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第四十七話 森の外も危険がいっぱい中編

眠いです・・・

コレのアップが終わったらもう寝ます

・・・zzzzz

「消えやがった・・・」

 ヤッベ、一瞬頭の中が真っ白になりやがった。

 そんな状況じゃあねぇっつの!

 慌てて意識を切り替えた。そうしねぇとあっという間に今目の前にいるコイツに殺されるのがもう経験とか思考とかではなく本能で理解できていたからだ。

 なのに・・・

「テメェ・・・! ()()()()()()()()()()()()

 オレのこれ以上にない隙だった。命のやり取りである闘争において狙ってしかるべき隙だったはずだ。

 なのになんで攻撃しなかった?

 それを隙と認識していなかった?

 違う!

 コイツはただ腕組みをしてコッチを見ていた。

 そう

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「・・・余裕のつもりか?」

 頭が沸騰する。

 血が上ってきた・・・ッ!!

 オレ達は戦いをしてるんだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()をやってるんだ。

 そんな中で隙を見せたオレにコイツは何のアクションも起こさなかった。

 オレの隙を警戒するわけでも飛びつくわけでもなく何もしなかったんだ。

 腹が立つ・・・ッ!!

 ああ、(はらわた)が煮えくり返るッ!!!

「上等だ・・・ッ!!!!」

 そこまで余裕ぶってるつもりなら・・・

「やってやろうじゃねぇかッ!!!」

 オレはこの身を燃やすような激情に任せて駆けだした。レオルドが(うな)りを挙げてアイツに迫るが、

『無駄である』

 あっさり止められた。

『行くぞ? 《滅雷(めつらい)の斧》よ・・・』

 厳かに、朗々と自分の手にしている斧に語り掛けつつアイツは斧を振るってきた。

 何の工夫もないただの袈裟斬り。だが・・・

 オレは飛び退いた。なにか猛烈にイヤな予感がしたからだ。そしてそれは


 ガガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンッ!!!


 アイツの周囲一メートル圏内に轟いた稲妻によって正しかったと証明された。

「一メートル、範囲は別に広くはないんだが・・・」

 いかんせん威力が厄介だ。

 特にオレは前衛として否が応でも接近戦をする以上その効果範囲に入るし、しかもあの雷は効果範囲が狭い分、威力が高いようでアイツの足元に生えていた苔の類が一瞬で燃え尽きている。延焼するまでもなく一瞬で灰になってるんだ。

 あまりこの効果範囲に入るべきじゃねぇ。

 しかも、

『ほう。これを初見で避けるか。大したものだな。なぁ? 《氷麟剣(ひょうりんけん)よ』

 今度は逆の手に持っている大剣に話しかけている。

 つーかさ?

 お前の斧、そんなデザインだったっけ?

 ついさっきまでお前の身体と同じ鉄色一色だったよな?

 なんで今はそんな黄色い刺青のような、稲妻を彷彿とさせる紋様が刻まれてるんだ?

 あとその大剣。なんか急に水色になってない? それも斧と同じで鉄色一色だったよね? なのになんで急に水色になって、しかもまるで竜の鱗見てぇな紋様まで刻まれてるんだ?

 いやな予感がする。

 思い切ってもう一度鑑定する。と



《オルフェル》種族:アダマイトガーゴーレム 性別:無 職業:騎士 重騎士(ヘヴィーナイト) 聖騎士(クルセイダー) 闇騎士(ダークナイト) 騎士王(パラディン) 年齢:1日

      レベル:1009 魔力:91000 攻撃力:128000 魔攻撃:90780 防御力:123000 魔防御:122900 敏捷:100200 運:9999

《装備》滅雷(めつらい)の斧 |氷麟剣《ひょうりんけん 吸魔(きゅうま)と報復の業鎧(カルマアーマ)

《魔法》土属性魔法:最上級 風属性魔法:上級 火属性魔法:上級 雷属性魔法:初級 氷属性魔法:初級 闇属性魔法:初級

《スキル》斧術(ふじゅつ):最上級 剣術:最上級 剣斧二刀流:最上級 体術:上級 魔力操作 気力操作 剛体法 気功術 金剛力 堅牢 身命 魔量 無詠唱 高速機動 飛翔 翼刃 命名

《種族固有スキル》眷属創造 武具進化 供付き任命 状態異常完全無効化

《奥義》斧滅一閃(ふめついっせん) 剣舞領域(つるぎのけっかい)

《称号》突然生まれた災害 ダンジョンコアの護り手 記憶を知る者 騎士の王に至りし者



「・・・はぁ?」

 あれ?

 なんでこんなステータスが見えてるんだ?

 ツーかこんなこと前にもあったな・・・

 あぁ、思い出した

 確かあれはアルコルとかいうハイゴブリンとの闘争の時にもこんな風に相手のステータスが見れてたな。うん。

 さて、もう現実逃避もここまでにしよう。いい加減切り替えないとな

『フフフ、余のステータスを見たな? 驚いたであろう?』

「・・・そうだな」

 鑑定スキルは一定以上レベルが高い奴に使うとまずバレる。

 オレも使われたことがあるからわかるが、なんかこう無遠慮で不躾で不愉快な視線が肌に刺さってくるようなとても嫌な感じがするんだ。


『さて、余興はここまでだ』

 アイツ、いやオルフェルがゆっくりと斧と剣を歴戦の戦士、いや騎士のように構えた。なるほどいよいよ奴さんも本気で戦うつもりらしい。

 そう。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「・・・上等だ」

 レオルドを握る手が見ていなくても血が集まりすぎて赤くなっているのがわかる。

 相当強い握力で握られてるはずのレオルドは何も言わない。そして、今はそれがありがたい。

 さぁ始めよう。

 この胸の奥から全身を暴れまわる激情にあえて身を任せてとことん非効率的で不合理的なまでの意地ッ張り(インファイト)


「ッ!」

 一歩目でトップスピード

 両手でレオルドを握りしめて

 音速を超えた一撃がレオルドの刃周辺に白い膜を発生させ、一拍遅れて


 激突音


 まるで鏡合わせのように同じ行動に出ていたオルフェルとオレに尋常じゃねぇ衝撃が走る。オレだけじゃなくオルフェルにもと判断できたのはこの一撃だけでオルフェルの両腕に無数のひびが入ったからだ。

 まるで古びた石像のように細かい、しかし確かなヒビがおびただしく刻まれた。うん。オルフェルにも相当のダメージを与えられたはずだ。が、それはオレにも言えることだ。

 腕だけじゃねぇ。

 肩や腰にまで衝撃が響いていてかなりつらい。

 だが、ここで倒れるのは嫌だ!!

 この一念がオレを奮い立たせ痛みを訴える腕に鞭を打ちレオルドを振るう。

『フン。さっきの一撃は見事というほかないが今度は随分粗末な一撃ではないか』

 呆れたような失望したようなニュアンスだった。

 そしてこの声にふさわしいほどの軽さでオレの一撃はあしらわれた。

 もうこう、ペシッて

 あのもう、さ?

 悔しいとかそういう次元を超えて心が折れそうなんですが・・・?


 いや、折れてる場合じゃねぇ

 別にオレの方が負けてるんじゃねぇこれは痛み分けだ。その証拠に

『ム?』

 オルフェルの腕がもげた。

 もともとオレとのあの衝突でもうボロボロだったのがさっきのペシッで止めになったんだろう。

 もちろんこのまま終わりなんてあるはずもなくもう今現在進行形でオルフェルの腕は再生されようとしている。

 一度は崩れて肩からもげた腕。その腕はまるで灰かおがくずのように風に巻かれて消えていく。そしてそれに比例するように傷口からどんどん新しい腕らしきものが構築されていくオルフェル。

 さっきオルフェルのステータスを見た限りだと魔法面も充実していたはずだ。が、オルフェルは腕を修復させるので手がいっぱいなのか魔法戦を仕掛ける気配がない。

「うん。好都合だな」

 それならこっちも集中して腕の回復に専念できる。

 そうこうしてるこの時間。うん。無駄だな。効率や勝率の事を考えるのであればここは魔法戦に移行する。これ一択だ

 お互いに身体の回復に専念するために接近戦ができないんであれば遠慮苦戦である魔法の打ち合いに移行する。これ一択のはずだ

 うん。全くその通りだし、オレも普段だったらそうする。


 でもここは、この戦いだけはそうしたくない!


 うん。自分で言ってて何言ってんだコイツは? て我ながら思うな。

 一応言い訳をさせてもらうと

 この戦いそのものがもともとオレの意地のための物なんだよ。

 別に女神さまからの仕事を忘れたわけじゃねぇ

 悪いアルファメスが集まってできたダンジョンコアがその力を集約させて生み出した魔物であるオルフェルを倒すことがオレの仕事にもつながることも分かるし、そのためでもある。

 でもさ?

 オレがコイツと戦う一番の理由はプライドのためなんだよ。

「許せねぇんだ・・・」


 オレが見せた隙を余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)と見逃したコイツのあの態度が


『さて、余興はここまでだ』

 仮にも命を懸けて行っている闘争において遊びなんてものを持ち込むコイツの態度が


「許せねぇ・・・ッ!」

 そんなに余裕があるってんならその余裕を奪ってやろうじゃねぇか。

 そんなに自分のステータスや武器に自信があるってんならその鼻っ柱へし折ってやろうじゃねぇか!

 舐めるなよ?

 オレはお前が考えてるよりずっと強いんだぜ?



 ガッキィイイインッ! ガンッ!ガンッ!ガンッ!ガンッ!ガンッ!ギゴンッ!ガンッ!ガガンッ!ガンッ!ガンッ!ギンッ!ガンッ!ガンッ!ガギィン!ガンッ!ガンッ!ガンッ!ガギィンッ!ガンッ!ガンッ!

 あれからほどなくしてオレの腕は完全回復した。そしてそれと同じくしてオルフェルのヤロウの腕も元通りになった。その瞬間にオレが斬りかかり現在に至っている。

 息もつかせぬ連撃連斬。もちろんその一撃一撃が手抜き手加減一切なしの本気の一撃。

 だが向こうもその一撃に負けず劣らずの一撃を返してくる。オレの一撃とオルフェルの一撃が互いに一歩も譲らず激突を繰り返している。

 本来であれば開戦の一撃程ではないとはいえここまで派手にぶつかり合っていればその衝撃もすさまじく、また腕が上がらなくなるくらいのダメージが溜まってもいいくらいおかしくないくらいなのにオレもオルフェルも全くその気配がない。

 おそらくだがオレの場合は『超健康』のおかげだ。



『超健康』・・・すべての状態異常を完全に無効にする。あらゆる環境に適合し、順応することができる。身体に取り込んだ栄養素のすべてを吸収してエネルギーに変える。詰んだ経験値はすべて身体に反映されてスキルを習得しやすくなり、レベルも上がりやすくなる。



 このスキルがあるからオレは平気だ。そしてコイツはゴーレムだから大丈夫なんだろう。うん。ゴーレムが疲労や痛みを感じるわけがないんだから当然だな。

 さて、このままずっと打ち合いを続けても(らち)が明かん。コッチはレオルドだけで打ち込んでいるのにアッチは斧と大剣の二刀流だからなぁ。単純に手数が二倍はある。

 しかもスキル欄にもあった『剣斧二刀流』の効果か? それぞれデカイ獲物のくせにきちんと使いこなせてやがる。

 だが、オレも負けてねぇ。

 確かにオルフェルの斧さばきも見事なものだが斧の腕だけならオレの方がずっと上だ。

 オルフェルが振り下ろす斧の一撃に最大限の威力が乗る前にレオルドをぶつけて威力を殺しつつ

「【撃鉄】!」

 相手を身体ごと突き放すように押しつつできた間合いにレオルドを最大威力で叩き込む!!

 オルフェルは慌てて大剣で防御しようとしているがそんな取ってつけたような防御で防げるような斬撃ではなく、オルフェルは半ば斬られていた。

 ちょうど人間に近い体格をしているからわかるが今のオルフェルは肩からわき腹にかけて斬られており、大剣まで半ばレオルドが食い込んでいる。普通だったらもう致命傷。だが、

「【獄炎兜割り】ッ!」

 そのまま火属性上級魔法『インフェルノ』をレオルドに付与してから【兜割り】。

『グ、ググググ・・・ッ 【豪一閃】!』

 オルフェルは自分の片腕と大剣を捨てたのか斧にうねりをつけて斬りかかってきた。が、あれ? コイツの斧さばきってこんなに鈍かったっけ?

 さっきまでの、そうオレが片腕を切り落とす前まではまだ鋭く速い斬撃だったと思うんだが、今のこいつはさっきよりもずっとキレが鈍いように思う。

 後ろに一歩下がるだけで簡単に躱せた。が、これが良くなかったな。こうしてる間にオルフェルは腕を再生したようで今度は両手で斧を振るい始めた。

 腕は再生できても武器の類は今出している分で終わりなのか? 大剣は今オレの足元に転がっている折れているヤツしかないが・・・

 まぁ、今はどうでもいいな。今はとにかくアイツを倒してレベルを上げることが先決だ。

 それにオルフェルは今両手で斧を振るってるがまさにそれはオレのスタイルそのまんまだ。だから余計に負けられねぇ・・・!

 斧使い同士の戦いで大して変わらないステータスを持つ者同士。ならば、『斧神(おのがみ)』の称号を持つオレが逃げるなんてありえねぇってもんだろうが!!

「ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

『ムゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウンッ!!!』

 とことん付き合ってやるぜッ!!

 勝つまでなッ!!!



「やれやれ、ね・・・」

 なにやら先生さんが苦笑いをしている。

「何がですか?」

 アタシ、リナ・カウリアが少し尋ねてみると

「何がって、この戦いよ。あの子ったら解ってるのかしら? 仮にも命のかかった闘争の場でほんのちょっとの遊びもあるべきじゃないのに・・・」

 なんて言ったと思ったらまだまだ言い足りないのかさら小声でブツブツとしゃべってる。言葉だけを聞けばタイチの行動に怒ってるみたいなんだけど・・・

「笑ってますよ?」

 さっきからずっとね?

 アタシの一言でようやく自覚したらしく慌てて顔を背けてるけど、もう手遅れもいいところだよ? 何をどう言いつくろってももう手遅れだよ?

「と、とにかくね?」

 コホンと咳ばらいをしつつ先生さん。

「あの調子で戦うのはあまりにも非合理的なのよ。相手はどう見えて自分の能力を使いこなせていないんだし、もっと絡めて手や意地悪な戦い方をすれば簡単に自滅を誘えて楽なはずなのにあの子ったら全然そんなことする気配すらないんだもの」

 もう。

 なんてむくれたように言う先生さん。でもね?

「アタシはそんなに悪い事じゃないと思うんですけどねぇ~」

「ほう? なんで?」

 アタシの一言に目を光らせて詰め寄ってくる先生さん。その迫力にひるみそうになるけどここはぐっとこらえて

「多分、だけどタイチももっと強くなりたいと思っているからここであえて非合理的な戦い方をしてるんじゃないですかね? もともとタイチってあの森から出たこともないんでしょ? だったらこれから自分たちが向かう場所にどんな困難が待ち受けているかなんて解るわけないわ。

 そんな場所に向かうんだから少しでも強くなりたいと思うのは当たり前の事でしょ? 強くなれば強くなっただけいざというときの安心感はけた外れだし、ニンゲンの街の仕組みなんてアタシも全く知らないけど強くなってさえ置けば逃げられる可能性は伸ばせられるだろうからね。

 これからタイチがどんな選択肢を取るのかはアタシにはわかりませんよ? もしかしたら人間の街で何かやらかしてシメイテハイされるかもしれません。

 でもアタシはタイチについていきます。理由なんてありません。アタシがそうしたいからです。だってあたし、リナ・カウリアがマツダ・タイチを愛しているからです」

 ふぅー。

 一気にまくし立てて疲れたわ。ていうか、なんか途中からアタシ何言ってんの? 何か愛の告白もいいところのセリフを吐いた様な・・・

「フフフ」

「な、なんですか?」

 あ、もうこれ嫌な予感しかしないわ

「リナちゃんってホンっトに太一のことが好きなのねぇ~♪」

「・・・いけませんか?」

 ダメ、もう顔が熱くて暑くてとても先生さんに見せられない

「しかし先生からは逃げられない!」

「許してください」

 背けようとするアタシの顔をヒュッと覗きに来る先生さんにアタシは早々に白旗を挙げた。もう絶対に逃げられないもん。

 こう顔をガッとつかまれててさ? さっきから逃げようとしてるんだけどもうホント、このヒト賢者、後衛の方なんだよね? 何で前衛であるアタシより力が強いの? おかしいよ。絶対に間違ってるよ・・・



「オッラァアッ!!!」

『グムゥンッ!!』

 オレの一撃がとうとうオルフェルの斧にひびを入れた。もうあと数回もぶつけ合わせれば斧は砕けてコイツは素手でオレと戦うことになるだろう。

 そうなればもうオレの勝ちはほぼ決まったも同然だ。

『フ、フフフフフフフフフフフフフフフフフフッフッフフフフフフフフフフッフフフフフフフフフ・・・』

「・・・なんだよ?」

 急に笑い始めやがった。

『気にならないか? なにゆえこの世に生受けたばかりの余がこれほど言葉を流暢(りゅうちょう)に話せ、武器の扱いに長け、騎士の流儀を心得ているか・・・』

 チラリとリナや先生を視界に入れるオルフェル。

 確かに気になることだ。

 もともとコイツはダンジョンコアが自分の身を護るために大至急で生み出した魔物だ。しかもただ生み出しただけじゃなく、魔石の代わりにダンジョンコア自身が核となることで生まれた魔物だ。

 それだけであればダンジョンコアの死守に必要な知識を持っていることは十分わかるんだが、そういったことにあまり関係のない騎士道、少なくとも害すればまず目の前の敵(オレ)が守るであろう先生やリナの事を全く狙わなかった程度のフェア精神を持っている理由の説明がつかない。

 ダンジョンコアを守ることがコイツの存在理由のはずなのになんで有効な手段を使わなかった?

 確かに気になるところだ。

『簡単な話である。余を生み出したダンジョンコアはこの世の負のアルファメスを凝縮して生まれるもの。そしてその負のアルファメスの源は貴様ら人をはじめとする生き物の負の感情であるぞ?』

「・・・まさか」

 オレの脳内にイヤな予感がよぎり

『余を生み出したダンジョンコアを形創ったのはここら周辺で不運による理不尽な死を迎えた者達の断末魔の怒りや悲しみ、絶望や憎しみである。おそらくその中に騎士道に通ずるものが多数いたのであろうよ』

 最も帰ってきてほしくなかった答えが返ってきた。

 はぁ~

 仕方がないと言ってしまえばそれまでだ。

 所詮オレも人の身だ。この世のゼンブをまとめて守ってやることなんてできない。恐らく今コイツと戦ってるこの瞬間でもこの世界には貧困があり、差別があり、理不尽な死があるんだ。

 その全部をなくすことはまぁ、無理だとわかってる。


 でもさ?


 へこむものはへこむんだよ。

 もしオレが一年もあの森で修行し続けていなかったらここいらで死んだ人たちを助けることはできたのだろうかとどうしても考えちまう。

 もともと何時どんな経緯で死んだのかもわからねぇのに助けるなんて無理に決まってる。結局オレがその場にいなかった確率の方が圧倒的に高いんだから考えるだけ無駄なことだ。

 理屈は分かるよ? でも「分かる」と「納得する」では全然違う。

 たとえどれだけ理屈をこねても

 たとえこれからどれだけの人々を助けようとも

 オレはこの考えを捨てきれずに悩み続けると思う。

 苦しい事だし、そもそもゴールがない事だとも思う。

 でもオレは結局この道を行くと思う。少なくともこれは誰かに強いられた事じゃねぇ。自分でこうしたいと思ったことなんだから

『隙ありッ!!』

「しまっ――」

 ヤベッ!

 つい思考の海を漂ってた。

 あれこれ考えるのなんて敵倒してからでよかったじゃんッ!! オレのアホッ!!

 そんなオレへの罵倒は置いといて

 オルフェルはすぐ足元に転がっていた大剣を拾い上げた。

『フ、フフフフフフフフ。これで見せられるな・・・』

「おやおや、一体何を見せてくれるのかな?」

 確かに今オルフェルが拾った大剣は他でもないオルフェル自身が創り出した大剣だ。しかし、その大剣もオレとの闘争で根元から折れている。折れた刀身もこれまでの闘争の中で今現在どこにあるのかさえ分からない状況だ。

 そんな現状で折れた大剣の柄(そんなもの)を拾ってなんになる? なんでついさっきの隙で攻撃ではなくそんなものを拾うことを優先させた?

『余のステータスを見たのであろう? その中に答えはあるぞ』

 オルフェルのステータス?

 確か・・・



《オルフェル》種族:アダマイトガーゴーレム 性別:無 職業:騎士 重騎士(ヘヴィーナイト) 聖騎士(クルセイダー) 闇騎士(ダークナイト) 騎士王(パラディン) 年齢:1日

      レベル:1009 魔力:91000 攻撃力:128000 魔攻撃:90780 防御力:123000 魔防御:122900 敏捷:100200 運:9999

《装備》滅雷(めつらい)の斧 |氷麟剣《ひょうりんけん 吸魔(きゅうま)と報復の業鎧(カルマアーマ)

《魔法》土属性魔法:最上級 風属性魔法:上級 火属性魔法:上級 雷属性魔法:初級 氷属性魔法:初級 闇属性魔法:初級

《スキル》斧術(ふじゅつ):最上級 剣術:最上級 剣斧二刀流:最上級 体術:上級 魔力操作 気力操作 剛体法 気功術 金剛力 堅牢 身命 魔量 無詠唱 高速機動 飛翔 翼刃 命名

《種族固有スキル》眷属創造 武具進化 供付き任命 状態異常完全無効化

《奥義》斧滅一閃(ふめついっせん) 剣舞領域(つるぎのけっかい)

《称号》突然生まれた災害 ダンジョンコアの護り手 記憶を知る者 騎士の王に至りし者



 こうだったよな?

 んん?

 あれ?

 ちょっと待てよ?



『武具進化』・・・種族固有スキル。武器や防具の扱いに言って以上精通しているゴーレム種、ガーゴイル種。もしくはヒト型の魔物もしくはモンスターが習得可能のスキル。武器や防具に触媒の一種を加え、新たな装備として進化させるスキル。



「まさか・・・」

『フッフフフフ。気づいたようだな。だが、もう遅いッ!! 《武具進化》ッ!!!』

 うっわぁ~。また予感が当たったよ~。

 いやな予感の方だけどね?

 まさか今拾った大剣の柄そのものがオルフェルの斧をさらに強くするための触媒だったわけね・・・


『行くぞ、《氷嵐雷豪の絶斧(テンペストゼファード)》・・・ッ!』


 ヤバイ。逃げたい。

 これがオレの正直な感想だ。

 だってもう野生の勘でヤバイと分かるもん。見た目からして全くの別物になった。

 まず全体的にサイズが大きくなった。刃の部分の色も(くろがね)一色だったのが鮮やかな黄色に変わっている。色だけじゃなくて紋様もある。まるで大剣の刀身にあった鱗の紋様がそのまま乗り移ったような紋様がある。

 見た目の変化はこれくらいだ。が、何をおいてもまず注目すべきはもともと感じていた威圧感が倍以上に膨れ上がったことだろう。

 その威圧感を振りまきながら唸りを挙げて迫ってくる斧。

 紙一重で躱すが背筋に氷の塊を突っ込まれたような悪寒がする。思わず反射で飛び退きそうになるが、オレの勘が飛び退くな! そこから離れるな! 離れたら後悔するぞッ! と叫んでいる!! 何度も助けられてきた勘に従って攻撃を受けたが


 ギギャガガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアォオロロォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンッ!!!


 正直に言って後悔している。

 メッチャイテェエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!!

 腕が肩まで雷撃に打たれてほとんど感覚がねぇ!

 おまけに足に氷がまとわりついていてマトモに動けなくなっている。

「『ヒートウォーマ』」

 火属性初級魔法で身体に熱を起こし、それを魔力操作で足に集中させて氷を解かす。一気に溶かすには足の負担がデカいし、その間に

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッッッ!!!!!!!!』

「コイツが待ってくれるわけがねぇもんなッ!!!」

 クソッ! 脚が言う事を聞かねぇからいつもくらいの威力の斬撃が出せねぇ・・・ッ!

 即座に回復魔法をかけるがそんなにすぐ全回復するわけもなく徐々に、でも確実にオレが追い込まれている。

 ()()()()()()()() ()()()()()()

「『万天ノ息吹(ばんてんのいぶき)』ッ! そして【烈火斬撃波】ッ!!」

『ナニッ!?』

 オルフェルは困惑したようでオレを見つめている。まぁ当然だろうな。オレに負わせたはずの傷が一瞬で完治して、しかも至近距離からもやえる斬撃波を食らったんだからな。しかも防具も何も装備していない顔に

 鑑定した結果は忘れてないからな?

 お前、さっき進化させた武器意外にも防具があったよな? 確か『吸魔(きゅうま)と報復の業鎧(カルマアーマ)』だっけ?

「もしかしてだけどオレがさっきからお前の武器を攻撃していたのが偶然か気まぐれだとでも思っていたのか?」

『ナニ?』

「嫌々常識に考えようぜ? お前これまでのオレとの戦いで一度も防御姿勢を見せなかったよな? 最初はゴーレム系特有の防御力の高さを生かすために防御軽視の姿勢なのかとも思っていたんだが、ほかならぬお前自身が言っていたよな?」

『・・・あッ!』

 ようやく思い出したみてぇだな。

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 これはつまり、コイツの戦い方そのものはダンジョンコアから教わったわけでもなんでもねぇ。そのダンジョンコアが生まれた原因の騎士の戦い方がコイツに強く影響していることだ。

 だとすると少なくとも複数の騎士が自分の防具に頼り切ったような戦い方をしていたことになる。仮にも自分のみならず他者の命も守る立場にいる騎士がそんな甘い戦い方をするなんてオレにはどうしても思えなかったんだ。

 だから俺はもしかしたらコイツの鑑定結果に合った防具には防御力以外の何か特殊能力があるんじゃないかと思ったんだ。

「オレの予想は当たっていたようだな」

『さて? どうであろうな?』

 わざわざ自分から教えてやる気はねぇわけね。だろうね

「さぁて、仕切り直しだね?」

『その前に・・・』

 オルフェルがリナたちに向き直って

『そちらのご婦人方にも遊び相手が必要なようですな』

 オルフェルの態度に何かを感じたリナと先生が即座に戦闘態勢を整える。しかし、コイツは一体何をしようとしてるんだ?

 仮にも騎士道を語っていたやつが余裕を失って騎士道を忘れた? いや、ダメージを与えはしたがそこまで追い込んでもいないはずだ。

 それともそもそも騎士道うんぬんが上辺だけの言葉だった? いや、だとしたらリナたちに仕掛ける隙ならもっとあったはずだ。それもわざわざ今から仕掛けますよと言わんばかりに向き直る必要もなかったはずなのになんでだ?

 そんな思考が頭をよぎって踏み込むのが遅れた。


 足元から土が盛り上がっていき、中からゴーレムやガーゴイルの類が出てきて

『そうであるな。・・・主の名は鬼騎(きき)。そちの名はサガである』

『『オォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!!』』



鬼騎(きき)》種族:オーガーゴイル 性別:無 職業:騎士 重騎士(ヘヴィーナイト) 狂戦士(バーサーカー) 年齢:一日

      レベル:500 魔力:40000 攻撃力:60000 魔攻撃:32000 防御力:30000 魔防御:24000 敏捷:20000 運:100

《装備》狂血悪斧(バーサクブラッド) 地震の大槌(アースシェイクブロブ)

《魔法》無し

《スキル》斧術:上級 槌術:上級 斧槌二刀流:最上級 狂化 狂気感染 反防激攻猛激(ミヲケズルイチゲキ) 飛翔

《種族固有スキル》状態異常無効

《奥義》無し

《称号》ダンジョンコアの護り手の助手 騎士の王の側近 血狂い 猛将 死に急ぎ



《サガ》種族:ヴァルゴーレム 性別:無 職業:騎士 盾騎士(シールドナイト) 聖騎士(ロイヤルナイト) 年齢:一日

      レベル:500 魔力:40000 攻撃力:45000 魔攻撃:32000 防御力:65000 魔防御:60000 敏捷:20000 運:100

《装備》護衛剣(ガードソード) 要塞盾(フォートレスシールド)

《魔法》無し

《スキル》剣術:上級 盾術:最上級 統率 指揮 自軍強化 友軍強化

《種族固有スキル》状態異常無効

《奥義》無し

《称号》ダンジョンコアの護り手の助手 騎士の王の側近 指揮官 司令官 騎士王軍の盾



最近はあったかくなったり急に寒くなったりと不安定な気温が続く中でニュースで話題になっている新型コロナウイルスの影響もありますねェ~

皆さんはどうお過ごしですか?

私は最近くしゃみが出るたびにコロナウイルス感染者に疑われることが気になります。

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