両方だろうな。
と、ここまで思考を巡らせるとリナのジト目がさらに深くなっちまうな
「今ここに四つほど鈍く輝く球っころがあるだろ? あれがダンジョンコアって言う物なんだがな? オレ一人で全部砕くのも手間だし、これ一つ砕くだけでドえらくレベルアップするから強くなれるからこの機会は見逃せねぇしよ」
うん。嘘は言ってねぇぞ?
ホントの狙いはダンジョンコアを破壊した奴に訪れる『進化』だ。オレは魔法の深淵を覗くことでニンゲンから新人類へと進化していたが、ダンジョンコアを破壊したことで新人類から超人類へと進化できた。
それと同じように獣人の一種であるリナも何かしらの種族に進化するんじゃねぇか? とオレは考えた。おそらくこの考えは外れていないだろうとは思ったけど一応叡智の書で調べて獣人族の上位種の存在も分かっている。
でもこの方法でちゃんと目的の種族へと進化できるのかは分からなかった。もしも間違っていた場合はシャレにもならないなんてレベルじゃねぇ。
そこで新しくオレのモンスターになった
《名無し》 種族:リビングボーン 性別:女性 職業:無職 年齢:一日
レベル:1 魔力:5 攻撃力:3 魔攻撃:0 防御力:5 魔防御:3 敏捷性:4 運:49
《装備》無し
《魔法》無し
《スキル》斬撃耐性 殴打脆弱 日光脆弱 魔力操作 気力操作
《称号》堕ちた女騎士 悪霊の成れの果て 救済されし魂 闇の眷属 大樹の加護を受けし者
コイツで実験をするつもりだ。
自分を慕ってくれるヤツを実験台にする。このことはとても心苦しいし、申し訳ない気持ちでいっぱいでもある。
でも、もしこの試みが成功すればコイツは一足飛びで一気にキーパーたちに並ぶ強さを手に入れられる。その根拠は他でもないこのオレだ。オレがダンジョンコアを破壊することでそれまでとは比較にならない成長を遂げたようにコイツもそうなれる可能性は大いにある。
そもそもダンジョンコアの破壊はそのコアに貯蓄されていたアルファメスを異世界人であるオレの肉体を通して善のアルファメスに変換してから世界へと放出しているのが主な目的であり、その副産物として返還されたアルファメスの一部がオレ自身に吸収されることでオレは強くなれたらしいんだけど、これってリナやコイツにも適応されるのか? という疑問が残るだろう。
しかしオレはすでに女神さまによる説明を受けている。それによると大事なのは神々の依り代としても使われる義体と融合している異世界人であるオレの肉体の近くでダンジョンコアを破壊することであるらしく、別にこの世界のダンジョンコアのすべてをオレが壊さなくちゃいけないわけではないらしい。
オレの肉体の近くでダンジョンコアを破壊すればそのダンジョンコアに貯蓄されていたアルファメスは一度全部オレに吸収され、善のアルファメスへと変換されてから世界へ放出されるらしい。その時にダンジョンコアを破壊した本人やその近くにいるオレが仲間だと認識している人物にアルファメスは吸収され、その人物は大幅にレベルアップ、もしくは種族としての限界を大きく超えることで上位の存在へと進化するらしい。
ちなみにその時はアルファメス変換の際にオレにも吸収されるらしくさらに強くなれるらしい。
「ダンジョンコアは全部で四つ。一つはオレが、もう一つはこのガイコツが、さらにもう一つはリナが砕くとして残り一つは先生か?」
「私は砕かないわよ?」
何言ってんの? と言わんばかりのキョトン顔で言う先生。
「え? でもそうすればちょうど数ピッタリでしょ」
一つ目 二つ目、三つ目、そして四つ目でちょうど四つのダンジョンコアのすべてが破壊できる。
「あのね・・・。私はもうレベルアップもしないのよ? もともともう死んでいるのに半ばアンデッドになってからこの体に憑依している状態なんだからね?」
「え? レベルアップもできないんですか?」
アンデッド、確か『トゥルー・クイーン・レイス』とかいう幽霊の最上位種だったっけ? あれ? でも・・・
「アンデッド、つまりは魔物の一種ですよね? だったらむしろこの状況は進化のチャンスでは?」
レベルアップが望めなくてもダンジョンコアの破壊をきっかけにさらに上位種へと進化できれば今までよりさらに強くなれるだろう。
「あのね・・・。確かに進化できる可能性はあるわよ? でもそれってあくまで魔物としてよね? いやよ。なんで魔物としての高みに昇らないといけないのよ」
「あ!」
察した。
そりゃそうだな。今まで自分が命懸けで戦ってきたヤツと同じ側に回っただけでも鳥肌物なのにさらにその道をまい進するとかイヤすぎるな。
「すんません。でもだったらどうしましょうかね? この余った奴・・・」
先生用にとっておいたのが余っちまってんなぁ・・・
「だったら誰か呼べばいいんじゃない?」
「・・・あぁ」
それがいいのか?
まぁ別にそれがだめな理由なんてないんだけどな?
「どいつがいいかな・・・」
『主殿よ。いっそご自分で二つ割ってはいかがですかな?』
「え?」
オレが二つ? まぁ、そんな考えもなかったわけじゃないけど・・・
「この前割った時は気絶したし・・・」
『確かに獣魔王を討伐した際に不覚にも我も気を失ってしまい申した。しかし今回はあの時よりもずっと弱い敵であり、且つダンジョンコアもあの時に砕いたものよりずっと輝きの鈍い者でございます。であるならば主殿お一人でも耐えられるのでは?』
「え? お前を使って砕いちゃダメなの?」
素手で割れってこと?
『無論我もさらなる強さを求めダンジョンコアを砕きたい思いはありまする。しかし、主殿は我のみではなく数多くの武具を使いこなせるお方。であるならばここは我で砕くのではなく――――』
「――――素手と別の武器で砕くべきだと言いたいわけか・・・」
納得のいく理由ではある。確かレオルドは超強力な武器だ。正直現段階のオレでもそこまで見合った使い手なのかと問われれば答えは『判らない』になるだろう。
そんなオレの劣等感を埋めるには今よりもさらに強くなることしかない。確かに斧術技術は長い時間をかけて修練を積むしかないだろう。でも少なくとも身体能力はこのダンジョンコアを砕けば簡単に底上げができる。やっておいて損はない。
「分かった。やろう・・・」
「スゥ――――、フゥ――――、スゥ――――、フゥ――――・・・」
自然体のまま構えて呼吸を整える。
特に身構えたりせずに身体に変な力を入れずに気を整える。
ゆっくりでいい。
今のオレにできる最大限のパフォーマンスができるまで気を落ち着ける。
そして――――
「ッ!」
一気に解き放つッ!!!
今のオレにできる最強の体術技。その名を――――
「【獣牙咬合拳】ッ!!!」
書いても字のごとくまるで獣がその牙で食いちぎるような勢いで放たれた拳がダンジョンコアの芯を捕らえて砕いた。
『確認しました。ダンジョンコアの破壊に伴い、大量のアルファメスの開放を確認。アルファメスの一部が個体名「松田 太一」に吸収されました。条件を満たしました。個体名「松田 太一」に施された封印の一部を解除します。それにより、多数のスキルを取得。統合進化を開始します』
来た
ハンパない。そりゃあもうハンパじゃない力の奔流がオレに流れ込んできた。これが解放されたアルファメスか?
『――――・・・』
なんか聞こえた気もするがそれどころじゃねぇッ!!
アルファメス吸収されたせいか?
なんか体がボコボコ言ってやがる
関節痛と筋肉痛を十倍以上にして一気に味わってるような痛みが全身を貫いている。正直発狂しそうで意識が飛びそうだ。
「ハァ――――、ハァ――――、ふぅ」
やっと終わった。
マジでしんどかった。
そんで・・・
「ヤバいな・・・」
さっきまでの激痛がウソみてぇに治まった。それどころか今は全身に力がみなぎってはち切れそうになっている。そしてこの万能感がヤバイ。
鑑定しなくてもとんでもなく強くなれたのが分かる。が、
「具体的にどんなものなんだ?」
《松田 太一》 種族:超人類 性別:男性 職業:自然の守護者・斧滅師・魔王殺しの英雄・秘宝の守護者・開拓者・格闘師・武士 年齢:15
レベル:100 魔力:384300 攻撃力:873000 魔攻撃:379300 防御力:742000 魔防御:727800 敏捷性:739000 運:143468
《装備》金色獅子神の極戦斧 鬼帝の戦装束 不労と不滅の新緑手袋 獣帝の袴 天空帝の靴下 守護神の不壊鎧<一式> 竜麟尾翼のベルト 洗練された上質な下着
《魔法》土属性魔法:極 火属性魔法:極 水属性魔法:極 風属性魔法:極 無属性魔法:最上級 光属性魔法:上級 雷属性魔法:中級 闇属性魔法:初級 氷属性魔法:初級 木属性魔法:初級 聖属性魔法:初級
《魔術》土属性魔術:上級 火属性魔術:中級 水属性魔術:中級 風属性魔術:初級
《スキル》斧術:極 剣術:最上級 刀術:上級 長柄術:最上級 体術:極 瞑想 索敵 隠形 魔力操作 気力操作 無詠唱 剛体法 鬼門法 竜気法 仙法 魔拳法 付与 大地の息吹 蒼天の大海 浄火の導き 可能性の卵
《ユニークスキル》超健康 アイテムストレージ 第六感 限界突破 ???(鑑定不能) 可能性の卵
《種族固有スキル》強靭たる超人の肉体 高速思考 傷付かぬ超人の硬皮
《魔眼》世界眼
《奥義》斧身一体 斧斬滅殺 富嶽抹消斬 静動一身 獣牙咬合拳 爆斧如脚 居合斬り・滅
《流派》ゼオゲンダー戦斧術:免許皆伝
《称号》絶望に打ち勝つ者 稀代のギャンブラー 斧神 拳神 刀剣の達人 槍の達人 長柄武器の達人 刀鬼 異世界人 鬼殺し 竜殺し 不死者殺し 魔王殺し 大物食らい 魔法の探究者 真理を追う者 魂の救済者 ダンジョン制覇者 大地に愛されし者 大海原に愛されし者 護火に愛されし者 神風に愛されし者 牛人族の救世主 魂の救済者
「うん?」
あれ? オレのステータスってこんなんだっけ?
《松田 太一》 種族:超人類 性別:男性 職業:自然の守護者・轟斧師・魔王殺しの英雄・秘宝の守護者・開拓者 年齢:15
レベル:55 魔力:184300 攻撃力:273000 魔攻撃:179300 防御力:242000 魔防御:227800 敏捷性:239000 運:123468
《装備》金色獅子神の極戦斧 鬼王の覇衣 ヴァイタリティーグローブ 豹王の袴 空帝のブーツ ガーディアンメイル 竜尾のベルト 上質な下着
《魔法》土属性魔法:極 火属性魔法:極 水属性魔法:極 風属性魔法:極 無属性魔法:最上級 光属性魔法:中級 雷属性魔法:初級 闇属性魔法:初級 木属性魔法:初級 聖属性魔法:初級
《魔術》土属性魔術:中級 火属性魔術:中級 水属性魔術:初級 風属性魔術:初級
《スキル》斧術:極 剣術:最上級 長柄術:最上級 体術:最上級 瞑想 索敵 隠形 上級鑑定 魔力操作 気力操作 無詠唱 剛体法 鬼門法 付与 大地の息吹 蒼天の大海 浄火の導き 可能性の卵
《ユニークスキル》超健康 アイテムストレージ 第六感 限界突破 ???(鑑定不能) 可能性の卵
《奥義》斧身一体 斧斬滅殺 富嶽抹消斬 静動一身
《流派》ゼオゲンダー戦斧術:免許皆伝
《称号》絶望に打ち勝つ者 稀代のギャンブラー 斧神 刀剣の達人 槍の達人 長柄武器の達人 異世界人 鬼殺し 竜殺し 不死者殺し 魔王殺し 大物食らい 魔法の探究者 真理を追う者 魂の救済者 ダンジョン制覇者 大地に愛されし者 大海原に愛されし者 護火に愛されし者 神風に愛されし者 牛人族の救世主
うん。どう考えても違うね。
装備品の名前やら見覚えのないスキルやらあるね。
そんで何でか鑑定スキルがなくなってるね。
どういうこと?
真面目な話。
今日も残業していたらもう日付が変わる寸前で投稿できるかの瀬戸際
もう間に合わないだろうけど
それでも投稿しよう。良かったらこの続きも投稿が終わったら読んでください




