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第四十八話 報告と連絡と相談

全く投稿できず申し訳ありませんでした。突然の繁忙期。去年は絶対に暇だったはずの時期なのにとんでもない量の仕事を振られて忙殺されていました。

 あれからしばらく悩みはしたがすぐに思考を打ち切った。

 悩んでもわからないのならいくら時間をかけても無駄だ。

 そう思うことにしてとりあえず家へと変えることにした。


 帰る道すがらレオルドを振るい、今現在のオレの身体能力になれる作業をした。

 走る。跳ぶ。掴む。投げる。

 一つ一つの動作で今までとどんな違いがあるのかを知っていく。そのためにまるで映画のターザンのように木々の間を飛び回り、悪性映画のワンシーンのようなアクロバティックな動きをしてみた。


「楽しい…♪」


 アトラクションみたいに楽しみながらオレはこの新しい体への理解を深めていった。

 途中で魔物を見つけた。こちらに気づいている様子もなかったのでそのままレオルドを引き抜いて襲い掛かり、何もさせないまま不意打ちで仕留めた。

 仕留めた魔物の解体もせずにストレージに放り込んでからまたアトラクションの続きを楽しんでいるとあっという間に家の近くまで来てしまった。

 しかし…


「物足りないんだよなぁ…」


 まだまだ身体能力の確認やそれらによる戦術の見直しと最適化も終わっていないし、そもそも解放されたダンジョンをリナたちカウリア族に渡さないといけない。

 まだ夜まで時間もあるようだし、疲れてはいるけど


「もうちょっと頑張ろう」


 ここらが踏ん張りどころなんだから





















 なんて考えていた時もあったね。


「オレ、カウリア族がどこにいるのかも知らねぇよ…」


 はい。大間抜けがここにいます。

 オレ、リナと会うのも偶然だったし、そもそもカウリア族がどこで寝泊まりしてるのかも知らねぇ。

 とりあえず先生の家の周辺にいるのならさすがに気が付く。ならばそれなりに距離が離れているのだろう。そう思ってそれなりの距離を広げて探してるんだがいまだに見つからない。

 もう日が暮れるし、いい加減疲れも無視できなくなってきた。

 そろそろ切り上げるべき。

 いくら強くなったといっても夜行性の魔物の中には今のオレ以上の化け物だっている可能性があるんだからいい加減変えるべき

 なんだが…


「なんかもう、手遅れな気がする…」


 なんというかもう、見られてるな。



 意識が沈む。

 自分の間抜けさに笑いそうになっていたり、不安を抱いたりといった人としての感受性が消えていき、戦士として戦う覚悟だけが浮き彫りになっていくような感覚。

 頭の中が澄み渡っていき、自分を俯瞰的視点で見降ろしていくような感覚が広がり、本来なら見えないはずの真後ろにいる存在を見て


 脱力した。


 なんか、もういろいろと肩透かしを食らった。

 だって



「…タイチ?」



 探してたやつなんだもん。



「リナ…」

「タイチ」

 …

 ……

 …………

 ……………………


 こっからどうすればいいの?

 なんかあっち(リナ)も思いつめてるような表情だし、どうすべき? なんか機嫌悪そうだし帰るべきか? いやでもせめてダンジョンの一部を解放したことは伝えておくべきだろう。そのうえでそこに住処を作るかどうかはカウリア族のみんなで決めればいいんだし

 どう切り出すべきか…


「話があるんだけど、いいか?」

 まずはこれだろ。

 これで拒絶されたら手を引くしかないな。できれば聞いてほしいんだけど…

 なんて思ってたら頷いてくれた。よしよし

 さて、どう話をつなげていけばいいのかな。


「話って何?」

 ゆっくりと探るように言うリナ。

 まぁ、人間のオレを警戒するのは当たり前だし、最後にあったときに思いっきり地雷踏み抜いたっぽいんだよな。

 そんな奴の言葉なんて警戒して当然だな。

 でも腹をくくるしかねぇか


「まず前提としてオレはお前さんの一族の事をよく知らない。獣人とも会ったことがないからリナたちがどんな経緯でこんなところにいるのかも知らない」

 正直に言うオレの言葉を黙って聞くリナ。

 ホントのことであり、オレはこの世界の人々についてほとんど無知と言っていい。

 いや、()()()()すら知らないかもしれない。せいぜいエルフやドワーフに獣人がいることを知っている程度だ。


「だがこの森が危険区域であり、そんなところにいるのなら何かただ事ではない理由があるのだろうことはわかる。きっと生活はぎりぎりで何か一つきっかけがあれば犠牲者が出てもおかしくない状況の連続だったとも思う。オレだって余裕があるわけじゃない」

 でもそんなオレでもわかることはある。

 オレは女神さまから力をもらった。それらを生かすために必要な知識もあった。

 それらを生かすことでこんな命の価値が木の葉よりも軽い森の中で今日まで生き抜くことができた。もちろん大部分は先生の家を見つけることができたというのが大きいのだが

 神様に贔屓にしてもらっているオレでもこんなに苦労しているのだからそれもないリナたちがここで生きていくにはどれだけの苦労があったのか想像もつかない。


「そんな中で自分の身だけではなく一族みんなの命も守り抜くなんてとんでもないすごいことだと思うし、それを成し遂げた君のことも本当にすごい人だと尊敬もしている」

 普通なら投げ出してるはずだ。

 今日生きれるかどうかもわからない。

 何かきっかけ一つあれば女も子供も老人も殺される。

 彼ら彼女らを護り、今日と明日を生き残れるようにできるのは自分だけ

 そんな状況、普通なら何もかもが嫌になって逃げだしてもおかしくないはずなのにリナは今でもその責任を果たし続けている。

 自分の事だけを考え生きてきているオレとは比べ物にならないくらいにホントにすごい人だ。武力ではオレの方が上かもしれないが何もかもが負けてるとしか言いようがない。


「だから余計なお世話かもしれないし、人間のオレにどうにかされるなんて屈辱かもしれない。でも、そうだとしてもオレはお前さんのためになんかしたい。そう思った」

 だから


「ダンジョンコアを破壊してある場所をダンジョンから解放した」


 驚愕なのかそれとも違う感情なのかはわからないがリナの表情が変わった。大きく目を見開いて口がほんの少しだけ開いた表情を浮かべるリナにかまわず続けよう。

 オレの気持ちがほんの少しだけでも伝わってほしいから


「解放されたその土地なら魔物はいない。広さもそれなりだったから多少の人数が生活できる程度のことはできるはずだ。

 そこで戦えない女子供や老人を休ませることはできるはずだし、そんな人たちを護るお前さんたちも守りやすくなるはずだ」

 言う。


「その土地をお前さんたちに渡したい」





















 たっぷりと時間をかけた。

 オレの体内時計が狂ったのかもしれないし、実はそんなに時間がたっていないのかもしれない。

 だがオレにできることはした。

 あとはリナ次第だ。


「考えさせてほしい」


 これがリナの出した結論だ。

 いや、まぁ…

 わかる。

 命の危険が当たり前だったこの森でいきなり安全な土地を手に入れたからそれを譲るなんて言われても混乱すると思うし、信用できないのも当然だと思う。

 ましてオレは人間だ。実際は超人類という種族らしいがそれでも見た目は人間にしか見えない以上はリナたちから見れば人間と変わらないだろう。

 どう考えても人間と何かあったであろうことは間違いないリナたちが人間にしか見えない奴(オレ)の善意なんて信用できなくても無理はない。


 だがそれでもオレはリナに何かしてやりたかった。


 こんな危険な森で自分の身だけではなくて一族のみんなの身を守ってきた。

 一族の人数なんて知らないが仮にも一族と言ってるのなら一人か二人なんて人数なはずもない。十人か二十人。下手をすれば百人近くかそれ以上とも考えられる

 そんな人数を守り抜くなんてオレでもできない。

 女神さまから力をもらい、その力を鍛えてきたオレでも無理だと確信できることをリナは、オレみたいな女神さまからの贔屓(チート)も持っていない女性が成し遂げたのだから尊敬せずにはいられない。

 そんなリナの助けになってやりたかった。


 でもリナは考えさせてほしいと一言言ってからすぐにこの場を離れてしまった。


 余計なお世話だったのかもしれない。

 自分ではどうにもできなかった現状をオレみたいな余所者にどうにかされるなんて屈辱的だったのかもしれない。

 それでも…


「はぁ~~~~~。……ままならねぇなぁ」


 大きく深くため息をついて、このいかんともしがたい感情を飲み込んだ。





















「あれ? そういえばリナたちに渡すまでオレはあの土地を維持しなくてはいけないのでは?」


 サー、と顔から血の気が引く音が聞こえた。

 そうじゃん。

 せっかく開放しても周囲の魔物たちが住み着いたら意味がないし、ほかのダンジョンに飲み込まれるのでは?


「こうしちゃいられないッ!」

 急いで解放した土地に戻って

 いや、まずは先生に報告が先だ。

 でもその間に魔物が土地に居座ったら?


「手が、手が足りない…ッ!」

 オレ一人では手が足りない。

 せめてもう一人いれば…ッ!

 …ん? もう一人?


「レオルド」

『任されよ。主殿」

 背負っていた戦斧レオルドが獅子の姿に変わった。

 つまり


「オレは先生に報告に行くからお前は土地の管理を頼む」

「承った」

 レオルドは独立で動ける。

 役割分担が可能になった。

 だがこの手段にはリスクもある。それは…


「レオルドが離れてる間にオレが使う斧がない…ッ!」

 流石に主力武器(メインウェポン)なしでこの森を生き残れるとは思えない。えーと確かストレージにレオルド以前に使っていた斧や練習用になっていた斧があったはず

 とりあえずはそれで間に合わせよう。うん





















 なんて思ってたのに何でか家までロクに魔物と出くわさなかった。

 そしてこちらを心配してくれる先生を制して事情を説明すると驚かれた。


「まさかもうダンジョンコアの破壊ができるなんてね」

「オレもいい加減この森を出てこの世界の現状というものをこの目で確認しようと思いましてね。そのためにこの森での修行の総仕上げとしてやってみましたけど、まぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ヤバかったッスわ」


 本音だ。

 もともとの予定ではもっと楽ができると思ってはいた。今のオレでも十分通用するであろう規模のダンジョンをレオルドと相談しつつ決め、そのダンジョンコアを護っているであろう魔物を討伐。それから満を持してダンジョンコアの破壊のつもりだった。

 だがこの森のダンジョンコアというのはオレの想像よりもずっと悪辣でズル賢かった。

 まさかダンジョンコアを護っていた魔物。ゲーム風に言えばダンジョンボスか? そんな魔物との闘争中に現れてダンジョンボスを吸収。より強い魔物を生成してくるなんて想像もできなかった


「あぁ、そういえば君はこの世界に来たときにこの森に飛ばされてたんだっけ?」

「はい。なのでこの世界の事をオレは全く知らないんです」


 先生の言葉にオレが頷く。

 もともとはオレが現地人とのトラブルを嫌って人里離れたところに送ってほしいことを伝えたんだがそのせいで世界最大ダンジョンの中に直接送り込まれることになってしまった。

 そのことを知ったときは女神さまはオレを殺す気なのかと疑ったが実際にはオレのすぐ近くに先生の家があり、そこでおそらくはこの世界で受けられる最大限の教育と授業を受けることができたので結果オーライだと思っている。というか女神さまはきっとすべてお見通しだったと思う。そう思わないと一歩間違えただけでオレは死んでいたと思う。うん


「まぁ~~。あたしたちの仕事的にも人里に行くのは悪くないと思うわよ? そのための総仕上げにダンジョンコア破壊はどうかと思うけど」

「やっぱ、足りないですかね?」


 一応できはしたけどだいぶ運に頼り切っていたし、レオルドというオレの力量には釣り合ってもうない超強力な武器にも頼り切ってのギリギリの勝利。

 多分オレ自身の力量はこれまでの先輩の中でもまだまだ下の方だと思うんだ。先輩たちの方がオレよりも長い時間を訓練に明け暮れて、より多くの魔物を討伐してきたはずだ。

 オレだってこの二年ほどの間でかなりの魔物を討伐してきた。文字通りにダンジョンの中で生活してきて修行に稽古に訓練に明け暮れてきたからきっとそれなりに強くなってきたとは思う。だがそれでもまだ足りない。

 そんな気がしてならない。


「いやいや十分すぎる。もっと早い段階から人里に下りてもいいって言ってたでしょ?」

「それはそうですけど人里に下りて冒険者になっても現代の人々の平均値を知らない以上下手に目立つことはできませんし、貴族に目を付けられるのも避けたいので…」


 あきれたように言ってくる先生に返す。

 実際に考えてほしい。この世界のことをよくわかっていないオレがいきなり冒険者や傭兵になったとする。そしてオレはあくまで普通に生活のためや賃金のために仕事をこなすとした場合。



《松田太一》種族:超人類 性別:男 職業:狂戦士(バーサーカー)・斧聖・魔王殺しの英雄・秘宝の守護者・魔術師・魔砲撃士・付与術士(エンチャンター)鎧格闘術士(アーマドレスラー)・拳豪・戦略家(ストラテジスト) 年齢:17歳

 レベル:80

 魔力:1079200

 攻撃力:1558300

 魔攻撃:890500

 防御力:1457500

 魔防御:1263300

 敏捷:1335300

 運:500

《装備》黒魔銀の剣鉈 闘魔の籠手 アダマンタイトラウンジシールド・改 黒龍戦鎧・一式 空王の脚鎧 守護と癒しの肌着 守護と癒しのズボン 闘魔のベルト 上質な下着 風のイヤリング 身代わりの首飾り

《魔法》土属性魔法:(きわみ) 火属性魔法:(きわみ) 水属性魔法:(きわみ) 無属性魔法:上級 風属性魔法:中級 氷属性魔法:初級 光属性魔法:初級

《魔術》土属性魔術:中級 火属性魔術:初級 水属性魔術:初級

《スキル》斧術:(きわみ) 戦斧術:最上級 長柄術:最上級 体術:上級 剣術:中級 槍術:中級 盾術:上級 鎧術:中級 瞑想 索敵 気配探知 潜伏 気配隠遁 魔力操作 気力操作 最上級鑑定 超感覚 詠唱破棄 高速詠唱 並列詠唱 無詠唱(土属性・火属性・水属性限定) 威圧咆哮(オーバーハウル) 超集中 俯瞰の目 粉砕 激振 連閃斬 狂化(バーサク) 思考超加速 限界突破 痛覚鈍化 魔力回復促進 気力回復促進 魔闘法 気功法 竜力 一騎駆け 一騎打ち 付与(エンチャント)

《流派》ゼオゲンダー流戦斧術:免許皆伝

《ユニークスキル》健康体 生存本能 大地の息吹 浄火(じょうか)の導き 蒼純(そうじゅん)の鼓舞 ストレージ

《称号》絶望を砕く者 限界を超えし者 豪運の持ち主 斧神(おのかみ) 修行者 求道者 魔物殺し 竜殺し 悪魔殺し 魔王殺し 生ける者(ライバー) 大地に愛されし者 炎に愛されし者 水に愛されし者



 このステータスは果たして普通と言えるのか?

 いや、まず間違いなく普通から大きく逸脱しているだろう。やろうと思えば家以上に大きな岩を素手で叩き割れるのは少なくとも普通のことではない。

 こんなステータスをしていればまず間違いなく騒ぎになる。

 そしてその力をわがものにしたい輩も必ず出てくる。権力者が、貴族が我が物顔でオレにかかわってくるだろうし、下手をすれば国を相手取って戦争なんてやらされるかもしれない。

 考えれば考えるほどドツボにハマり、下手に動けなくなる。


 そうならないためには世間である程度の「地位」を築くことが必要だ。

 冒険者なら「最高ランク冒険者」になれば少なくとも世間や国から人目置かれるのだと先生から教わった。地球で言えば世界レベルで活躍する実業家や映画俳優にスポーツ選手のようなものなのだと言われた。

 確かに世界規模で事業を展開している会社の社長とかなら国の重鎮であっても気安い扱いにはできないだろうし、ハリウッドで賞を取った映画の主演役者であれば下手に扱ったらどんな大やけどを負うかわからないだろうからそれくらい世間に有名になればいいのだろう。


 だが俺はこの世界の平均値を知らないのでどれくらいの活躍をすればいいのかがわからないんだ。功績が小さすぎても時間がかかるし、大きすぎれば世間に怖がられて権力者たちのいいおもちゃになると思えばなかなか一歩踏み出せずにいる。


「でももういい加減そんなことも言ってられませんからね」


 もういい加減腹をくくったよ。

 というかダンジョンコアを壊すことができたんだからもしかしたらもう国相手にケンカだってできるだろうからな

 まずは踏み込んでみるとするさ

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