第二十九話 探索開始
2025年5月10日
編集しました。
ね
眠い…
身体の感覚がない。
オレ、今どんな状況なんだ?
意識だけは何とか戻ってきたようだが身体が全く動かない。
あぁ、オレ死んだのか?
いや、死んでないはずだ。多分
だったらオリハルコンガーディアンはどうなった? 確かめねぇと…ッ!
気合と根性だけでストレージからポーションを取り出して顔にかける。
ホントなら口に含ませるのがいいんだが残念ながらこれが限界だった。だがそれでもほんの少しは口に入ったのでわずかながら魔力が回復してきたようで徐々に体も動かせるようになってきた。
オレは日本にいた時から酒というものを飲んだことがない。もともと興味もなかったのが正解だが酒に金をかけるよりも好きな漫画やゲームにかけたかったんだ。
だからオレは二日酔いというものがわからない。
そんなものがあると言うことは知ってるし、すごくシンドイことも知識として知ってる。そんなものがあるならそもそも酒なんて呑まなければいいのになんて思ってもいた。
そんなオレが今まさに二日酔いのような状態になっている。
「おぇ…ぉ……」
気持ち悪い。
頭の中で除夜の鐘が鳴っていて胃が痛い…ッ!
何もする気が起こらない。
だがやらなくてはいけない。
やる気が起こるとか起こらないとかなんて話ではない。やらなければならない。やるしかないんだ
もう一回気合と根性でストレージから取り出す。今度はポーションではなく飴玉。のど飴みたいにポーションの薬効成分が入っている特別な飴玉を口に入れて舐めまわす。
ポーションと違って即効性がない代わりに急速に魔力が回復することによる気持ち悪さもなく、むしろ魔力の自然回復力を底上げしてくれるし、味もいい。
そんな飴のおかげでほんのわずかではあるがちゃんと回復ができた。
魔力に回復に伴って意識の方もはっきりとしてきたが身体にのしかかる倦怠感ととんでもない疲労感は抜けないので今度は気力回復の雨を取り出して口に放り込む。
二つの飴の味を感じながらまだまだ回復しきれずに笑う膝を抑えて無理やり立ち上がる。
そんなオレが見たものは
首を斬り落とされて倒れ込むオリハルコンガーディアンだった。
どうやら勝てたらしい。
よかった…
心の底からの安堵が湧き上がって座り込んだ。
回復は順調に進んでいる。だがそれも大した量ではないから十分回復できるまではこのまま座っていようと思う。
口の中の飴を味わいながら自身のステータスを確認してみる。
《松田太一》種族:人間 性別:男 職業:狂戦士・斧豪・重戦士・魔法使い・格闘家・戦略家 年齢:24歳
レベル:100 魔力:2100 攻撃力:3400 魔攻撃:2000 防御力:2700 魔防御:2600 敏捷:2450 運:97
《装備》黒魔銀の重槍斧 ミスリルの剣鉈 アダマンタイトナックル アダマンタイトラウンジシールド アダマンタイトプレートアーマー・一式 守護と癒しの肌着 鋼糸のズボン 魔のベルト サバイバルハードシューズ 上質な下着 風のイヤリング 身代わりの首飾り
《魔法》水属性魔法:中級 土属性魔法:中級 火属性魔法:中級 無属性魔法:中級
《スキル》斧術:最上級 戦斧術:上級 長柄術:上級 体術:中級 剣術:中級 槍術:初級 盾術:初級 鎧術:初級 瞑想 索敵 気配探知 潜伏 気配隠遁 魔力操作 気力操作 上級鑑定 アイテムボックス 超感覚 詠唱破棄 咆哮 集中 俯瞰の目 強撃 連閃 狂化 思考加速
《ユニークスキル》健康体 生存本能
《称号》絶望に抗いし者 豪運の持ち主 熟練の斧使い 修行者 求道者 鬼殺し 生存者
ついにレベルが100の大台に乗ったか。感慨深いものを感じるな
あれ?
「確か人間のレベル限界値は100じゃなかったか?」
確か先生は…
『レベルというものは簡単に言えばその人がどれだけ限界を超えたかを表すカウントのようなものですね。基本的には日本のゲーム、特にRPGのような感覚で間違ってはいません。ただしこの世界の人々にとっては文字通りに神が自分たちに与えてくれた神聖なものなのでお遊びのような感覚で扱われると怒るので注意しなさい』
なんて言われたな。限界を超えるなんてアニメや漫画みたいでかっこいいと思うんだがそんなことを言ったら怒られるんだろうかと聞いてみたら
『まぁ、転移者からすればゲームでおなじみの概念ですがこの世界の人たちからすれば運動や勉強などの才能と同じように全員に与えられた権利であり、決して平等や公平ではないけど極めることができればそれこそ英雄になれる力なんだから神聖視もされるわよ』
まぁ、地球でも才能がある奴はそれこそギネス世界記録や歴史にその名を遺すんだから魔物なんて危険生物であふれているこの世界では文字通り救世の英雄や伝説の賢者にだってなれるんだからそうなるための力は神聖視もされるか
『そして残酷ではありますが転移者も含めてレベルという者には上限があります。どんなに才能や適性を持つ人物であろうとも現地人ではレベル100を超えることは不可能です。これはあくまで人間という種族の限界であり、エルフや獣人でも例外ではありません。転移者であればスキルや称号で無理やりその限界を突破した事例もありますがそれでもレベル150を超えた者は歴史上にも例がありません』
現地人でレベル100、オレ達でもレベル150が限度なんて厳しすぎねぇか? 確かその上限を超える魔物もいたぞ?
『はい。魔物にはそんな上限はなく、理論上の上限がありません。たとえまともな武器さえあれば子供でも十分倒せる程度の強さしかないゴブリンやジャイアントバットであっても進化を繰り返すことでその強さは果てしなく増していき、どんな魑魅魍魎になるかもわからないんです』
また魔物の方が優位なのかよ…ッ! ドンだけ理不尽なんだよマジで…ッ!
なんて話があった。
先生が言うにはレベルが100を超えたらもうそこからいつ成長が止まっても不思議じゃねぇってことだろ? というかオレはレベル上限を突破するような便利なスキルや称号は持ってたか? 下手をすればもう今回のレベルアップで最後かもしれないわけか?
「冗談じゃねぇぞ…」
オレはまだまだ弱い。
この森にはオレよりも強い魔物はいくらでもいる。そんな中でもうこれ以上強くなれないなんて言われたら絶望してしまうだろ…ッ!
「いや、まだだッ!」
まだ完全にそうだと決まったわけじゃねぇ。
確か女神さまから聞いた話では人間のレベル上限は500だったはずだ。きっと何かしらの方法はあるはずだ。それを見つければ…ッ!
レベル上限の解放。すぐにでも見つけたい方法の模索を後回しにしてスキルを確認する。
今回増えたスキルは全部で三つ。『槍術』、『盾術』、『鎧術』の三つ。もうわかってはいる。わかってはいるんだがそれでも一応違っていたらイケナイから確認する。ちなみにもともとオレが持っていた斧術なども含めるとこんな感じ
『斧術』・・・斧の扱いを修めた者が習得できるスキル。斧関連の闘技が習得可能になる。熟練度によって使用可能な闘技の数も増え、威力も向上し、消費する気力も減少する。
『戦斧術』・・・斧の中でも重量級な戦斧の扱いを修めた者が習得できるスキル。斧関連の闘技に加えて戦斧専用のが闘技習得可能になる。熟練度によって使用可能な闘技の数も増え、威力も向上し、消費する気力も減少する。
『長柄術』・・・杖を含めたリーチの長い武器全般の扱いを修めた者が習得できるスキル。杖や棍などの柄が長い武器を使用した際の闘技の威力を向上させる。熟練度によって使用可能な闘技の数も増え、威力も向上し、消費する気力も減少する。
『体術』・・・己の五体のみをもって敵を打倒する術を体得した者が習得できるスキル。拳打や蹴撃の闘技の威力を向上させる。熟練度によって使用可能な闘技の数も増え、威力も向上し、消費する気力も減少する。
『剣術』・・・剣の扱いを修めた者が習得できるスキル。剣関連の闘技が習得可能になる。熟練度によって使用可能な闘技の数も増え、威力も向上し、消費する気力も減少する。
『槍術』・・・槍の扱いを修めた者が習得できるスキル。槍関連の闘技が習得可能になる。熟練度によって使用可能な闘技の数も増え、威力も向上し、消費する気力も減少する。
『盾術』・・・盾の扱いを修めた者が習得できるスキル。盾関連の闘技が習得可能になる。熟練度によって使用可能な闘技の数も増え、威力も向上し、消費する気力も減少する。
『鎧術』・・・装備者の肉体、引いては命を守る鎧を防具としてだけではなく敵を屠るための武器としても活用できる術を体得した者が習得できるスキル。鎧を用いた闘技が習得可能になる。熟練度によって使用可能な闘技の数も増え、威力も向上し、消費する気力も減少する。
まぁ、予想通り。
武器の扱い方やその武器に関する闘技を習得できるようになると記載されているのだろうと思っていたがその通りだった。
つまりオレは今、槍や盾に鎧の闘技が使えることになる。さっそく試そう。
「ていやいや。気力量的にもそれはマズいよ」
一応回復はできている。飴のおかげでかなりの量は回復できた。もうこれだけ回復できれば行動するだけなら問題はないがさすがに無駄打ちするほどの余裕はない。
ポーションも無駄にはできないし、ここは我慢するしかない。家に帰ればいくらでも試せるんだ。それまでは我慢だと自分に言い聞かせる。
ワクワクした気持ちを抑え込むのには苦労したがこのときのオレはまるで新しいおもちゃでも買ってもらった子供みたいだと思えだ段々落ち着いてきた。
あれから少し時間を置いた。
気持ちを落ち着かせることももちろんだがそれ以上にオリハルコンガーディアンとの戦いで武具に不具合が出てないか、魔力と気力の回復量はどれほどかなどなど確認すべきことに費やした。
そのおかげでもう十分なほどの準備が整った。
「そもそもここは何なんだ?」
ただの丘かと思っていたが実は建造物があり、そこに土が覆いかぶさってできたものなんだと言うことが分かった。
そしてオリハルコンガーディアン。ガーディアン、つまりは守護者だ。オリハルコンガーディアンはココで何かを護っていたと考えるのが自然。ではその何かとは何なんだ?
「気になる。だから探索する」
とりあえずこれで今からの行動は決まった。
まずはココが何なのか調べる。そもそもこの建造物は何のために建てられたものなのかからオリハルコンガーディアンがなぜいたのか。そしてここの出口はどこなのかの三つを調べよう。
まぁ、調べると言ってもオレにできることはたかが知れている。
別に考古学者でもなければ歴史の探求家というわけでもない。
そんなオレにできることは自分の足でこの場を練り歩き、何があるのかを探すことだけだ。
素人の非効率極まりない作業だがこれがオレにできる精いっぱいなのだから何の妥協もなく誠心誠意やる。これしかない
アイテムボックスからメモ帳とペンを取り出してこの建物の全体地図を描いていく。
所詮は素人の手書きだから精度はお察しだがそれでも何もないよりはマシだろう。そう思って書き始めたんだが…
「いや、広くね?」
もう学校のグランドくらいの広さは書いてると思うんだがそれでもまだ描き切れていない。
一応オレが落ちてきた穴を目印にしてるんだがそもそもまだ壁にもたどり着いていないと言う広さだ。オリハルコンガーディアンとの戦闘前にもちょっとした住宅街が収まりそうなほどの面積は歩いたと思うんだがそれでも壁にたどり着いていないんだからホントに大概だと思う。
「いったいオレはどんだけの高さから落ちたんだ?」
オレが落ちたときはホントに地面が消えたと思うほどの面積はあったはずだ。自分の足元だけではなく、周囲も全部まとめて消えていた。
相当な面積の穴だったはずなのに今ここから見るとビー玉ほどの大きさもない。もしかしてオレは相当な高さから落ちてここは地下空間なのか?
分からねぇ…
言い知れねぇ不安に襲われるがそれでもこんなところで立ち尽くしてても何もならないことだけはわかるから歩く。
歩きながら探し続ける。
なんて考えてるうちに何とか壁を見つけた。
いや、壁というよりも城壁といった方がいいのか? とにかく頑丈に武骨に立てられた壁にはいかなるものをも通さないと言う制作者の意思を感じる。
壁を触った感触は石、ではないな。金属の冷たさも感じないし一体何なんだ?
「一部持って帰るか」
ハルバードで一部壊してアイテムボックスに収納するか? いや、ハルバードでは壊しすぎるだろう。もしもそのせいで壁が崩れようものならオレは生き埋めだ。
だからここは剣鉈でやるべきだな
そもそも鑑定で調べればよかった。
壁に数回剣鉈を叩き付けた後で思い出したオレは自己嫌悪に襲われながら鑑定してみた。すると
『不落堅牢の金剛城壁』・・・伝説級アイテム。かつて魔物大群が一国を攻め落とそうと進軍してきた際に対抗して建造された防衛都市『ファステイヤ』を囲んでいた壁。数多の魔物の攻撃を耐えきり、大軍を率いていた魔物の王の魔法を受けてもその雄姿を留めていたが今ではその魔王によって都市ごと地中に埋められ、その都市の存在すら伝説の中に忘れられつつある。当時の最先端の錬金術と魔法と建築技術の粋を結集して作られたため今なおその堅牢さを維持し続けている。
な、なんかすごいことが書かれてる。
「ここ都市だったんだ。だとするとなんで民家もないんだ?」
おかしくないか?
いや、待てよ?
『不落堅牢の金剛都市床』・・・伝説級アイテム。かつて魔物大群が一国を攻め落とそうと進軍してきた際に対抗して建造された防衛都市『ファステイヤ』の基盤を担った床。数多の魔物の攻撃を耐えきり、大軍を率いていた魔物の王の魔法を受けてもその雄姿を留めていた壁を支えていたが今ではその魔王によって都市ごと地中に埋められ、その都市の存在すら伝説の中に忘れられつつある。当時の最先端の錬金術と魔法と建築技術の粋を結集して作られたため今なおその堅牢さを維持し続けている。
「やっぱりかよ…」
つまりここは文字通り地下都市でそもそも都市が建てられた経緯から察するに魔物を迎え撃つための広場であり、住民たちが寝起きしていたであろう居住区はまだまだ別の場所にあると考えられるわけだ。
しかし、都市ごと地中に埋められた。ねぇ…
「これは下手をしたら…」
住民、生き埋めになってね?
もちろんその前やこの都市が地中に埋められてから脱出した可能性もある。あるけどその可能性と同じくらいにはこの都市に住んでいたであろう住民たちが失意と絶望の中で命を落とした可能性もあるはずだ。
もしもそうなら…
「アンデッドになってる可能性が高いな」
ゾンビ。スケルトン。ゴースト
死んだ人々が成仏できずに魔物と化してしまったアンデッド。知識としては知っていてもやはりみたい存在ではない。
「確かアンデッドを倒すには光属性の魔法がいいんだっけか?」
オレ、光属性は使えないんだよな…
ため息をつきながら壁伝いに移動を続けている。オレが落ちてきた穴から差し込む光から察するにもう夕方だ。夜には昼以上に危険な魔物が活動を始めるらしいからオレはほとんどこの森の夜を知らない。
だがアンデッドが夜に活動することは想像に難くない。つまり最悪このままここで一晩明かすにもアンデッドの存在を確認するまでは寝ることもできないということだ
一応言えばあれから魔物も全く出ていない。ただひたすら魔法の光を頼りに壁伝いに歩き続けただけだ。歩いた感覚から言えばやはりここは緩いカーブを描いているようだから超巨大な円を描いていることが伺えた。
あまりに代わり映えのしない道のりに心が折れそうになったが
ついに
「見つけた…」
変化を
「階段…」
残念ながら上へと続いている階段ではなく下へと続いているんだがそれでも変化だ。
もうそれだけでうれしい。だが
「下、か…」
鑑定結果を思い出せばここはもともと防衛都市だったが地下へと沈んだらしい。
つまりもともと防衛都市の地下に空間があったとしても沈む際に潰されてるのでは? 無駄骨に終わる可能性も高いのだが…
「たとえそうだとしても土に触れることができれば脱出の可能性があるな」
壁は魔法耐性が高すぎてとてもオレの魔法ではどうすることもできなかったがこれが普通の土なら魔法でどうにかできてそこから脱出することもできるはずだ
オレは意を決して下へと向かった。
三本目編集完了
四本目もすぐに編集します。




