第三十七話 誓い
今月分投稿開始です
ヒポグリフとゴブリンライダーを討伐してからもオレはまだまだ戦い続けた。
貪欲に強くなるために魔物を探し続け、途中でどうあがいてもオレでは勝てないであろう魔物もみつけてしまったが見逃されたのか逃げることができた。
どうせならアイツを鑑定でもしたかったんだが
「そんなことすりゃ見逃してもらえなかったろうからな」
犬の目の前で骨を出せば飛び掛かられても仕方ないようにこの森では下手に鑑定でもしようものなら先手を取られたと取られて襲い掛かられても文句が言えない。
だから目を養った。
鑑定なんて使わなくても足手が強いのか弱いのかがわかるように何体もの魔物を見ることで眼を肥えさせることに成功した。
まぁ、それでもより具体的な情報を得たいために鑑定はこれからもするんだがな
さて、そんなオレの戦果は
『キングポイズンスライム LV70』
『グリードフォックス LV80』
『グランタートル LV90』
『ヨツウデグリズリー LV85』
『レッサーヒュドラ LV100』
コイツ等だ。
まず一番最初に見つけたのはいかにも毒沼ですよと言わんばかりの色合いの沼、もうホント、紫色の沼ってそのまんま過ぎない? そんな沼で見つけたスライム。
本来なら若干青みがある透明なはずのスライムが毒々しい紫色になっているから何かしらの上位種だとは思ってはいた。
だがまさかキングなんて上位種だとは思わなかった。
毒霧を吐くわ
毒沼そのものを操るわ
水属性魔法に毒を混ぜたり闇属性魔法を多用してくるわでとんでもなく面倒な相手だった。
だがオレは状態異常を無効化できるし、闇属性魔法の弱体化魔法にも強い耐性がある。だから厄介な相手であるスライムも比較的簡単に両断できた。
スライムを両断にできた俺だがそのスライムの死骸を横取りしようとしてきたのがグリードフォックス。茶色の毛並みを持つ大型犬ほどの大きさの狐だった。
このキツネはどうやら奇妙なスキルでも持ってるようで己の周囲にあるものをすべて操ってきた。
水や土砂などを操ってた時はそれぞれ水と土の属性魔法かと思っていたんだが魔法特有の魔力も感じない上にオレがスライムとの戦闘中に折った倒木まで操り始めたから魔法ではない。
キツネは周囲にあるものを全部武器として操ることができ、また盾のように展開させることもできる。また、では接近戦が弱いのかと言われるとそうでもない。
隙あればオレの鎧の隙間から肉を抉ろうとするほどには血気盛んで接近戦もこなせるようだ。だがオレの鎧そのものを破壊できるような攻撃力はなかったようなので遠慮なく接近戦を仕掛けてその首を斬り落としてやった。
キツネを討伐した後、流石に一息付けたくてその場にしゃがんでしばらくの間休んでいたんだがそんなオレに土属性魔法で攻撃を仕掛けてくる輩がいた。
尻から嫌な予感がして慌てて飛び退いたんだがその刹那、オレもよく使うようになった石柱の魔法が出てきて驚いた。
だがすぐに魔法の使用者の方角がわかり、すぐにハルバードで攻め込んだんだがそこにいたのは岩石のような甲羅を持つ巨大な陸亀だった。
おおよそ八畳ほどか? ちょっとした部屋くらいの大きさの甲羅を持つ陸亀。武器はその圧倒的な防御力と豊富な魔力による魔法。
魔法に至っては自分も使える物ばかりだったけど、敵に回してからだとよくわかる厄介さとその堅牢さには驚かされる。
こちらがいくら攻め立てようともその責めをもろともしないような堅牢さが邪魔で致命傷が与えられない。いくら火属性や雷属性と比べて防御に秀でている土属性だからとはいえ、この堅牢さにはうんざりさせられる。
そしてそれゆえに良い見本になってくれた。
オレは魔法も使えるが基本的には前衛として戦うことが多く、いくら賢者の先生に教えを乞うてもこんな風に実戦で見て覚えると生えられる経験値の桁が違う。
存分に参考にさせてもらい、最後にはとっておきの大技で決めた。
オレと亀との闘争で呼び寄せられたのか亀の甲羅を叩き割り、疲弊したオレの前に現れたのは四本の腕を持つ熊だった。
コイツは攻撃方法がその四本腕による殴打くらいしかないくせに漁夫の利を狙うくらいには頭が切れていて、もう亀との闘争でフラフラだった疲弊していたオレに容赦なく襲い掛かってきた。
魔法の類が一切なく、何の変哲もないただの物理攻撃。だがその数と威力は驚異の一言。もしもまともに喰らえば鎧越しにでも骨が折られ、戦闘不能にされるのでは? と予感させられ、背筋が凍る。
だが凍る背筋と同時に胸の内が燃え上がるような情熱が湧き上がってきた。これはきっと純粋な戦士としてのオレ。何の不純物のない接近戦がその琴線に触れたのだろう。
もう疲労困憊だったはずなのに胸の内の熱に呼応するように体から魔力と気力を絞り出し、懸命に応戦した。
そして最終的にハルバードがクマの胴体を斬り、剣鉈で脳天をカチ割ってやった。
流石に疲労困憊。満身創痍だったのでその場で大の字になって回復に努めているうちに夜になってしまった。
寄る。太陽の光が届かない闇の時間。きっと悪魔が最も強くなる時間だと思うとまだまだ回復しきれていないこの身体を引きずってでも逃げたくなる。
だが我慢だ。
今回復しきれていないオレが動いても大した距離は動けない。それよりも今は少しでも回復に努めて気力や魔力が充実した状態にしなければ生き残れない。
自分にそう言い聞かせてどれくらいの時間が過ぎただろう。
少なくとも自由に体が動く程度には回復できたので坑道を開始したオレの目の前にはまた新しく見つけた湖とその湖の主であろうヒュドラ。頭が複数ある蛇がいた
蛇はこちらを視認するや否や雄叫びを上げて襲い掛かってきた。
湖の主だからかカニやカエルにザリガニにドジョウにナマズなどなど多種多様な魔物が襲い掛かってきた。だがそれでもレベル的に大したことなかったのかハルバードに一振りで数体まとめて両断してのけることができた。
そして最終的に湖の主のヒュドラを含めるすべての魔物を討伐することに成功した。
以上がオレの戦果。
そしてその戦利品も数えるのがばかばかしくなるほどある。
確認してもいいんだがさすがに今はそんな気も起きない。
そしてそんな戦場を生き抜いてきたから当然
《松田太一》種族:新人類 性別:男 職業:狂戦士・斧豪・狂斧師・重戦士・魔法使い・アースエレメンタラー・鎧格闘術士・戦略家 年齢:20歳
レベル:26 魔力:3800 攻撃力:5980 魔攻撃:3590 防御力:4810 魔防御:4230 敏捷:4180 運:100
《装備》黒魔銀の重槍斧 ミスリルの剣鉈 アダマンタイトナックル アダマンタイトラウンジシールド アダマンタイトプレートアーマー・一式 守護と癒しの肌着 鋼糸のズボン 魔のベルト サバイバルハードシューズ 上質な下着 風のイヤリング 身代わりの首飾り
《魔法》土属性魔法:極 水属性魔法:中級 火属性魔法:中級 無属性魔法:中級
《魔術》土属性魔術:初級
《スキル》斧術:最上級 戦斧術:上級 長柄術:上級 体術:中級 剣術:中級 槍術:初級 盾術:初級 鎧術:初級 瞑想 索敵 気配探知 潜伏 気配隠遁 魔力操作 気力操作 最上級鑑定 アイテムボックス 超感覚 詠唱破棄 無詠唱(土属性のみ) 咆哮 集中 俯瞰の目 強撃 連閃 狂化 思考加速 限界突破 痛覚鈍化 魔力回復促進 気力回復促進 魔闘法 一騎駆け 孤立奮戦
《ユニークスキル》健康体 生存本能 大地の息吹
《称号》絶望に抗いし者 限界を超えし者 豪運の持ち主 斧の名人 修行者 求道者 鬼殺し 生ける者 悪魔に見られる者 大地に愛されし者
今日一日だけでレベルが25も上がった。
それに準じてステータスも爆増。もうこれ、人間だった時のステータスに近づいてないか? 最終的ってどれくらいだったっけ?
レベル:110 魔力:3500 攻撃力:5500 魔攻撃:3300 防御力:4400 魔防御:4250 敏捷:4000 運:100
レベル:26 魔力:3800 攻撃力:5980 魔攻撃:3590 防御力:4810 魔防御:4230 敏捷:4180 運:100
お、分かりやすく人間だった時のレベル110の時と今の新人類のステータスが表示されたな。
こうしてみるともう超えてるんだな。運以外の数値がもう軒並み上がってる。
「コレが上位種族の力なのか…」
新人類。今のオレの種族名。その恩恵なのかと思いながらもうすっか夜が更けた森の気配が変わったことを感じ取っていた。
日が暮れて夜が更ける
当たり前のことだ。天体があり、太陽があって自転しているのならごくごく普通で当たり前のことだ。今更あれこれ言うべきことではない
だがこの森においてはその当たり前がもたらす影響は尋常なものではない。
『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンンンンンッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』
夜行性。
地球の動物の中にも当たり前にいた習性というより生態か? 昼間は巣穴や地中などに身を潜め、夜に活動開始するものだったはずだ。
だがそれもこの森では違う。
『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『―――――……………ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォオオオオオオオオオオオオオオオオ』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』
その声は嘆きであり、絶望であり、怒りであり、嫉妬であり、憎しみであった。
様々な負の感情が凝縮されたような効いていて不安になるような咆哮を上げるのは
「アンデッド…」
悪魔のいた場所にもいたなぁ…
なんて遠くを見つつその腐臭にウンザリする。
半分以上が人間以外がアンデッドになったであろうことが察せられる風貌だったが逆を言えば半分近くが人間だったであろうことが察せられた。
元はこの森に挑んだ冒険者だったのかそれともたまたまこの森の近くを通りかかっただけの商人だったのかまではわからないが自身の死に納得できずに魔物になっている。
スケルトンやゾンビはいざ知らず、ゴーストには物理攻撃はほとんど効かない。のでこの時点で低級な魔物では手も足も出ないから当然相手取るのはそれなりの強者になり、そんな強者を狙ってほかの腕に覚えがある猛者たちが集まって夜に行動するようになったのか
『ミスリルゴーレム LV1000』
『キマイラ LV900』
『アウルグリフ LV1000』
『ソウルイーター LV950』
『ミスリルリザード LV1050』
『ハードイーター LV990』
どいつもこいつもレベルがおかしいんだが…
おかしいな。どいつもこいつもレベルの桁がおかしくないか? 一桁多いぞ?
一瞬で闘争心が折れたオレはただひたすら懸命に気配を周囲に溶け込ませて化け物たちの闘争を見ていた。
まずはミスリルゴーレム。身体のほぼすべてが銀色だからきっとそのほとんどがミスリルで構築されているのだろう。ミスリルとは魔力に対して親和性が高く、武器としても防具としても最適でアンデッドに対しても強い。
そんなミスリルゴーレムがアンデッドの声に呼び寄せられたように現れ、手あたり次第にアンデッドを攻撃し始めた。
スケルトンやゾンビを蹂躙するだけではなく、物理攻撃がほとんど聞かないゴーストも拳の一振りで討ち取って見せた。
やはりミスリルゴーレムにとってはアンデッドとは絶好のカモでしかなく、少ないリスクで強くなれ、縄張りが持てるのだから夜に行動するのは都合がいいのだろう。
そんなミスリルゴーレムを逆に狩ろうとする魔物もいる。
ミスリルリザードとハードイーターだ。
この二体はそれぞれミスリルに堅いものを好む習性でもあるのかミスリルゴーレムを追ってここまできたらしく、ミスリルゴーレムを発見するや否や襲い掛かった。
アンデッドを討伐し続けてきたミスリルゴーレムも応戦するが自身と同じミスリルの性質でも持っているのであろう鱗を持つトカゲのミスリルリザードとひたすら堅いものを取り込み、自身の武具にしているのであろう金属の光沢をもつハイエナであるハードイーターとの相性は悪いのか分が悪いらしい。
そんな三つ巴、いやほぼ二対一の状態に割り込みをかけてくる奴らが来た。
ここから少し離れた場所で戦っていたのであろう二体が空から降ってきた。
まず一匹目はいろんな生き物のパーツを子供が適当に組み合わせたような合成獣。キマイラだった。今回の個体はコウモリの翼にライオンの頭と胴体のほかに犀や象のような足に馬の顔がライオンの頭の視界の死角を埋めるように後ろを向いている個体だ。
うん。カオス
そんなキマイラと戦っていたのはグリフォンに似た魔物。こちらは下半身は馬のものだが上半身は梟のものだった。
キマイラとアウルグリフの両者は互いを捕食しようと戦っていたようだがそんな中でここに降り立ってしまったらしく、ゴーレムとトカゲにハイエナとも戦うことにしたらしく、傍から見ても大乱闘、もしくは大混戦になってきた。
そんな大混戦の中まだ残っていたアンデッド達は這う這うの体で逃げようとしていたがまた新手が現れた。
それはトレントの一種であり、アンデッド、特にゴースト系統を好んで捕食する変異種であるソウルイーターだった。
漁夫の利でも狙っていたのか近くの樹の一本に擬態していたソウルイーターが今こそ好機と言わんばかりに姿を現し、手あたり次第にゴーストたちを捕食し始めた。
そんなソウルイーターにミスリルゴーレムが自分の獲物を獲るなと襲い掛かるがそんな隙をミスリルリザードやハードイーターが見逃すはずもない。
怒りに身を任せて決定的な隙を晒してしまったミスリルゴーレムにそれぞれが強力な一撃を加えた。が、余程ソウルイーターの行いが許せないのかミスリルゴーレムが攻撃を食らいながらもソウルイーターに一撃を見舞い、結果としてソウルイーターをも大混戦に巻き込んだ。
こうして始まった大混戦の中、オレは参加してる魔物全てを鑑定した。オレでもダメージを与えられそうだったら横やりを入れてレベルアップしてやろうと思っていたからだ。
だが結果としてそんな甘い連中ではなく、むしろオレという存在をわざわざ連中に教えただけになってしまった。
鑑定するたびにこちらに視線を寄越してくる化け物連中に冷や汗をかきながらもオレは連中に戦いを事細かに観察する。
まずはミスリルリザードとハードイーターにそれぞれ強力な一撃をもらいながらも己の獲物を横取りしたソウルイーターを殴り飛ばしたミスリルゴーレム。
己の獲物を横取りされた怒りで覚醒でもしたのかその強さは尋常なものではなく、まずはその下手人と言えるソウルイーターを続けて殴り続けつつ、己と立ち位置を入れ替えることで己を攻撃するミスリルリザードとハードイーターの攻撃からの盾代わりにしている。
一方で盾代わりにされているソウルイーターも黙ってやられるつもりもないようで己に生い茂る木の葉を手裏剣のように投げつけたり、根を鞭のように振るったり土属性や闇属性に水属性の魔法を多用して己を盾代わりにするミスリルゴーレムに反撃しつつミスリルリザードやハードイーターに応戦している。
さらに有利に思えたミスリルリザードやハードイーターもキマイラとアウルグリフに狙われているようでそれぞれ攻撃を受けている。
キマイラとアウルグリフは飛行能力を生かして上空から強襲してくるがミスリルリザードはその硬い外皮で、ハードイーターは野生の勘なのか直撃する寸前で躱すことができている。
もちろん二匹とも無抵抗でやられるつもりはないようでそれぞれ反撃しているがキマイラとアウルグリフの飛行能力に手をこまねいているようだ。
ならば…
空中を己の領域として生きている二匹はそれぞれ最初に見つけた獲物よりも借りやすい獲物を見つけたためそれに狙いを変えた。
この二匹はそれぞれ日々の糧を得たいのであって楽に狩れる相手がいるのならそちらを優先する。例え己と領域を同じくする相手であり、仕留めておかなければ後々厄介なことになるとわかっていてもせっかくの手負いの獲物を見逃す理由にはならないらしい。
その獲物はそれぞれ外皮が固く、勘が働くのでまだ仕留め切れていないがそれでも己の領域を置かせる手段はないようなので存分に甚振って仕留めるられる。
そう思ったその時
ザクッ!
ズシュッ!
一瞬にして身動きが効かなくなり、無様に地面へと落下した。
己が地に伏せている屈辱よりも全く予想できていなかった翼への痛みに混乱していたキマイラとアウルグリフだったがこんな隙を見逃してもらえるわけもなく、これまでの鬱憤を晴らすようにミスリルリザードとハードイーター、そしてその二匹に元々狙われていたミスリルゴーレムまでも己に襲い掛かってくる光景を達観してみているアウルグリフは己を地に堕とした下手人に心当たりがあった。
獲物、いや己を駆ろうとしている敵と相対した時にこちらを覗き込んでいたネズミ。
己を含め、ここにいる面々におびえているタダの獲物の餌かと思いきやどうやら己の命を狙える狩人の卵、いやすでに巣立ちを終えた若鳥だったらしい。
己の見る目のなさに呆れつつ、若鳥に見事出し抜かれたことに笑いつつもただで食われてなるものかと力尽きるその時まで抵抗を開始した。
『レベルアップしました。レベルアップしました。レベルアップしました。レベルアップしました。レベルアップしました。レベルアップしました。レベルアップしました。レベルアップしました。レベルアップしました。レベルアップしました』
懐かしいな。
この世界に来て初日にも似たようなことがあったな。
確かあの時はクマとトカゲと樹の魔物に三つ巴の闘争が始まったんだっけ
あの時から一年以上。オレも大分強くなれたと思ってんだが…
「またこんな手段しか取れなかったよ…」
生きた者が勝ちなんだからこれも立派な戦法だとは思う。思いはするんだがそれでも悔しい…ッ!
この一年間。我ながら死に物狂いで鍛えてきたのにそんなオレの努力ではとても届かないような化け物がまだまだうようよしていてこんな運任せで卑怯な手段でしか抗うこともできない。
ホントに悔しいッ!
「もっとだ。オレはもっともっと強くなりたい」
強くなってカッコよくなりたい
カッコよく魔物と戦い、どんな強い相手でも負けない無敵のヒーロー。
そんな子供が考えたような空想の英雄になれるかもしれない場所にオレは今いるんだ。だからなりたい。子供のころに憧れた無敵で素敵なヒーローになりたい。
だから
「もっとだ。オレはもっともっと強くなりたい…ッ!」
今は小さくつぶやくことしかできなくともいつか必ず…ッ!
なんて如何にも主人公らしいことを想っていたオレだが今の自分がどれだけ底辺なのかと嫌というほど思い知らされる。
まずあれからオレはこそこそと隠れながら家のある方角へと進んでいたんだが、その道中でも今のオレでは歯が立たないであろう数多くの魔物を見た。
それは巨大なドラゴンだったり、伝説に登場するような動物だったり、これまで討伐してきた種族の超上位進化系であろうこと察せられる奴だったりと様々だった。
新人類に進化出来て天狗になっていたところがあったようで、もうすっかり鼻っ柱がへし折られてる。うん。オレ、まだまだ弱いな
なんか、もう、認めると一気に気持ちが楽になった。
うん。オレはまだまだ弱い。だからもっともっと強くならないといけない。
さもないとオレは自分の命すら守れない。
自分の命すら守れない奴にほかの誰かを護ることなんてできるはずもない。
母さんと京香を護ることもできない。
だからもっともっと強くならないといけない。
「うん。この一年間ずっとやってきたことじゃないか。何の変化もない」
静かで重く、火傷しそうなほどに熱いナニカがオレの胸の内にあるのを感じる。これを『決意』というのか。それとも『覚悟』というのかはまだ分からない。
だが、やってやろうと思う気持ちだけはあった。
すぐにもう一本投稿予定です。




