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第四十話 解放

どうも最近新しい仕事が増えたせいで仕事に忙殺されるようになったうP主です。

毎日毎日ブラック企業に勤めてるせいで楽しみだった休日の外出もほとんどイケていない。年齢を重ねるうちに趣味嗜好が変化することはあるだろうけど、仕事もせいで変えざるを得なくなってしまうのはツラすぎます。

 結局あれからリナの瞳に光が灯ることはなかった。

 ヤバいな。せっかく時間をかけて仲良くなれたと思ったのに

 悲しくはある。あるんだが


「仕方ないか…」


 今でこそ高校生くらいの年齢だがこちとらもう二十代後半。もうアラサーと言われる年齢だ。

 仕事でも合わない奴はいたし、仲良くしたくともできなかった奴も居る。

 そういうものなんだと思えば気持ちに踏ん切りも…つく。ゴメン。ウソついた


 やっぱツラいわァ~~~………………………


 帰り道の道中

 オレは胸の内に重苦しいものを感じつつ家路についた。





















「町に行く? やっと行く気になったの?」

「はい。まぁ…」

 やれやれと言いたげな先生の態度にやはり遅かったかと申し訳なく思うオレ

 まぁ、本音は


「まだその娘の事が気になる?」

「! …ハイ」

 うん。まだリナの事が気になる。

 地球にいたときは誰かに嫌われようと気にもしなかった。どこの誰に嫌われようとも関係ない。仕事をやって金を稼いで家族を助ける。これだけがオレのすべてでありオレが働く理由。

 嫌われた好かれたを気にするなんていつ以来だ? 学生時代だった気がするが…


「う~~~~~~~~~ん。獣人か…」

「? 何かあったんですか?」

 ものすごい苦々しい顔になってるよ。


「まぁ、思うところはあるわよ。アタシの時代ではこの世界では大陸ごとに種族は済み分けられていてほかの大陸にいるのは珍しいのよね」

 先生が言うにはこの世界はいくつかの大陸があり、人間以外の種族のほとんどはそれぞれの大陸にすみ分けられていてほとんど交流はなかったらしい。

 先生は飛行魔法の開発と船舶の開発に成功したので多少は他種族とも交流はできたらしいがエルフは他種族を見下す言動が目立ち、ドワーフはともに酒が飲めるのかどうかで露骨に態度が変わり、獣人族は強さを神聖視していたらしい。

 強ければ他種族であろうとも敬意を払い、弱ければ同族というより血を分けた兄弟であろうとも決してその存在を認知しないらしい。


「そんな獣人が人間に襲われたなんておかしいのよね…」

 肉体的強さなら獣人族の方が圧倒的に強いからね

 と先生は続けた。


 なんか先生とリナとの話には違いがあるな。

 先生が言うにはリナたちカウリア族が住んでいた草原が獣人たちの大陸のものだとするとそこに人間がいるのは不自然だし、逆にカウリア族の草原がこの大陸にあったとしてもそもそもなんで獣人族であるカウリア族が人間の大陸にいるんだと言う話になる。

 これは一体どういうことだ? とオレは首を傾げた。





















 そしてその翌日。

 オレはいつもよりも念入りに武具の点検やアイテムボックス改めストレージに収納されているアイテムの整理をしていた。


『主殿よ。ホントにやるのですかな?』

 レオルドが念を押すように静かに効いてきたので頷く。


「やるよ。ご機嫌取りかもしれないし、こんなことしてももうオレとリナとの間には縁なんてなくなってるかもしれないけど何もしないのは違うと思うから」

 そう。

 オレは


「この森の一部を、〈解放〉しようと思う」



 解放。それはダンジョンにおいて完全攻略を果たし、ダンジョンそのものを破壊してそのダンジョンがあった土地を元に戻す行為である。

 もともとダンジョンとはこの世界に蔓延している人々の負のアルファメスを凝縮して生まれるダンジョンコアから発生するもの。洞窟であったり森であったりと言った自然物から神殿や城などなどの人工物などなど様々な迷宮があり、そこから魔物が発生して人々に厄災と災難を与え続けることになる。

 要するに何もなかったはずの土地にいきなり城が建ち、そこから化け物が出てきて周辺の村や町を襲うことがあるらしい。

 それを防ぐためには定期的に魔物を討伐して間引くだけでは足りない。根本的な解決のためにダンジョンを産みだしているダンジョンコアそのものを破壊することが重要。

 それが解放だ


『しかしこの森にはいくつものダンジョンコアがあります。そのうちの一つと言ってもその力は強大の一言。現在の主殿の力を持ってもできるかは運次第ですぞ』

「確かにな。でもだからこそやる価値もある」

 レオルドの言うことももっともだ


 もともとこの森は一つのダンジョンだったところにもう一つのダンジョンコアが産まれ、お互いの魔物が喰らい合い、競い合うようにその周囲にいた人々を襲い、そこから発生した負のアルファメスからまた新しいダンジョンコアが産まれての繰り返しで今ではこの大陸の半分近くを覆う超巨大ダンジョンになっている。


 その中のダンジョンコアを一つ破壊すると言っても古株のダンジョンコアなのか産まれたばかりのダンジョンコアなのかでその難易度が天と地ほども違う。

 今のオレでも手に負えないような化け物を産みだせるような古株のダンジョンコアから生まれたばかりでまだ弱い魔物すら用意できないダンジョンコアまで多種多様ある。

 そんな中から今のオレでも破壊できるダンジョンコアを見つけるなんて博打にも等しいものだ。しかも下手をすればオレは自分よりも圧倒的に強い化け物に殺される可能性だって決して低くない。


 だがそれでもやる。

 別にリナのご機嫌取りがしたいんじゃない。

 同情や哀れみも決してないわけではないがそれでもそれだけでは決してない。

 オレの目的は


「この森の一部を解放し、そこにカウリア族の村落を作る」


 いや、オレ自身が作るわけではないから「作る」はちょっと違うな。オレはそのきっかけをカウリア族に与えるだけだ。

 傲慢だろうが何だろうが腰を落ち着けて考えられる場所があるだけでも変われるはずだ。

 あくまで故郷にこだわり、この森を出て故郷を取り戻すために戦うのか

 それとも新しい故郷を自分たちの手で作ると覚悟を決めてここに根を下ろすのか

 カウリア族のこれからを決めるためにも腰を落ち着ける場所は必要だ





















 この森で修業の総仕上げのため

 この森で出会ったカウリア族の未来の一助となるため

 大手を振って強くなったと断言するためにダンジョンコアを探し始めた。

 実はもう心当たりはすでにある。

 というか



『ゴブリンウォーロード Lv:800』



『オーガパラディン Lv:810』



『オークデューク Lv:805』



『コボルトブレイブ Lv:830』



 今目の前にいるよ。


 まずはゴブリンウォーロード。その呼び名に恥じないような立派な鎧に仕立てのよさそうなマントをたなびかせながら武骨で厳つい戦槍(バトルランス)を担いでる。

 その立ち姿だけでも歴戦の強者と分かる空気を醸し出しながらただ静かに瞑目している。のか? 立派な兜に覆われているからその顔は見えない。だが漂ってくる気配は重厚だが静かで穏やかだから多分、瞑想しているんだと思う。

 その立ち姿からは全く隙が見つからず、コッチがヘタに斬りかかって藪蛇になる予感しかしない。


 次にオーガパラディン。鬼の聖騎士とでもいうのか? ゴブリンウォーロードと比べて頭二つ分は高い身長を如何にも聖騎士ですと言わんばかりの鎧で包んでいる。

 こちらも兜をかぶっているから顔は見れない。だが角は露出するデザインのようで兜からのぞく角は見れる。その角はネジのように螺旋模様が刻まれていて突き刺されると重症負うこと間違いないと思わせれる。

 武器は剣。それも一目見ただけで業物だとわかる程度には威圧感と凄味がある剣を抜き身で持っている。腰に鞘がある様子から見ても戦闘準備完了ということだろう。もしも無策で突撃でもしようものなら剣の一振りでズンバラリされるのだろう。


 次にオークデューク。見た目からしてオークの貴族と言ったところか? いつものオークと比べるとだいぶ人間に近い顔をしている。だがそれでも特徴的な耳と花があるから間違いなくオークだと言える。

 しかしその舌は正に貴族と言わんばかりのスーツ。ゴブリンウォーロードやオーガパラディンもこんな森の中で大概な格好だと思うがオークデュークはそれ以上だな。

 何なんだろう。まるで舞踏会にでも出るような紳士服。オシャレなステッキまで傍らにおいて優雅にお茶を楽しんでいる。

 しかもそのすぐそばには厳ついオークの重戦士たちが控えている。

 正に屈強な護衛を従えてる貴族。戦場だと言うのに呑気にお茶を楽しんでいるその様子からはこちらを侮っているようにも感じるが

 オレにはわかる。あのステッキは魔法触媒。杖の一種だ

 つまりゴブリンウォーロードやオーガパラディンは己が身一つで戦う戦士ならオークデュークは支援や砲撃を担う後衛職だろう。

 不意を突けるならオークデュークからだな


 そして最後にコボルトブレイブ。こっちは勇者か? なんか国民的RPGでありそうな勇者装備に身を包んだコボルト。人間に近い骨格を持った犬の魔物だった。

 オーガパラディンにも負けないほどの業物の剣にと同等の盾を持つ軽装のコボルト。

 ゴブリンウォーロードやオーガパラディンと比べるとやや防御に重きを置いているのであろうことが察せられた。

 軽装の身軽さと盾による防御力の補強。

 なるほどよく考えられている。ゴブリンウォーロードやオーガパラディンが厳しい訓練をこなしてきた強者ならこちらはひたすら厳しい戦場をギリギリで生き抜いてきた猛者。

 泥臭いまでの愚直さで己を磨き続けてきたであろうことが察せられた。

 オレと同じだな



 さて、そんな面々が護衛をしている先。

 意味ありげな洞窟。そこからなんか嫌な感じが漂ってるんだ。

 こう。言葉で言い表せないような不快感と嫌悪感と直視したくない気持ちが同時に押し寄せてくるこの感じ。

 最初に見たときはこの奥にまたやばい魔物でもいるのかと思っていた。

 でも違う。


「そもそも生き物でもなさそうなんだよな…」


 二年間この森で修業していろんな魔物を討伐してきたからこそわかる。

 この先にあるのは魔物ではない。

 では何があるのか?

 その答えは


『ダンジョンとはこの世界に蔓延している人々の負のアルファメスを凝縮して生まれるダンジョンコアから発生するもの』


 ここにある。

 つまりこの不快感や嫌な気持ちの正体はダンジョンコアを形成している負のアルファメス。こう考えるのが一番自然だ

 もちろん根拠なんてない。

 ただのオレの想像だ。

 だがこの創造には先生からも「可能性はある」と言われている。より具体的に言えば


『そもそも人に不快感を与える魔物もいるから断言はできないわ。でもダンジョンコアが負のアルファメスでできている以上は人々の負の感情の集合体であることも間違いないし、見つけた時や近くにいるだけでも不快感や嫌な気持ちになることも決してないとは言い切れないわね』


 こう言われた。

 つまりあの洞窟にはダンジョンコアがある可能性が高い。もちろん絶対ではないが可能性が高い以上調べない手はない。

 これで森の一部を解放出来てカウリア族に生活の基盤を与えられればよし。もしも違っていたり、カウリア族に拒否されてもオレは人里に行く。

 全ては


「この世界を救い、母さんや京香を護るため」


 自分の目標を口にする。

 たったそれだけで気持ちが落ち着き、腹がくくれる。





















 おかあさん。どこ行くの? 僕たちのおうちはココだよ?


『ごめんね。もう別のおうちに行かなくちゃいけなくなったの。大丈夫よ。お母さんがアンタたちを護るからね』



 母さんまた仕事増やしたの? もうこれで三つ目じゃないか。いい加減身体休めなよ


『そうはいかないわ。まだまだアンタや京香はお金がかかるんだから

 高校に行かずに働く? バカ言ってんじゃないわよ。今時中卒で入れる企業なんてないわよ。せめて高校にはいきなさい』



 高校に入ったぜ? これでオレにバイトができる。


『ダメよ。アンタの高校はバイトは長期休暇以外は禁止じゃない。バレなきゃいい? バカ言うんじゃないわよ。それでもしもばれたらアンタ下手したら退学でしょ? 卒業しなさいよ』



 卒業したぜ。これでいよいよオレも母さんの助けになれる。


『そうね。でもアンタには車の免許もないでしょ? まずはそこを優先すべきよ。多少は助けてもらうけどそれでも最優先なのはアンタだわ。車の免許なんてなくとも自転車がある? ドンだけ馬鹿なのよアンタ。車の免許がある。ただそれだけで就ける職業の幅が広がるのよ。こんな分かりやすいアドバンテージを取らないなんてどうかしてるわよ。アタシはまだまだ大丈夫なんだからアンタはあんた自身の事を優先させなさい』



 母さん…



 なぁ京香? 僕たちは母さんの助けになろうな


『うん。アタシもお母さんが大好きだから頑張る』



 今日でオレも高校卒業だ。やっと母さんに恩返しができるぜ


『兄ちゃんいいな。アタシはまだまだ時間がかかるよ』


 いいさ。お前はお前で返さないでいい奨学金で大学に行くつもりなんだろう? 高卒と大卒では収入が全然違うらしいからな。オレではできないことをお前がやってくれればそれでいいさ。そうだろう?


『うん。アタシはもっともっと勉強を頑張る。そしてお母さんに楽をさせるよ』



 京香…



 大切なオレの家族。

 この二人を護るためには



「お前ら全員を殺さないといけないんだッッッ!!!!!!」

気づいてくれると嬉しいのですが今回の前書きは変更前と変えていません。

たまたま現在の私と同じ状況だったのでこのまま使うことに決めました。こんな偶然があるのかとうれしいやらこんなブラック労働させやがってと怒ればいいのか困っています(苦笑)

今月一本目です。

二本目もすぐに更新します。

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